第10部
そのころ三惑星連邦では、突然大艦隊がやってきて、第3惑星を取り囲んだ。
「あなたたちはいったい何者だ」
三惑星連邦大統領が言うと、
「私たちは、イフニ・スタディンとか言う若者と、正式な条約を交換し合った。私たちはいまや同盟関係にある」
とだけ言った。
彼らは縮空間上ではじめて同盟を結んだ種族であった。しかし惑星連邦側はそんな送信を受けれることが出来なかったので、そんな同盟を聞いていなかったのであった。
「あなた達の種族の名前は何なのですか?スタディンからは縮空間へ今から入ると行ったきり、何も返事がないのでまったく分からないのですが」
「私たちはアックと言う種族だ。しかし我々よりも早く到着した同盟種族がいるようだな」
「はい。最後に同盟関係を結んだという連絡が会った種族です。名前は、ソラリアと言ってました」
アック側は「そうか」とだけ言った。そして、
「そういえばこの惑星はとても住環境がいいな。この惑星に住んでもいいか?」
「あまりこの惑星の生態系を傷つけないようにお願いします」
「分かった」
そして大艦隊は、姿を消した。三惑星連邦の人々にとっては、はじめての縮空間上から来た生き物だった。
そして、それから少しして、再びアックの使節がやってきた。
「私たちはアック側の正式な使節団としてきた。ここに大使を置き、実空間と縮空間を結ぶための機械を置きたい。もちろんこの惑星系の外側に置くのだが。あなたたちはそこを自由に通行しても良いといった内容の許可を与えたい。いかがかな?」
「我々もそちらの方に大使を置き、さまざまな協力体制を結び銀河文明から私たちの身を守る、という事でしたらよろしいです」
「決定だな」
こうして全宇宙文明中誰も出来なかったことを成し遂げた。こうしてここに新たなる国が誕生した。その名前は「新中立国家共同体」。この国家はとても有名になった。なぜならば、今まで誰も見た事がない世界へと足を踏み入れた最初の国だったからだったからだ。この宇宙中で、この国の憲法をモデルとして出来た新興国家が多数できたのもそう言う事だろう。
「こちらが夢の王の部屋です」
そういわれてスタディンが案内された部屋の前には、一人のヒトが立っていた。彼女が物音に気づき振り返った。
「あ!」
「なんでここに?」
「お兄ちゃんこそ。どうして?」
「おや?知り合いですか?」
「知り合いも何も、兄妹ですよ。私たちは」
「そうでしたか。ならば王もさぞお喜びになることでしょう。このような事が王はとても好きですから」
それだけ言うと、彼は部屋の扉の横の方にある小さな小屋に入っていった。とても古そうな扉がゆっくりと開きはじめた。そして中は、はじめはとても暗いように見えた。しかし、その後だんだん目が暗闇に見えるようになり、王の姿がはっきりと見えるようになった。
「私が王だ。歓迎するよ。兄妹よ。このようにして同じ夢の中で出会うと言うのはとてもまれな事だからな」
「今回はお招きいただいてありがとうございます」
とても固い口調で話し始めたのはスタディンの方だった。
「もしよろしければここの世界について少しお話がしたいのと、あと、あなたの種族の名前を知りたいのですが。銀河文明も知らないような夢の中の世界と言うのがとても興味がありまして」
「そうか…。分かった。話そう。しかし私は話すのが少し苦手でな。直接脳神経の方に情報を送り込む。心の準備はいかがかな?」
「はい」
「大丈夫です」
本当はとても大丈夫ではなかったが、それでも今まで誰も体験した事がないことだったので、気力でどうにか立っていた。そして、脳へと情報が入り始めた。
兄妹が見ていた夢は事実上同じ夢であった。しかし、起きた時間は違っていた。だが、同じ情報が脳に記憶されていた。その情報は、
「我々、「ドリーマーズ」は、すべての宇宙のうちひとつの生命体が発生した時から生き続けいてる。我々は、すべての宇宙から生命体が消え去る日まで生き続ける。我々は、めったに生命体の夢の中には出てこないが、すべての夢の管理は我々がしている。君たちの夢も我々が管理をしている。しかし時々は、その管理が行き届かない場合がある。その際に我々の世界に入り込めるのであるが、君たちのようなケースは我々もはじめての体験であった。そこで提案なのだが、我々と同盟を結ばないか?我々は君たちが見たいどんな夢でも見せる事が出来る。その代わり君たちは我々の事を全宇宙文明に言わないでくれ。結論は次眠るときにしてくれ。よろしく頼んだ」
と言うことだった。兄弟はその事を覚えながら起きた。
「おはようございます。あれ?毛布がかかっている。誰?自分に毛布を掛けたヒト?」
「私ですが?」
「ありがとう。気を使ってくれて。ところで今はどこにいるんだい?ずいぶん眠っていたような感じがするのだが」
「今は縮空間Lv.10にいます。銀河文明にさえ到達できなかったことをしているのです。もうすぐさらに上のLv.11に行こうとしていたところです。それにあなたに毛布を掛けてから5分ぐらいしか経っていませんよ」
「そうか…それにしてもこの毛布はやめてくれよ。明らかに昔のアニメのキャラクターだし」
「気に障りましたか?」
にこやかに話すシアトス。
「いや。別にかまわないんだがね」
「だったらいいじゃないですか。それに普通の15歳ならば家にいて、アニメでも見ていますよ。私はそうでした」
「そんなもんかな」
「そうですよ。それに…」
言いかけてはっとしたような顔になり、あわてて操作盤に向かい合う。
「どうしたのだ?急に…」
「船長。これから本当にだれも言った事がない空間へ行く事になります。この船は大丈夫ですよね?」
「大丈夫だ」
胸を張って言うスタディン。船内放送が各デッキに伝わる。
「これからだれも経験していないような空間へ行く事になる。何が起こるか分からない。緊急事態に備えよ」
そしてそれから2〜3分後指揮室に、寝ぼけたままのクシャトルがやってきた。
「おはよ〜。なんだか変な夢を見てたよ〜」
「それよりも早く座れよ。今からだれも行った事のないところへ行くのだから」
「本当!」
とてもうれしそうに言うクシャトル。この船の副船長は14歳の少女なのだ。みんなはよく忘れてしまうが、事実はそうだ。
「でもどこへ?」
「縮空間のLv.11以上の場所だよ」
「大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。でも、万が一、のことがあるから一応船内放送はしたけれどね」
「ふーん」
「船長。お話のところ申し訳ないのですが、もうすぐ縮空間Lv.11の特異点です。準備をしてください」
「分かった」
と、それだけ言うと、船内放送をした。
「船長より全乗組員へ。これより特異点へはいる。何が起こるか分からないが、みんな気を締めていくように!」
それだけ言うと、船内放送を終わり、自分も衝撃に備えた。