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涙の上に  作者: ぬるま湯
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 地面が冷たいのも忘れてただ座っている。おそるおそる陸斗さんを見上げてみた。


「……っ」


 妖しいという表現がぴったり当てはまる、口元に貼りつく笑み。不覚にもどきっとしてしまう。


「立てない?」


「っそんなことない!」


 やたら強気な反応をしてしまう。そうしないと負けるような気がしていた。


「無理しなくていいのに」


「してない!」


 何が楽しいの!?

 腕に力を込めてぐっと踏ん張り立ち、そのまま早足で玄関に向かう。


「急に態度変わったな、まり」


「それは、そっちのほうが……」


 玄関の鍵を出そうとしてはっと気づく。しまった。自転車のカゴに鍵が入ってるカバンを忘れてきた。

 ……今、そんな間抜けなこと言いにくい。

 手ぶらで突っ立っているあたしを見て、陸斗さんはすぐに察した。


「取ってきなよ、待っといたげるから」


 くっくっと満面の笑みで笑う。


 もう! この人絶対陸斗さんじゃない。もしかして双子とか? 本物はどっかに閉じ込められてたりして。

 しかし、彼が口を開くたびに高鳴る鼓動がこれは本人だと主張してくる。


 あたし、おかしいんじゃない?


 こんなSにときめくとか。まさかあたし、M? いやいやそれはない。そんな趣味はない。

 ふらふらする足取りでカバンをとって戻る。


 ああ、これからどうなるのーーー?




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