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第八話 もはや料理ではない

前回のあらすじ。

俺の旅にセレスティナ・エルローゼが加わった。

まー…他のやつよりは信用出来そうだが警戒は解かない。


「…初めて腹がいっぱいになったな…」


本当、異世界に来たら空腹の方が多かったもんな。


「えっ…人間族なのに…ですか?」


ティナが疑問をぶつけてくる。

そもそもなんで種族が分かれてるのかが疑問だがな…


「まー…そうだな」

「そう…ですか…」

「どうした?」

「いえ、人間族にも、貧富の差はあるんですね…」


何を当たり前の事を…

リッチがいればボンビーもいるだろうに。


「…そ、そ、それで…その…メイさ…ん」

「今度はどうした…」


真っ向から話していたと思ったらいきなり俯きやがって。


「服は…その…いつになったら…」

「…あー…パン1かぁ…」


魚を取りに行った時と同じ格好になってたな。

乾いてねぇもん。

仕方ない。


「そんなこと言ってるお前だって、シーツいちま────」

「…きゃぁああッ!!見ないでッ!!」

「えっいやっどうしっ…あだっ!?いてぇ!?薪を投げてくんなッ!」

「ひっく……」


…なんだろう…

理不尽過ぎる。

ティナは暴れた後、何処かへ行ってしまった。


「…あっ…HPまた減ってるし。」



しばらくすると、ティナは帰ってきた。

さっきはベッドのシーツ一枚だったが、今は俺が渡した女性物の服を着ている。


「むぅ……」

「なんで睨まれてんだよ…」

「は…恥ずかしかったんですよ…?」


恥ずかしいねぇ…

てか…


「足は大丈夫なんだな。」

「あっ…本当だ…治ったみたいです…!」

「そうか。ま、とりま休んどけ。明日出発するつもりだしな。」


もう夕方だし。

それに治りかけが一番重要だ。


「メイさんは?」

「見張りだ。安心しろ。魔物が出たら担いでやる。」

「…私が先に…?」

「いいから寝ろ。病人。」

「びょ…病気ではないんですけど…」


知るかッ

早く寝ろッ!


「…ありがとう。メイさん。」

「…おう。」


ティナは案外すぐに眠ってしまったようだ。

そんだけ疲れてたのか…


「…」


…コイツ…

なんなんだろうな…

俺に飯作ってくれたり、あげくにはこんなとこまで追ってきたり…


「もう少し信じてやる…とはいかんか…」


やはり、セレスティナを知らなすぎる。

だからだ。

だから…なのか…?

いや…?


「…まだ過去を引きずってる…ってか…?」


ふざけんな。

こんな…

異世界まできて過去に縛られんのかよ。


「…冗談じゃ…ねぇよ…」


俺は暗闇を見ていた視線を変えて、ティナの方に向く。

…なんで笑ってるんだよ…

理解できん。


「ふぅ…」


俺は朝が来るまで暗闇を覗いていた。



「……ぁ…ん……あっ!メイさん!見張りは!?」

「朝から騒々しいな…少しだけ…仮眠を取るわ。」

「はい!見張りは任せて下さいね!」

「…おう……」


いや…待て…

ティナが襲いかかってきたりは…


「どうしましたか?」

「…ないとは思うが…な」

「へっ?ど、どうしました?」

「いや、なんでもない。」


俺はその場で横になる。

………


(眠いんだが…寝れねぇ…!)


眠いのに頭が活性化。

下手すりゃ牢屋の方が寝れた気がする。

はぁ…


(仮眠だ…仮眠…それに大丈夫だ…襲われはしねぇ…)


…多分な。

俺は目を閉じる。

少しだけ…少しだけだ…

あー駄目だ寝れねぇー!

あれだ羊を数えるんだ。


羊が一匹…

羊が二匹…

羊が…おうおうおう…そんな集団で来んなよぉおお!!


「だぁあああッ!眠れねぇ!」

「わっ!?」


ティナが俺の横でひっくり返ってた。

そこまで驚いたか?


「ご、ごめんなさい…」

「…なんで謝ったし。」


お前はなにもしてないだろ…


「…眠れないんですか?」

「…あ…ああ…」


ぶっちゃけ…恥ずい。

今頃と思うかも知れないが、ティナに見られたのが恥ずい。


「なら少し、お話しませんか?」

「お話…ねぇ…」


ここで俺の事を聞こうとする魂胆かよ…

…あー…

クソッ…

これが癖になってんな…


「ええと…何…話しましょう…?」

「いやいや、俺に聞くなよ。」

「そうですよね…」


…話すこと…ねぇ…

いっそ文字の事を探り入れるか?

…駄目だな。

もはや文字が読めないでこっち来たとバレたら馬鹿にされそうだ。

貧富の差とは言ってたからボンビーは文字が覚えられないとかありそうだが…


「あの…ステータスを見せてもらっても…いいですか?」

「駄目だ。」

「…はい…ごめん…なさい…嫌いにならないで…」

「元から嫌いだが?」

「そんなぁあ……」

「…情けねぇ声出すなよ…結構冗談だぞ…?」


ったく…

嫌いでも好きでもねぇよ…

まだ一緒に過ごして1,2日程度じゃな…


「結構って…嫌いな部分もあるってことじゃないですか」

「まー…そうだな。」


あるかもしれないっていう前提で進める。


「…何処なんですか…?」

「…は?」

「嫌いな部分…直せるように…善処します…」

「………」


寝るか。


「おやすみ。」

「えっ!?なんで今!?ちょ…ちょっと!」

「羊が1匹!羊が2匹!羊が3!4!5!…50匹!」

「なんでそんなに一瞬で増えてるの!?」


こんな馬鹿な事をしていると睡魔に襲われた。

少しは…

寝れそうだ…



「…んぁ…」


ここどこだ…


あー…川近くだな…

太陽が既に昇りきったか?

