9)拝啓・お前が生み出せるのは悲しみと不幸(後半ウンコ)
「お邪魔します」
俺は若干緊張しながらタマさんの部屋に入った。
辺りを見渡すとドラゴンのはく製やら、動いている植物や…俺が今までに見たことがないものがいっぱいだった。
気味が悪い…ゾクリとした。
一言で済ますと…悪趣味だ。こんなところで夜中眠ることができるのだろうか?
俺だったら…絶対に寝れないが…。
「うちお医者さんやで、気味悪いのは堪忍したってな」
「え?」
タマさんは俺のほうを振り向いて言った。
今タマさん…まるで俺の心を読んだかのように…。
俺は驚いて口をパクパクした。もしかして…タマさんエスパー!?
やばい!!俺のあ〜んなことや…こ〜んなことや…さらにうふふ〜んなことまでエスパーで覗かれているかも!?
「なんや?アリスはんはアホやな〜。アリスはんの表情めっちゃわかりやすいわ」
と、タマさんは喉を押し殺して「ククッ」と笑った。
もっともタマさんの表情は猫の仮面によって隠されていて分からないが…でもこれはあきらかに馬鹿にしていることが俺でも分かった。
あ〜…すこしでもタマさんがエスパーかと思ってしまった俺が憎いぜ!イェィ!
「そういえば…タマさんはお医者さんでしたよね…」
そういえば、タマさんはお医者さんだったのだ。
たしかにお医者さんだったら…気味悪いはく製とかは頷けるような…頷けないような…。う〜ん。
「せやな〜。あ!そうそう。男はあんまりこの部屋に居させとーないで早く済ますで!」
そう俺に言い放つとタマさんは長く黒い髪を一つにしばった。
この人は…本当に…女好きなんだな…。そして猫のように自分勝手な人だな。ォィ。
改めて実感させられた。でも、タマさんって変だよな絶対。
ってか、このお城にお医者さんが居ると言うことが俺にはどうしても疑問に思うことがある…それは―。
「あの…早く終わらしたい所悪いのですが…あなた達妖怪っていうか…人間ではない方々って病気になったりするのかな〜なんて…」
俺は苦笑いをしながら、タマさんの答えを待った。
「んな当たり前やで!!うちらだって風邪だって引くし、病気で命の亡くすことやってあるんやで!生きている以上それは避けられへんことや」
「そ…そうなんですか」
タマさんが被っている表情の変わることのないお面でお話するのは、どうにもぎこちがない。
どうやら妖怪も風邪だってひくらしい。インフルエンザとかなったりするのかな?
そもそも体の仕組みは人間と一緒なのだろうか?ぅ〜ん。
「あんな、考えている時に悪いんけど、このベッドに座ってくれへん?」
そう言ってタマさんは俺を白いベッドに手招きする。
俺はタマさんの手招きする方に行き、大人しく白いベットの上に座った。
ってか何故俺はここにいるんだろう?説明不足なためか俺は不安だ。
まさか…解剖されたりとか…するんではないだろうな…。と嫌なことが俺の脳裏に浮かぶ。
「あの…タマさん。これから何をするの?」
「え?なんや!!ピロエはんから、何にも聞いとらんかったん!?」
お面の下からタマさんの驚いた声が聞こえた。
「え…はぁ…まぁ…そうっすね」
「あ〜…うちが説明か〜面倒やわ〜」
タマさんは頭をかきながら俺の隣に座る。タマさんが座るとベッドが弾み、タマさんの綺麗な長髪が揺れる。
そしてお面を真っ直ぐと俺に向けて話始めた。
「先うちが言ったとおり、うちらだって風邪ひいたりするんやけど、でも人間はうちらの百倍免疫が弱い上もろいんや」
「ひゃ…百倍も」
ということは逆に言うと…妖怪は人間の百倍免疫力は強いってことだよな!
「せやから、人間は免疫力弱いから異次元の空間に一週間も耐えられずに…『死ぬ』んやで」
「え?」
タマさんのお面はひたすら表情を変えることなく俺を見つめていた。
そのお面の下から発せられた言葉の
『死ぬ』
その言葉は俺が恐怖に落ちるのに十分すぎる言葉だった。
顔から血がひくのが分かる。
「『死ぬ』!?俺『死ぬ』のォオオオオオ!?」
頭を抱えて俺は叫ぶ。まだこの年の若さで死ぬのォオオオ!?
童て○のまま死ぬのォオオオ!?いやだ!!いやンンンン!?
