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第一話 メイ モトシマ

 ……見知らぬ小屋に俺はいつの間にかいた。

 俺は本嶋モトシマ メイ

 突然だが俺はどこにいるのだろうか。

 辺りを見回しても見覚えのない部屋なのだ。

 木造建築ということは分かったが、それだけだ。

 明らかに、人ん家だ。


「…………俺は飯食おうとしてただけだ。」


 なぜここに来たか。分かりゃあ苦労しないだろ。本当に普段通り晩飯のカップラーメンを食べようとしただけだ。何故カップラーメンか? 両親が仕事で遅いから手軽なカップラーメンだ。ちなみに俺に料理はNG。あっという間に見たこともないゴミに変える能力を持っている。焼いただけなのに何故か不味くなる肉。本当になんのタネもないのに、不味いのだ。純粋に。

 ……てかそりゃあどうでもいいんだ。どこだここは!


「すんませーん!」


 俺が叫ぶ。……沈黙が続く。キョロキョロとまた見てみると、あ、本がある。

 文字は……えっと……はぁ?


「……文字を見て異世界だと気づいたのは俺だけか?」


 いやいやいや! まず考えろ!? 異世界って本当にあんのか!? だってよ! こういうのはあこがれるなぁーとかそんな軽い気持ちでライトノベルとか漁ってたんだぞ!? 現実に起こってみろ! パニックだから! いや、現状だけどよ!


「っく……! 高校二年でぼっちだから悪いのか!」


 自分でも何を言ってるんだって思う。高校二年でぼっちだと異世界行くのか。いや、違うだろー……そんなんだったらぼっちとかいう言葉出来ねぇから。いやだから何を考えてんだ俺は……もっと違うこと考えるべきだろ。


「だーッ! もう! わーったよ! 外出ればいいんだろ!!」


 何がわーったんだと突っ込まないでほしい。現状に嫌気がさして、この場を去りたいだけなのだ。外に出るために歩いてみると、どうやらこの家は誰にも使われてないらしい。埃が物凄いし、タンスとかも漁ったがなんもない。ベッドの下も覗く。……っく! やはり秘密の本はないか……!


「いや、外出ろよ俺……」


 独り言が多いのは突っ込まないでほしい。ぼっちの特権なのだ。

 それはそうと、扉を開けて外へと出てみた。


「ほぇー……!」


 家の外は大草原だった。所々に、機械みたいな、ロボットのような、人型の何かが見える。


「すげぇ強そうッ!」


 目を凝らし、でっかいオノを持ったロボットを見てみる。

 ……うん、強そうで格好いいなあれ。


【機械兵】


 ……は? 頭の中にそんなテキストのようなものが浮かんだ。いや、というか自分の頭じゃねぇ……相手の頭の上だ。機械兵の頭の上に表示というか、表記があるのだ。

 現実じゃ有り得ない光景。異世界に来たことを再度確認させられる事実。そして、相手に表記が出るのならもしかしたら……。


「これは……もしや……?」


 ステータス概念系統異世界……? 世界がステータス……つまり、肉体的な強さが数値化した世界なのか? いや、もしかしたら魔物の名前が見えるだけか。ステータスとか念じたら、なんか出たりしないか……


なんかでた。


 メイ モトシマ

 レベル1

 最大HP100

 最大MP100

 攻撃力10

 防御力8

 魔法攻撃力6

 魔法防御力10

 素早さ100


「おっしゃぁあああああああああああああッ!!」


 ステータスデター! そしてキター!! 多分これキターッ!! 異世界人補正キター!! よっしゃぁっ! ラノベみたいな勝ち組なら文句ねぇや! 異世界に飛ばされてラッキーッ! こんな訳分からん場所でも、めっちゃラッキーじゃねぇか! これで俺TUEEEE出来るぜぇ!!

 ただ素早さ極振りかー! 素早い攻撃と移動で翻弄だろうなぁ! もしかしたらHPとMPも高いのかもしれない! ふふふ……! 攻撃力と防御力らへんはレベルを上げればいいな!! あげてけば素早さヨロシク、他もグーンと上がるだろうだからなぁ!! ふふふ……!! やべッ! テンションやべぇッ!!


