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涙の上に  作者: ぬるま湯
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 どん、と陸斗さんがあたしの後ろにある壁に手をついた。逃げられない。

 鋭い氷のような目で見下ろしながらあたしの返答を待っている。


「と、ちゅうから……」


 声が震える。怖かった。


 今まで優しかったのに、どうして?


「ふーん……ぷっ、震えすぎ」


 陸斗さんが手をのばした。その手があたしの頬に触れる。びくっとする。


 これ、誰?


 声に出ていたらしい。笑われた。


「俺、こんな奴だから。そんな意外だった?」


「うそ……」


 ぶっきらぼうでつかみどころがないけれど、いい人だと思っていたのに。


 待って……これって、今までとおんなじパターンじゃない? もしかしてここもダメなの? 追い出されるの?

 

 あたしって一体、何なのーー。


 視界がにじむ。涙が出ていた。

 いやだ、泣きたくない。陸斗さんに泣き顔なんか見られたくない。

 こんな状況になってまでまだそんなこと気にするのか、と少し自分に呆れる。

 涙はとうとう頬を伝う。一筋じゃ終わらない。どんどん出てくる。嗚咽とかはなかった。ものすごく静かに泣いていた。


 もういい……どうにでもなれ。めんどくさいやつと思われてしまえばいい。


「……いや、その、ちょ、…泣かなくても……」


「……は?」


 驚いて涙が止まった。

 明らかに陸斗さんは動揺している。さっきの女の人も泣いてて、あの人はあんなに冷たく突き放したのに。








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