「ま…まぁ、アリ男はん落ち着いて」
「落ち着けないっすよォオオ!しかもアリ男じゃねーし!アリ男じゃねーし!」
一体この人はアリ男ではない!!と何度言ったら分かるんだ!!チキショー!!
絶対わざとだろ!!
「まぁまぁ、こういうときのためにおるのが医者やろ?」
タマさんは親指を前につきだした。俺は横目でタマさんを見る。
猫のようにヒョロリとしていて、猫のように気分やで…。
とてもではないが…とても頭が良さそうに思えないし…それに医者の技術がありそうでもない。
俺の答えは一つしかない。
「俺死んじゃうゥウウウウ!!」
俺は目に薄っすらと涙をためて頭を抱えた。
「ちょぃまちィ!ォィ!!コラ!!うちが医者と言うのは無視かいな!」
「死にゅぅううう!!死ミュウウウ!!」
「ったく…多少強引やけど、この手しかあらへんな」
そう言いながらタマさんはポケットの中から短剣をだした。
念のために言っておくが…タマさんの表情はお面に隠れていて…そのためタマさん自身の表情は見えない。
俺は一気に冷汗が穴という穴から吹き出すのを感じた。
「タ…タマさん?」
まさか…とは思うけど…まさか!?!?
「強引やけど、これしかないんや」
タマさんは俺に刃の鋭いほうをむけた。
ウソ!この人本気だよ!!ギャハーーー!!!!
「いやいや、タマさん待ってよ!!俺タマさんが馬鹿っぽくて絶対医者だと思っていたから!!」
「なんや…それ…めっちゃ矛盾しとんやん。まぁ、一瞬やから痛みもあらへん。な?マリ男はん」
俺は思わず顔が引きつるのを感じた。背中には汗がビッショリだ。
俺はなるべくタマさんにから離れるようにベッドの隅によった。
一瞬って…コエーよ!!死んでたまるかァア!!最後に「マリ男」と言われて死んでたまるかァアア!!
俺は二次元のキャラクターの主人公じゃーねーんだよ!!
「うぉおおおおお!!くらえ!!俺の必殺『スーパーDXウルトラハイパーもしかしたらカレー臭いんじゃないのキックスロアー・マイケルぶつぶつect……』」
俺は全神経を足に集中した。見よ!!これぞ我が必殺技!!
『スーパーDXウルトラハイパーもしかしたらカレー臭いんじゃないのキックスロアー・マイケルぶつぶつect……』だ!!!
「………―必殺技長いわ」
タマさんはあきれたようにため息をつきながら短編を俺の額にめがけて投げつけた。
――ザシュ
俺が今までに聞いたことがないくらい鈍い音が聞こえた。
タマさんの命中力はすごい。どうやら俺の眉間にジャストヒットだ…。
どうやら俺は「マリ男」と言われて…必殺技を言い終わることなく…死んでいくらしい。
あ〜あ…まだ生きたかったな。
せめて『スーパーDXウルトラハイパーもしかしたらカレー臭いんじゃないのキックスロアー・マイケルぶつぶつect……』を言い終わってから…死にたかった。
俺は色がなくなる景色…ベッドに倒れた。
「あんな〜。マリ男はんめっちゃ大げさやねん。なんでうち医者なのに人殺さんとあかんのん?」
ふいに俺の頭上から大阪弁のタマさんの笑い声が聞こえた。
え?ってか人の声?俺………もしかして……―!?
――ガバッ
俺は倒れていた体を急いで起き上がらせる。
ベッドには俺の血らしきものはみられない。
「生きてる!!スバラスィイイイ!!生きてりゅぅううう!」
「ほんまマリ男はんは大げさなヤツやなぁ」
タマさんのお面の下から喉を押し殺したような笑い声が聞こえる。
「え?でもタマさんなんで?どういうこと?ちなみにマリ男じゃねーよ」
そもそも何故俺は短剣を眉間にヒットして生きているのだろう?
それに何故タマさんはこんなことをしたのだろう?
俺の頭は次々と理解ができないことが起こってすでに爆発寸前だ。
「あえてゆうなら…アリスはんを俗に言う幽霊という妖怪にしたんや」
「へ?」
幽霊という…妖怪!?
どういうことだ!!俺は恐る恐る足元を見る…。嫌な予感がする。
――ガーン!予感的中!!!
「足ねぇええ!!」
そう。俺の予感は見事に的中した。
俺の膝から下は足がない。というか消えている…!!どうしよう!!これぇえええ!?