「うっひょぉぉぉ!!レベル上げやってやるぜぇ!おっと……次のレベルまで…」


 ステータスの下の方をチラッと覗いてみる。


 次のレベルまであと

 999999999999999999999999999999999P


「うわぁぁああああああああああああああああッ!?」


 叫んだ。謎のテンションになった。燃えている場面でいきなりお湯をぶっかけられたような、謎なテンションだった。はぁ? 桁数どんだけあんの? レベル上がんの……? このステータスでやってけってか…………? 嘘だろ!? おいおいッ!!


「いやいやいやいや! 何!? 俺が悪いの!? なんかやった俺!? レベル1だよ!? なんでこんな初めから経験値いるの!? 俺の世界でもこれよりもっと少ないわッ!」


 いや、まず自分の体力とか数値で表されてねぇけど!


「い、いやいやいや! そ、そ、そうだ! スライムから取得出来る経験値が三万とかなんだ! それでもきついけどメ○ルスライムからなら三百万とかなら大丈夫だろうッ!」


 めっちゃ可能性低い事に期待している。みっともねぇけど、そうじゃなきゃ俺TUEEEEとか言ってる場合じゃねぇ! このままじゃ、落ちこぼれのままだ!!


「……てか人里ねぇの!? まずなんでここにいんの!? こんな中盤から後半の敵みたいなのながうじゃうじゃするとこにさ!!」


 今更、自分がいる場所に疑問が出てきた。くそー…………ん? 思ったけどヤバイんじゃね? いや、だってさっき見た本。明らかに日本語ではなかった。それならば使用する言語も違う……。


「……」


 顔が青ざめた。俺の異世界での物語、終わった……いやいや、もしかしたらがある! そう! 文字は違うけど言葉だけが同じっていう不思議機能! その可能性を考えたら元気が湧いてきた!


「……そうと決まれば人里を目指そう!!」


 俺の支度は早い。……たぶん。俺が初めに小屋でしたことは、使えそうなものを頂いていくということだ。人道? そんなものは知らないな。人いねぇだろうし、第一手入れ行き届いてねぇなら貰っとくわ。それに、こんな時にそんな事思うのは聖人君子だ。

 さてさて……と、小屋を漁りまくる俺であった。


 ……結果。

 質量保存を無視した袋を四つほど。本を数冊、ベッドのシーツ、埃の被った女性用の服、手鏡、コップや花瓶等……。


「あとはー…もうねぇのか…っち」


 舌打ちした。食料がねぇ……あっても腐ってるだろうけども。カップラーメン食う手前だったから……腹が減った……。


「……まぁ……とりあえず貰えるもんは貰ったな」


 流石にタンスとかを入れるのは無理だった。試したけれど、袋が潰れた。なので渋々諦めたのだ。どうすれば入るんだ……? うんうん唸っていても仕方無いかと思い、俺は袋を腰に提げる。……よし。


「多少……いや、物凄い不安だが、仕方ないよな。それにこんなとこにいたらそれこそ餓死する。」


 流石にこんなとこで死ぬのは嫌だ。そう思いつつ、俺は扉を開け小屋を飛び出す。丘を走り抜け、跳躍。まさに物語の始まりに相応しいような場面……だったときに、気づいた事が一つあった。


「勢いよくジャンプしたが、ここ高台だったのかよッ!!!」


 俺は空中を飛んでいた。バンジーをやったことないのに紐無しバンジーをやったことあるのは俺だけだろう。そのまま、身は重力に持ってかれてしまい、落下していく。


「うぉおおおおお!?」


 ドォォンという音と共に全身に痛みが走り、視界の隅にこう表示される。


 HP73/100


「背中……からで……助かった……というべきか……?」


 俺の前途多難な旅の……始まりであった。

これからの物語はどうなっていくんでしょうね。

作者は楽しみです。

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