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ガラスのピアス

頬杖を外して顔を上げる。図鑑を閉じて鞄の中に入れ、席を立った。

庭に出ると思ったよりも暖かかくて、ジャケットを脱いだ。家を出るときには風が冷たかったのに、今は風も止んでいる。溜息をつきながらショートカットの髪を撫でる。耳たぶのお気に入りのガラスのピアスが髪に引っかかっていた。彼に会えそうな気がして付けてきたのが馬鹿らしくなって外した。大通りに続く街路樹の道を歩いていくと、さっき見かけた家族達とすれ違った。

立ち止まって思わず振り返る。

家族の後を背の高いスーツ姿の男性が通りかけて手を上げたのだ。彼だった。

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