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涙の上に  作者: ぬるま湯
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 TVに集中しながら晩ご飯を食べる。向かいには陸斗さん。会話は一切ない。陸斗さんはご飯、あたしはニュースに夢中。いや、正直に言えばあたしは向かいにいる陸斗さんの存在ばかり気にしている。


 土日の夜は、二人が揃って食べる珍しい時間だ。平日の朝はあたしが早く、夜は陸斗さんが遅い。土日の朝は陸斗さんが早い。昼はばらばらだ。

 とてつもなく不思議な感じがする。少し気を抜くとなんであたしはここにいるんだろうとか、そういう方にばかり考えてしまう。

 食べ終えて食器を流しへ持っていく。陸斗さんもちょうど食べ終えたようで、席を立つ姿が視界の端に映る。


「俺が洗うわ」


「いや、あたしがやるからいいよ」


 こんなときにお言葉に甘えちゃいけないっていうのは、前の家々で学んだ。よく働く遠慮深い子を演じないといけない。

 さすがにあたしも陸斗さんは信用できる人だってわかってる。でも不安になる。ずっとここにいたいから。

 陸斗さんは何も言わずに何秒かじっとあたしを見つめた。

 な、なに?


「……やっぱ、俺がやる」


「あっ……」


 とられた。

 これ以上食い下がるのはしつこいと思い、すごすごと台所を出る。そのあたしの背中にまた声がかかった。


「まり、これも当番な」


「そんな、悪いよ。あたしにやらせて」


「……俺はべつに、用事やってくれる人が欲しかったわけじゃない」


「え……」


 しばらく言葉が出てこなかった。

 なんか、考えてることを全部見透かされてるみたいな感じだ。


「そういうことで」


 黙々と皿を洗う陸斗さんを見ながら、後ずさって台所を出るとぱたぱたと部屋へ駆け込んだ。


 今の言葉はどういう意味にとったらいいの?


 あたしがいるだけでいいとか? いやいや、それは自惚れすぎ。

 じゃあ、うっとうしいからやめてくれ、だったり。ああそれは悲しい。却下。


 ごろん、と畳の上に転がる。天井の木目を見つめながらぼーっとする。


 しっかりしようと思った。彼の言動に振り回されていてはだめだ。自分のことをちゃんとやっていかないと。やらなければならない課題はたっぷりとあるはずだ。三、二、一で体を勢いよく起こして教科書をつかみ英語の予習を始めた。

 シャーペンは時々止まる。


 やっぱりあたし、だめだーー。















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