「にゃにゃにゃにゃんで…こんなことしたんだよ!!」
「はぁ〜アリスはんさっきの説明聞いとらんかったん?」
わざとらしくタマさんは俺に聞こえるほど大きなため息をする。
俺はムッっとする。
「聞いてたよ!!説明!!」
「人間というのは弱い種族やから、お前を幽霊という種族にしたんや」
え?意味が分からない。
「へ?」
「やから…人間というのは免疫力がうちらの百倍弱いゆうたやろ?この別次元に1週間も、もたへん。やからお前を幽霊にして免疫力を人間の百倍強くしたってゆうことや」
「あ〜あ…なるほど…ってオィイイイイイ!!」
つっこむところだらけだぞ!!これぇえええ!?
何それ!!俺幽霊!?俺今日から執事ではなくって幽霊!?ちょっと…あれ?え??
俺はいろんなことがありすぎてグワングワンする頭をただ両手で抱える他はなかった。
「まぁ…今回うちの仕事はこれだけや。お疲れやったな。アリスはんが混乱する気持ちは分かるで」
タマさんは俺にふわりと手をおいて、まるで猫をなでるように優しくなでた。
なんか…タマさん妙に優しい…。たしか男嫌いのはずだったのに。
「せや…この薬飲むと安心するで」
タマさんはそう俺に告げると戸棚からビンに入った薬を持ってきて、俺に一粒水と一緒に握らせた。
タマさんの好意だし…これを断るわけにもいかない。
なんせチキンの俺にはそれを断る勇気すらないわけですし。
「ありがとうございます」
俺はタマさんに笑いかけると、いっきにうけとった薬と水を飲み込んだ。
すこし違和感を感じたが…まぁ、さほどたいしたこともないだろう。
タマさんはじっと俺を見つめていて、飲み込んだのを確認すると満足そうに俺の頭をなでた。
「いい子やな。アリスちゃん♪」
タマさんは鼻歌まで歌っていてご機嫌この上ないようだ。
というか…何がそこまでタマさんをご機嫌にしたんだろうか?
ってかアリスちゃんってどういう意味?俺男なんだけど。
――ガクン
俺は突然体に変な違和感を感じた。
な…!!
なんだ?!これぇええええ!!
俺の体は急速に小さくなりそのため服がぶかぶかになる。
そのくせなんだか…胸がきつい…。
って―…もしや…!?これは!!
「やっぱ思った通りや…アリスはん女の子になると別格に可愛いなぁ」
タマさんは声をうっとりさせて猫のお面の下から俺を眺める。
「はぁ!?」
俺はタマさんが言った意味がよく理解できないものであった。
「女の子になると」と言う意味は…どういう意味なんだろう?
そんなの一つに決まっている…。タマさんが言ったとおり俺は女の子になってしまったのだ!!
縮んだ身長、大きくなった胸がそれを語っている。
「だだだって…タマさん…安心する薬だって…だって…言っていたじゃん!!」
「ッ……アリスはん―………。ウソにきまっとるやァ〜〜〜ん♪ほんまにかわええなあ」
タマさんは俺に強く抱きついてくる。今の俺の身長の推定は160cm…。
タマさんの推定は180cm…。はるかにタマさんのほうが大きく俺はタマさんの胸の中で暴れることしかできなかった。
ちょっと!!胸が!タマさんの胸が!!
忘れていた!!!タマさんは万年発情猫だったんだ!!
「ギャ!!やめろ!」
「止めへん」
俺の耳元でタマさんのゾっとするような低い声が聞こえた瞬間だった。
俺の視界が反転して、俺の視界に天井が見えた。やばい…!!これは…やばい!!
ようするに俺は今タマさんにベッドに押し倒されてる状態だ!!
「ギャーーー!!」
俺は叫びながらタマさんを叩いたり精一杯抵抗を見せるが、タマさんはいともたやすく俺の腕を掴んでしまった。
どうやら、家に引きこもっていた俺の握力はそうとう衰えたらしい。
「大丈夫やて♪おいしくうちがいただいたる!」
そう言ったタマさんはまるでお面の下で舌なめずりしている猫のようだった。
俺はこれから起こることを想像してしまって、自分でも血の気が引くのがわかった。
それはともかく…俺の…俺の…童て○が…最悪な形で終わってしまう!!
それだけは避けなくてはならない!!
「ギャー!!発情猫!人でなし!!猫でなし!!このアホタンポン!!この…」
「ええなぁ…可愛い♪やっぱアリスって名前は女の子が一番似合うと思うんやけど、アリスちゃんはそう思わへん?」
「どうでもいい!!」
「せやな…アリスはんもやっぱ女の子の方がアリスって名前似合うと思っとるようやな」
いやいやいや!!思ってもいねーし!!そんなこと俺微塵もカケラも思っていないから!!
