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第11部

特異点を通過する事はとても簡単だった。しかし、その先には、星間戦争中の種族がいた。ここからの区域は、とても小さいので、一目で銀河すべてが見渡せるのである。

「そこの船!どこから現れた!我々は今戦争中なのだ。お前はどちらの船だ!種族名と代表者名を述べよ!」

突然、スピーカーから声が出てきた。続いて、映像が出た。赤カンガルーそのものであった。ただし、このカンガルーは、ヒトの言葉を話すことが出来るが。

「我々はこの空間とは別の空間から来た。3惑星連邦の代表である、イフニ・スタディンだ。君たちこそ何者だ。何故争っている?」

「我々は、カンルーガ。この戦争の発端は、今から、数百年前になる。我々の種族と、我々の属種族である、カルーガンは、昔は仲良く暮らしていた。しかしそこに、別の種族がやってきたのだ。そしてその種族がこのような不和の種をまいて去って行ったのだ。その種族を知る者は我々の中にいなかった。なので種族名も知らないのだ」

「そうか。ということは、君達カンルーガは、元属種族のカルーガンと、戦争をしているということなのか?」

「元ではなく今も属種族だが、その通りだ。君達はどちらの陣営につく?答えによっては我々は君達を攻撃する必要がある」

「交渉はしてみたのか?」

「我々は交渉ごとをしない。それにこの戦争自体、相手からしてきたものだ。我々はそれに答えただけだ」

「我々は君達側につく。ただし、相手方とも話し合いをするつもりだ」

「そうか。まぁ、好きにすればいいさ。ただし、これだけは気をつけておけよ。もしも相手がどちらか分からなかった時は、相手から話しはじめるのを待つこと」

「分かった」

それだけ言うとカンルーガは、去って行った。

「宇宙文明上の生命はみんな、自分の話したい事が終わるとどこかへ行ってしまうな」

「そうですね。それよりも、戦争状態の真ん中へ来てしまったようですよ。どうします。船長」

「まずは、防御スクリーンによって、防御面を高める。彼らの攻撃方法は不明だが、おそらく、我々よりも相当出来るはずだ。何もかも万全にしなければならない」

「了解」

「それに、準戦闘態勢に移行する。今すぐ必要な人員を戦闘指揮室に呼んでくれ」

「了解しました。船内放送をかけて呼びましょう」

そして、シアトスが船内放送をかける。

「操縦手のシアトスです。準戦闘態勢に入ります。つきましては、所定の位置についてください。なお、今から呼ぶヒトは戦闘指揮室に来てください」

その後、呼ばれたすべてのヒトが戦闘指揮室に来た。


船長は、集まった全員に対して言った。

「これより本船は準戦闘態勢に入る。よって、本船の指揮系統は、防御を優先とする。この宙域から、出る際はどうすればいいか分からないし、銀河大辞典にも載っていなかった。これからは、特異点を発見しだい、確認せずに中へ入る。なお、先ほどの邂逅の際に話された事をみんなに話しておく」

そして船長は、先ほどのカルーガンと話した内容をそのまま話した。

「そういうことなので、みんな知っといてくれ。さらに本船が攻撃を受ける可能性が出てきてから場合から攻撃終了と判断するまでを攻撃態勢の時間とする。その前に相手の方から問いただしてくるはずだ。それが起こるまで私は自室の方へいる。戦艦がレーダーにより探知された時点で私を呼んでくれ。よろしく頼む」

「私も船長のそばにいます。船長一人だと何かしら心配だから…」

そういったのは、副船長である、クシャトルだった。

「そうか。だったら来てもいい。ここは、シアトスに任す」

そして、戦闘指揮室から出て行った。


彼らは久し振りに、自室へ戻った。

「ここ最近来なかったし、どうなっているかと思えば、案外何にもなっていなかったね」

「そうだな。それよりも、指揮室に寝ぼけたまま入ってきたときに、変な夢を見たと言っていただろう?どんな夢か教えてくれないか?」

「えっとね〜………なんか、空に浮かんでいて、下にお城が見えたから、そこに降りたの。そしたらどこからか、ヒトがやってきて、「ここは夢の国です。あなたはここへ来た二人目のヒトです。今から夢の王に謁見します」って言うんだよ。そして、謁見の間とかの前に待たされて、そしたら、お兄ちゃんが向こうから来たの。そしてその王様と出会ったの」

