第十八・五話 驚愕の朝
割と本気で警告タグのガールズラブを付けようかと思い始めた。
そんな話です。
ちなみに物語には直接的な関係性はないです。
ちょっとした番外編だと思ってください。
あれからおよそ7時間が経った。
結局私は神さまの元へ戻ることなく、お姉ちゃん達と共に旅館で一夜を過ごしていた。
・・・なんだかこれじゃあ私たちが“そういう事”をした、みたいな言い方だね。
まぁ、お姉ちゃんとなら喜んでするけど、このメンバーではしたくないよ。
それはそうと、どうやら一番最初に目を覚ましたのは私らしい。
時刻は間もなく7時となる。
目覚まし時計は7時半にセットされているから、あと30分は誰も起きないだろう。
それに、まだ三人とも無防備に熟睡している。
特にお姉ちゃんは『これはもう誘ってるんじゃないか?』と思ってしまうくらいに無防備だ。
うへへ・・・。
その淫らな姿は私の頭にしっかりと焼き付けておいた。
「ん・・・」
そんな吐息を漏らし、お姉ちゃんは寝返りを打った。
っぶ!?
へそチラ、キタッー!!
鼻血を浴衣の袖で拭き取り、もう少し詳しくお姉ちゃんを“観察”するためベッドへ上がった。
まずは邪魔くさい布団をとっぱらう。
すると、スウェットがめくれてしまったのか、その下にあるはずの健康的な太ももがあらわになっていた。
うへへ、すべすべしてるよ!
そう言えば、こうしてお姉ちゃんの普段隠れている部分をまじまじと見たのは久しぶりだった。
3年前はよく一緒にお風呂に入っていたが、それ以降にお姉ちゃんの裸体を見たり触ったりしたことは割と少ない。
今までは少女A的な立ち位置のレイとして生活していたから、堂々とお姉ちゃんの裸を見ることができなかったのだ。
のぞき見も試みたがあの時は警戒心が高くて無理だったし、チラ見もほとんどなかった。
だから今、その雪辱を晴らす!!
「おりゃっ」
「んんっ・・・」
おぅふ。
お姉ちゃん、散々馬鹿にしてごめんね。
意外と胸あったね。
私よりないけど。
ねぇ今どんな気持ち?
妹に胸の大きさで負けてどんな気持ち?
でもそんなお姉ちゃんが好きだよ。
「や・・・って、鈴?」
「あ」
胸を揉みすぎてしまったのか、お姉ちゃんが目を覚ましてしまった。
やば、どうしようこの状況。
気まずすぎる・・・。
一瞬、私とお姉ちゃんは停止していた。
が、即座に覚悟を決めた私はお姉ちゃんが動くよりも先に行動に移った。
「ちょ、っと!?」
「うへっ」
もうあとには引けない。
やるなら最後までやる。
そう決めた私の手は次第に・・・。
「鈴、ってばぁ」
「お姉ちゃん・・・」
見つめ合い、沈黙のまま相互の了解を得る。
お姉ちゃんも観念したのか馬乗りになっている私の首に手を回し、全てを受け入れる体勢を取った。
そして、遂に・・・。
「いつまでやってるつもりだ、お二人さん?」
「「!?」」
なん・・・だと?
結城さん、起きてたのか・・・?
全くその素振りが感じられなかった。
「い、いつから・・・」
見ていたの?
最後まで言葉が出なかった。
それだけ困惑し、混乱していたのだ。
「一応、鈴がベッドに上がったところから」
「ほぼ最初から見てたよ」
なぬ!?
鏡花さんまで!?
「・・・」
声が出ない。
やばい、本当にやばい。
ファーストコンタクトは上出来だと思ったのに・・・。
まさか自分の煩悩がそれを滅茶苦茶に粉砕してしまうとは。
くっ、ちょっと十分くらい前の自分を殴りに行きたい。
「まぁ、仲の良い姉妹なんだな」
「羨ましいですね」
・・・あれ?
なんだろう、この反応は。
普通「気持ち悪い、こっち見ないで歩く猥褻物陳列罪」とかそういう反応なんじゃ?
「っは!?」
私はここで重要な事に気付いた。
よく考えたらすぐわかるじゃないか。
女三人一緒に過ごして喧嘩の一つもないんだ。
それに温泉ではキャッキャウフフしていた。
そこから導き出される結論はただ一つ。
「貴方たちも同類なんだね」
まさかね。
まさかそんなわけ・・・ない、よね?
「鈴、この二人は違うよ!ていうか僕も違うけど・・・」
「「・・・」」
なんで二人は否定しないの!?
正直自分たちの運命とか宿命とかよりもびっくりしたよ・・・。
目覚まし時計の音が鳴り響く中、私はそんな事を思った。