「ほんじゃま…アリスはんが女の子のうちにいただきま〜〜〜す」
タマさんは俺に食いつくように飛び掛ってきた。
なんとか…なんとか…コレを阻止しなくては!?!?
「タ・タマさん待って!!駄目だって!!俺だって男だし…それにタマさん…―」
俺だって男だ。
タマさんだって…
「タマさんだって…女の子じゃん!!!!」
その瞬間タマさんの体がピクリと反応する。
数秒時が止まったようにも感じたがタマさんのいつも明るい声でその沈黙も壊される。
「はは!!何ゆうとるん?うちが女やって?ほんまおかしい話やな」
「……タマさんは女の子であることを隠しているようだけど…俺…タマさんが女の子であることが分かったんだ」
「……ほんまに?」
「う…うん」
「……はぁ〜…なんや……せっかくのムードぶち壊しや」
タマさんは俺の腕を解放してベッドから立ち上がった。
そして俺をただじっと見つめた。
俺は言ってはいけないことを言ってしまったのかもしれないと思い、自然と体を強ばらせた。
「アリスはんはいつから分かったん?うちが女であること…お面だって被っていて顔もわからんのに…ましてやうちはこんなにも長身で…男っぽいのに」
いつもと違う真剣な声がお面の下から聞こえた。
「えと…集会の時は男かな〜って思っていたけど…タマさんに会った時人目で女の子だと思った…かも…」
「なんや!!だったら初対面からうちが女の子であること気がついておったんか!!」
「えと…まぁ…うん…」
「なんや!!自分はめっちゃかっこ悪いやん!」
タマさんはそう言いながら今まで自分の素顔を隠していた猫のお面を取り外す。
タマさんの長く、黒い髪が邪魔してよく見えなかったが、白い肌に大きく真っ黒な黒目を持ったタマさんはとても整った顔を持っていた。
身長だって180cmあるし…本物のモデルさんみたいだ。
何故そんな綺麗な顔をお面に隠すか分からない。
「もぅ…ええわ。うち疲れたで早く帰りぃ。薬の方は時間が立てば自然に男に戻るから」
タマさんはベッドの横になって俺を追い払うように手を上下に振って「シッシ」と言った。
先程まであんなにも優しかったのに…タマさんが女とバレた瞬間これだ。
思わず俺は顔が引きつったままその場に離れることにした。
「でも…タマさん。すごく綺麗なのになんで顔隠すの?」
「な!!」
「スタイルだっていいし(タマさん胸はないけど)」
「な!!な!!」
「俺的には十分可愛いと思うんだけどな」
「なななな!?!?早く帰れ!!このアホゥ!」
そう言うとタマさんは思いっきり俺に枕を投げつけてきた。
「ブフ!!」
俺に枕がジャストヒット!!
俺は枕が行き来する中急いで部屋を出て行った。
正直何故タマさんが枕を投げてきたのか…わからない心情である。
目目目目目目目目目目目目
「タマさん。ここにアリスさん居ませんでしたか?」
どこから来たのか、部屋の天井に白いフクロウが優雅に飛んでいた。
タマはベッドに横になりながら声が聞こえた上を見る。
「アリスはんなら…さっき行ったで…」
「ああ。そうなんですか」
「……なぁ、白フクロウはん」
白フクロウは呼ばれたところに羽を休めに行くと目をクリクリさせてタマに「なんですか?」と問い、タマの言葉を待った。
が、タマは数秒の沈黙してからやっと蚊のように小さな言葉を出す。
「アリスはんって人間の中でも特殊なエスパーやったりするん?」
「いいえ?ただの普通の一般的な人間ですが?」
白フクロウは首をかしげながら答える。
「なんかあったのですか?」
「いいや、なんもあらへん…ただすこし…驚いただけやねん」
そう言いながらタマは真っ赤な顔を隠すように猫お面を被った。
(アリスはんと居るとペース狂うわ…)
目目目目目目目目目目目目
ここまでお読み頂きありがとうございます!!(・∀・)
よっしゃ!←何!?
やっとタマのお話が…完成しました+゜
たぶンタマが女の子だと気がついている人もいたかもしれませン;って力設定無理やりすぎましたかね(+焦'`;;)
とにかく…アリスも幽霊になってしまいましたね;
自分でもこれ力らすこしでもハーレムらしくなるように頑張りたいです!!
もしよ力ったらですが感想、評価をいただけると本当にうれしいです><
どうぞ、こンな小説でよかったらこれ力らもよろしくお願いしますw