「自分も同じような夢を見たな。少し違うけど」

「ほんと!でも、どうして?どうして同じ夢なんか見たんだろう?」

「共有無意識下では何か不思議な事が起こるって、先生が言っていたよ。たぶんそれだと思うよ」

「不思議だね〜」

「本当だ。不思議だ」

そこで船内に警報が鳴り響いて、船長と副船長が戦闘指揮室に呼ばれた。戦闘の時が来たのだ。


戦闘指揮室に入ると、コミワギがいた。

「いよいよ戦闘のときです。一応すべての権限は船長にありますが、どうしますか?」

「君に委ねる事にしよう」

「ありがとうございます。ただ、戦闘に突入するまでは船長が、全権を握っています。よろしくお願いします」

「分かった。今の状況は?」

「相手の船が、何も言わずにこちらに威嚇射撃を加えました。こちらも同じように威嚇をしました。それ以後何も変わりありません」

「相手からの通信は?」

「今のところありません」

「船長!通信です!」

そう叫んだのは、シアトスであった。

「回線開け。映像は?」

「あります、船長」

「では映像をスクリーンに」

「了解」

そして相手の顔が出たのを確認して、言い出そうとした。しかし、カンルーガの言葉を思い出し、相手から話すのを待った。そして1分ぐらいが経過した後に、

「私は、カルーガンの総代表である、カルーガン26代目大統領である。貴様たちは何者だ」

「私たちは3惑星連邦の全代表としてさまざまな種族と交友しようとしている、イフニ・クシャトルだ」

「貴様たちはどちら側の種族なのだ。我々は今交戦状態である。即刻この空間から立ち去りたまえ」

それだけ言うと、少し間があった。

「我々は何故このような戦争状態になったかがよく分からない。詳しく話してもらえないだろうか」

「分かった。この近くに、小惑星がある。そこで話をする事にしよう」

「分かった」

「おれたちについて来い」

そして、小惑星に到着した。


その小惑星は、とても小さくて、とても、二つの船が入れる場所などなかった。そして、両方の船の船長と副船長を率いてこの惑星のある洞窟に降り立った。その洞窟は乾燥しており、呼吸するには十分すぎる空気があった。そして、話をはじめた。

「俺たちは、元々、カンルーガの属種族として生きてきた。しかし、革命を起こそうという機運がいつの間にか高まってきたのだ。そして、何者かの船がこの空間を通って行った。その時、革命軍はいっせいに蜂起した。そして今のような泥沼化してしまったのだ。だれかに助けを求めてもいいが、この空間にはあまり交渉がうまい種族がいない。君たちならば助けてくれるだろうと思って、呼んだのだ。だから、あの威嚇射撃は謝る。すまなかった」

「いいえ。そのような理由があったのですね。いいでしょう。私たちがこの戦争を終わらして、この空間全域に平和を訪れさせましょう。ただし、条件があります」

「なんだ?」

「我々の船がこの空間を何不自由なく航行できるようにしてほしいのです。それに、もしよければ、この空間と同盟関係を結びたいのです。お願いです」

「仮にもこの空間に統一国家が出来た際には、それを約束しよう」

「ありがとうございます。それで相手の代表はどこにいるのでしょうか?」

「相手の代表はすぐにでも連絡がつく。ここに呼びましょう」

「助かります。私たちは、彼らが来るまで、船の中におります」

「来たらこちらから君たちを呼ぼう」

「分かりました。では失礼します」

そして去って行った。


「と言うことは、我々はここに待つ事になるのですね」

「そういうことだ」

船に戻って、出迎えたシアトスとコミワギに言った。

「それと、今のところ、準戦闘態勢に戻しておいてくれ。とりあえずの危機は過ぎ去った」

「了解しました」

「自分たちは寝ておく。みんなも少しでも寝ておかないと後がつらいぞ」

「分かりました。しかしながら私たちはあなたが思うほど弱くはないのですよ」

「それを訊いて安心した。もし、連絡があったら私たちを起こしにきてくれ」

「分かりました」

そして戦闘指揮室を去っていった。


リフトの中で、兄妹は話をしていた。

「ねえ、お兄ちゃん」

「なんだ?」

「お兄ちゃんって、何か考えているような感じがするけれどどうして?」

「何も考えているわけがないじゃないか。例えばな、この船についてとか、居なくなった友人とか。そんな事を考えているのだよ」

「そうなんだ」

何か憂いに沈むような感じで、黙ってしまった。

「どうした?どこか具合でも悪いのか?」

「ううん、大丈夫」

無理な笑顔を作って、笑うクシャトル。


部屋に到着すると、兄妹はシャワーを浴び、服を着替えたうえで眠りについた。

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