第十一話 ごめんなさい、嫌いです
昨日の分です。
できればもう少し投稿したいですね。
ふと思ったんだけど、なぜこうも急に人が増えたんだろう。
それにレイの言葉が事実だとしたら、この二人は僕と何かしらの繋がりがあるはずだ。しかも親友や恩人というレベルの。
うーむ、こんな人たち記憶にないけどなぁ。
「ごちそうさまでした」
鏡花さんが手を合わせお辞儀しながら言った。
礼儀正しい人なんだろうな。
・・・だったらスカートで全力ダッシュしないでほしいけど。
「さて、お前が食い終わったんなら俺たちは行くぞ」
「え、どちらに?」
「・・・さっき説明しましたよね?」
どんだけ飢えていたんだ。
心の中でツッコミつつ、僕はもう一度鏡花さんに説明しなおす。
「これから僕の地元へ行くんです」
「どうして?」
「この現象、人類の全滅を防ぐためです」
「はぁ・・・?」
この人理解していないな。
まぁ馬鹿に構っているほど僕たちは暇じゃない。
説明はこれくらいにしてさっさと出発しよう。
「では、結城さんお願いします」
「おう」
そう言いながら立ち上がり、給油を終えたKLXへ向かう。
ここから僕の地元までは100km強。
まだもう少し時間がかかってしまう。
できれば日が沈む前には着きたいところだ。
「・・・って、なぜあなたまでついて来てるんですか?」
「え?」
KLXの手前で振り返り、澄ました顔で付いてきていた鏡花さんを睨みつける。
「あ、歩ちゃんこわぁい・・・」
「それは睨んでいますからね」
僕、ぶっちゃけこの人嫌いなんだよね。
なんというか、頭とゲフンゲフンが緩そうだし。
あと胸が無駄に大きいから。
あざと清楚系女子ってこういう人のことを言うんだろうね。
あざといのかは知らないけど。ていうか天然?
「で、なんでお前は付いてきたんだ」
結城さんがそう聞くと、鏡花さんはニコっと笑いながら。
「逆に私をこんな所に置いていくってひどくないですか?」
「なんで?」
まず『逆に』とか言う人は嫌いなんだよね。
何様なの?って思う。
「なんでって・・・。缶詰の件といいあなたって最低ですよね」
「まぁ、それは置いといてだな」
結城さんが苦笑しながら言い、って置いておくんだ・・・。
そこははっきり否定してほしかったよ。
「どの道このバイクには乗れて二人だ。お前が来たら定員オーバーなんだよ」
「えぇ?もう一人いけませんか?歩さんスレンダーですし」
「喧嘩売ってんですかね?買いますよ、今すぐにでも」
太もものホルスターに入っている拳銃に手を掛けながら言うと、鏡花さんは引きつった笑顔で言った。
「じょ、冗談ですよ。個性があっていいと思います」
「やっぱり喧嘩売ってるじゃん!!」
「まぁまぁ」
拳銃を抜こうとしたが、途中で結城さんに羽交い絞めされてしまい、鏡花さんを仕留め損なってしまった。
・・・次はないからね。
「・・・そういうことだから。悪いな」
鏡花さんはうーんと悩み、何か思いついたのかぽんっと両手を打った。
「ではあれですか。私もバイクに乗れば連れてってもらえるんですか?」
「だから乗れないって言ってるじゃないですか。引っ張るのならいいですけど」
「そんな市中引き回しの刑みたいなの嫌ですよ・・・。そうじゃなくて、ちょっと待っててください」
言うと、鏡花さんはどこかに走っていった。
今がチャンスだね。
「さぁ、行きましょう」
「お前もいい性格してるよなぁ・・・」
行きましょう、いや待ってよう、いや行きましょう、いや・・・というやり取りを続けているうちに鏡花さんが戻ってきてしまった。
くっ・・・またもや結城さんに助けられたな・・・。
「ほら、私がこれを運転すればいいんですよね?」
「おぉ、って・・・これロードバイクじゃないか?」
確かに、バイクはバイクだろう。英語でバイクは自転車だからね。
「えぇ、そうですよ」
「・・・乗れるんですか?」
「一応趣味で乗ってますから」
そうじゃなくて、スカートで乗れるのか聞いてるんだけど。
まぁ、本人がいいって言うのならいいんだろう。
「ちなみにロードバイクでこっちに追いつけるのか?」
「全力で漕げば」
「結城さん、こっちも全力で飛ばしてください」
「どんだけ私の事嫌いなんですか!?」
「道端に吐き捨てられたガムくらいには好きですよ」
「え、そ、そう・・・」
なんでこのビッチは照れてるんですかね?
実質嫌いって言ってるのに。
「付いてこられるならいいけどさ、遅れても待ってやらないからな」
「はい!大丈夫です!」
はぁ・・・。
こんな人いらないんだけどなぁ。
「・・・仕方ないですね」
結城さんも妥協してるみたいだし。
この人ならほっといてもついてきそうだし。
しょうがないかな、っと思った矢先。
「ふふん。歩ちゃんはツンデレなんだね。もっと素直に私の事を好きだといえばいいのに」
なにを勘違いしてるんだろう、こいつ。
ここはきっぱり言っておいたほうがいいだろう。
「ごめんなさい、嫌いです」
「またまたぁ」
なんだこいつ。気持ち悪い。
ともかく、ようやく出発することができる。
こんなやつ無視してさっさと行きましょう。
そう結城さんに呟きながらKLXに跨った。




