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とりとめのないエッセイ・短編集

ふといつも思う事。幸せって何だろう

作者: 秋月

何となく、思ったことを書きなぐってみました。

 幸せって何だろう。ふと考える事がある。こんな事ばかり考えているから、成績が悪いのか。けれど、考えずに入られない。高校に入って、どうすればいいのだろう。高校をでて、何をしたらいいのだろう。どうやったら、幸せと言う奴を掴み取れるのだろうと、何時も考えている。


 試験の帰り道、鳩を見た。信号待ちをして動かない僕の靴についたパン屑を突っついていたようで、少しくすぐられているようで不思議な気持ちだった。その鳩を見て、彼の様に羽ばたいて飛んでいけたら幸せだろうかと思ったことがある。けれど、その考えは四回目のまばたきをした時に消えた。


 すぐ横の学生に、蹴られそうになって羽ばたいて逃げていったから。理不尽だ。けれど、何も考えずに僕は横の学生を見た。何も考えていないような顔付きだ。追い散らされて飛んでいく鳩をみて、彼の様に飛べたら、彼の様に馬鹿な奴に意味もなく理不尽に蹴られそうになって。ずっと、逃げていくしかないのだろうか? 考えるだけでゾッとする。きっとそれは、幸せとはいえないだろう。


 少しして、唐突に僕の横に猫が着いて来た。まだ帰り道の途中、真っ黒な猫が、鞄を重そうにもつ僕の顔を、見下すように見上げていた。すぐ横を歩く彼、もしくは彼女は、僕に付いてきているのだろうか。進行方向が同じだけなのだろうか。草臥れて歩く僕の横を歩く猫は、酷く気まぐれで、そして自由に見えた。彼のように自由であったなら、幸せだっただろうか。歩きながら、そして猫を見ながら思いにふけった。


 けれど、それも間違いであったのだと三秒後程にわかった。電柱の傍で、寝そべる様に猫が死んでいたからだ。寝ているのかと思ったけれど、上下に揺れていない。恐る恐る触ってみたが、ひんやりとした、死肉の塊の感覚がしただけだった。それを見て黒い猫はニャアと悲しげに鳴いた。ただ、それだけして自分の後ろ足で頭を掻き始めた。


 彼のように自由だったら、こうしてある日突然死ぬのだろうか。そう大きくない猫は体が細く痩せ衰えている様に見えた。きっと、衰弱死だろう。こんな死に方はいやだ。そう思うのは、皆同じだと思う。誰か大切な人達に囲まれて、「幸せだった」と呟いて死にたいと皆思っているはずだ。


 猫はまだ付いてきていた。家がもう三百mって所まで来た時に、ダンボールに入れられた小犬が見えた。可愛がってあげてくださいと、紙が貼ってある。捨てるぐらいなら飼うなといいたいところだが、そういっても皆飼っては捨てていくのだから、声をあげても、結局変わらないのかもしれない。


 そして、横で拾われていくのをみていた。きっと可愛がってあげる事だろう。ああやって拾われて、あたたかい家族と共に過ごせるのは幸せだろうか。


 そう思ったけれど、きっとそれも間違いであったのだろう。拾われていく子犬から目を放して、反対の家を見たときそう思った。犬がリードで引き摺られている。外に行かせようとしているのか、それとも逆か。正直どちらでもいいけれど、どちらにせよ幸せではなさそうだった。もしも可愛がりの果てがあれなら、誰も可愛がられようとはしないだろう。可能性があるだけでも、きっと誰もなりたくない筈だ。


 家に帰ると、猫は僕の家の前で止まった。座り込んで、頭を掻いたりぐるぐる回ったりして、何かを待っているようにも見えた。直に母がでて来て、驚いていた。何でも、八年前に死んだお婆ちゃんの飼っていた猫だったと言う。左足の傷がそっくりそのままあるのだと気付いたんだと。


 何を目当てに家にきたのだろう。何を目がけて此処にきたのだろう。猫の緑色の瞳を見つめた。彼も此方を見つめた。僕の顔に、母の顔を見たのかもしれないと思ったのは、彼が来てから三日後だった。


 それから二日経った。その猫は死んだ。寿命だったと母はいった。冬、けっこう盛大に聞かせている暖房の座布団の前で、丸まって、眠るように死んでいたのだと言う。その顔は、人と猫との間の壁のせいで良く分からなかったけれど、けして苦しそうには見えなかった。


 彼は、幸せだったのだろうか。


 いつも考えている。幸せって何だろうと。もっと言えば、幸せな人生ってどんなものだろう、と。僕はそれに、一旦の答えをつける事にした。模範解答じゃないけれど、きっと答え合わせは、僕らが死んだ時にできるものなんだろう。


 幸せって、自由とはイコールで繋がってない事もあるのかもしれない。時間に囚われた人生が、幸せとは限らないけれど、不幸せとも限らないのかもしれない。鳩の様に追い散らされても、ソラを飛べる自由って言うのはすばらしいのかも知れない。ただただ前を向いて、猫の様に好奇心をもって生きられるのは美しい事なのかも。


 幸せって何だろう、っていう問いに、僕はこう答える。


 幸せって、ソレが何か探し続けるって事なのかも。ソレを突き詰めて突き詰めて、最後の最後に探し当てた時に、「幸せだ」と言って事切れることが出来るのかもしれない。




 とりあえずソレを探す前に、勉強を終わらせなくちゃな。あぁ、面倒くさい。


あ、こんな事やってる場合じゃないですね。連載書いて、後勉強しないと(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] それは掴み取ることは困難で、掴み取ってもしばらくすると慣れてしまい・・・だけど、他者に与えるにはわりと容易なもの、だと私は思います。
[良い点] 文章が綺麗ですらすら読めました 作者さんの素直な良い性格が感じられました。 [気になる点] 例えが動物ばかりだったので、少し単調にも思えた。 ほかの生き物(植物や虫など)も引き合いに出して…
2017/03/10 03:22 退会済み
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