そんくらいの高さにある。

…異世界で太陽は変か。

恒星ランドロギウスでいいか。

…嘘だ。

なら太陽のほうがマシだ。


「…あ、起きました?」

「なっ…なんでこんな近くにいるんだよ…」


俺にほぼゼロ距離に近い距離で座ってるティナがいた。


「寝顔…可愛いですね。」

「…俺は可愛くねぇッ!」


クソッ!

男に可愛いは言うもんじゃねぇだろ!


「じゃあ、愛嬌があります。」

「愛嬌とかいらねぇから!イケメンとでも言ってくれ!」

「…はぁ?」

「うわ…結構傷つく…」


これならイケメンじゃねぇとか言われた方がマシだ。

はぁ?

だから。

めっちゃ意味不明何言ってんのコイツってなってたから。


「だってイケメンというか…かわい─────」

「やめろッ!行くぞ行くぞッ!」


はぁー!

もう!

かわいくもねぇし、イケメンでもねぇんだよ!

…うっせぇなこの野郎!

イケメンにはなりてぇよ!


「ふふ…」

「うっせッ!」


俺はティナと共に…


「…いや…やっぱ飯食うか…」

「あ…そ、そうですね…」


俺は服を着る前に川へと行き、8匹を手掴みしてきた。


「…1匹俺も焼いてみるか」

「え!?1匹と言わず…2匹…」

「爆弾を二つも作るつもりはねぇ!」


それほど酷いのだ…

だがティナは勘違いを今もなお、しているようで俺の料理は美味いと思っている。


「よし…こうでいいな。」


1本、俺の目の前で焼く。

…あわよくばこれで称号を…!


「…称号の為にコイツを犠牲にするのか」

「へ?メイさん?なんて?」

「なんでもねーよ」


俺らは焼けるまでひたすら待つ…



「フレイムボール…スコール…アクアガン…それと…ライトニング…」

「…ん?何言ってんだ?」


俺はティナが何かぶつぶつと言っていたので、気になって聞いてみる。


「あ、今まで覚えた魔法、何があったかなって…」

「ほー…」

「それにヒールもあったんですよ!昔、一度習って出来なかったのに!」

「ほ、ほー…」


…って言われてもねぇ…?

正直魔法は分からない。

だが…なんていうんだ…?

凄い聞いたことのある魔法もあった。

フレイムボールとヒール…か。


「あッ!メイさんは!?メイさんは何か魔法ありますか?」

「え"」


いきなりの質問。

魔法を覚えてないって悪いことじゃ…

ないよな?


「あっ…駄目な質問でしたか…?ご、ごめんなさい…なんでも…」

「…いや?覚えてねぇからいいが…」

「あっ…そうなんですか?よ、よろしければ教えましょうか!?」

「……良いのか?」


期待していなかった反応を見せてくれた。

魔法が覚えられるなら覚えるに越したことはない。


「はい!連れていって貰えるんですから!当然です!」

「………」


裏がないってのは分かってるが…

ううむ…


「…覚える方法はやっぱレベル上げ…か?ティナは習ったって言ってたが。」

「いえ?レベルは必要ないと思いますけど…」

「じゃあ…なんだ?」

「…人間族って習わないんですか?魔法。」

「さぁな?俺にはかん…いや、縁がなかったからな。」


ということにしておこう。

異世界から来て分かりませんとは流石に言えない。


「主に本から。後は習得者から詠唱の言葉を学んで出来るようになるんですよ?」

「ほー…」

「ただ、体質が合えばですけれど…」

「…元祖はどうやって覚えたんだろうな。」

「…へ?…あっ……考えた事…無かった……」

「この辺は教えてくれねぇのな。」


普通は教えるもんだろうけど…


「そういえばそうですね…うーん…どうやって…」


ティナはそう言いながら自分の世界へと入り込んでしまう。


「お、おーい。俺に魔法を教えてくれるんじゃないのか?」

「…」

「…あー…駄目だなこりゃ。一度集中すると他に目がいかなくなるタイプだ…」



次にティナと話したのは魚が焼けてからだった。


「ご、ごめんなさい。魔法を教える約束をしていたのに…」

「これから教えて貰えるなら文句ねぇよ。」


そう言って無意識に俺は魚を食べていた。

…目の前にあったのを…


「うっ…クソゲロまっずッ!?」


何故かHPが表示されていた。

HP100/125


ファーッ!!

まじで爆弾になってやがる!?

異世界という場所へきて暗殺道具になってやがる!!


「美味しいですか?一口…」

「いや、HP減るからこれ捨てるわ。」


そして炎の中へスローインした。


「ああっ!…はぁ……勿体無い…」

「お前はアレを武器にするつもりだったのか?」


俺は他の魚に手をつける。

うん、普通に美味い。


「やっぱ俺は飯番無理だな…」


ふっつうに焼いただけなのにな…


「…飯番って…ご飯は日替わり交代で料理するんですか?」

「いや、ずっとティナになりそうだ…」

「そうなんですか!?頑張りますね!」


うわー…

張り切ってるよ…


「ふふふ…!」

「…はぁ…」


何がそんなに嬉しいのやら…

俺らはそのあと、魚を全部平らげた。



「さてと…そろそろ行くか。」

「そうですね!どこへいくんですか?」

「そうだな…近くに街やら村やらはないのか?」


人頼りにした。

ここら辺の地理には疎いからな。


「川とは逆の方向に街があったハズです。」

「そうか…じゃあ、そこに行くか。」

「はい!」


俺らは火を消した後、街へと向かったのだった…

一部、文章表現の変更。

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