7)拝啓・執事たるものお洗濯!
―「適当に執事にしちゃえばいいのにね」
メリアスのささいな…いや、適当な一言が俺の人生を大きく変えることになる。
―「し……し…」
―「「「「「「執事ィイイイイ!!!!!」」」」」
俺が背にしている扉の向こう側から思わず耳を塞ぎたくなるような大きな声が聞こえた。
どうやらいろんな人の声がシンクロしたらしい。
ってか…何故そんなにも驚くんだ?執事=メイドさんみたいな感じだろ?
―「何言っているんですか!?メリアスお嬢様!?」
メイドさんかなり焦っているご様子。
―「なんや?新手のジョーク?うちらのお嬢様はほんまおもろい方やなあ」
大阪弁は気のせいかもしれないが声が震えているように聞こえた。
―「「キャハ☆★」」
新キャラ2人の声。
―「本気だよ。だって私達にとってお兄ちゃんを殺した方がきっと面倒になるよ」
ぉお!!さすがメリアスだ!!むしろメリアス様だ!いや…神・メリアス!!
―「私はあの人間が執事になられるほうがもっと面倒になると思います!!ここは殺すべきです!」
ギャハー!メイドさんの鬼!悪魔!人でなし!大魔王・メイドさん!
―「うちもピロエに賛成やで!男が来たらうちのハーレムが壊れるやんか!」
ゥウッハ〜!頼むから大阪弁静かにしていてくれ〜!
―「私がアリスお兄ちゃんを殺したくないの!」
メリアスが痺れを切らして大きく怒鳴った。
―「しかしですね!メリアスお嬢様は執事の大切さを分かっていないのです!
執事たるものは…お城を代表するもの!
時に、主のお客様が来たなら万全の対応をし
いかなるパニックにも冷静に対応し
時に戦い、自分独自の武器をもち、信頼性、社会性、時に非情にもなる…
それが執事なのです!!ですから執事によってお嬢様のお城が評価されると言っても過言ではのですよ!?もし人間をこの屋敷におきたいのなら…もっと別の役割を!」
…ぇ?執事って…そんなにも大切なの!?
ってか俺武器もってねーよ!!持っているといったら…エ○本ぐらいしか…。
とにかく俺に執事は壊滅的なほど無理だ!!執事たるもの戦う?絶対俺、俊足で死ぬって!?
―「ピロエさん。興奮しすぎですよ。それに私達がどうこう決める問題ではないですよ。結局決めるのは主ですから」
息が荒いメイドさんとは対照的に白フクロウの落ち着いた声が聞こえる。
ゴクリと俺は唾を飲んでメリアスの答えを待った。
―「でも、ピロエはそろそろ執事を決めたほうがいいって言ったじゃん」
メリアスは寂しそうに頬をふくらました。
―「もし執事にするなら…もっと上級の種族を執事にするべきです。あんな下等な…人間なんて!?殺すのが駄目なら他の役割をあの人間にあたえるべきです」
そうだ!!今回はメイドさんに俺は賛成だ!
俺は執事には絶対向いていない!もぅ…雑用でいいから!
なんだったら…お洗濯もするぜ?(キラーン)
いや、決してやらしい考えではないからね!よこしまな考えじゃないんだからね!
―「…コックさん、お医者さん、庭師さん、郵便さんがこのお城にそろっている…他に何もないじゃん」
―「しかし…」
―「執事は私が決めるんでしょ?」
―「う…はい」
―「だったら決定!!」
え?そんなノリで決定してもいいの!?
―「今日から…アリスお兄ちゃんを執事としてこのお城にむかえま〜す!」
ぇええええええええええええ!?うそ!
ぇええええええええええええええええええ!!!!誰か!
ウソだと言ってくれ!
―「なんやて!!本気かいな!?お嬢はん!」
―「「キャハ☆★」」
―「なんかすごいことになっちゃたね〜★」
―「でもいいじゃん☆楽しそうだから☆」
―「どうしましょう!!下等生物が…まさか…!」
―「みなさん静かにして下さい。では以上で集会を終わりますね」
白フクロウは相変わらずの落ち着きようで半ば強引に集会を終わらせた。
――ガチャン
突如俺の背にしていた大きな扉が開く。
「うお!!」
驚きのあまり俺は声をあげてしまう。
ふいに扉を開かれたのにも驚きだがもっと俺を驚かせたのが、扉を開けられた瞬間目にした…メイドさんのものすごく不機嫌そうな顔だった。
メイドさん独特の真っ青な目が光を無くして泥沼のような色の目になっていた。
「おめでとうございます。執事に決定しましたよ!人間が!」
メイドさんは低い声でそう俺につげた。顔をムスっとしていて人目でひねくれていることが分かった。
よほど俺が執事になったのが不満だったのであろう。
「ははは…」
俺はどう対応をしていいか分からずにとりあいずその場で苦笑いをする。
「いちよう改めて自己紹介を死ますね!」
あれ?今、しが死に聞こえたような…。
「私はピロエといいます。コックです。人間というのは下等でメイド服を着ていればメイドさんと思いがちですが、料理長なので!嫌いなものは人間です!!以上です、夜露死苦汚根蛾胃死魔洲」
ピロエさんは俺をきつく睨みつけると、「ふん」と鼻を鳴らしてその場から姿を消した。
(俺の足を思いっきり踏んで)
というか俺が今まで思っていたメイドさんは実はコックさんだったんだ!?
以外なことに俺はすこし驚いた。
――キィー
扉からそっくりの顔をした女の子二人が顔を覗かす。
というか双子さんだ!!
二人とも髪の毛は左右に二つに結んでいて、年はおよそ高校生くらいだろう。
髪の毛の色は一人が真っ黒で、もう一人は真っ白だった。
「「ぉぉおお〜☆★」」
その二人が俺を指をさして驚きの声をあげた。
俺は双子のその予想外の反応に驚き思わず一足下がってしまった。
「人間だ〜★本物だ〜★握手して〜★」
黒い髪の子が俺に近寄ってきて手を差しのげて握手を求めた。
何?このテンション?こんなテンションでいいわけ?
「ねぇー☆人間って心臓を刺したら死ぬって本当なの☆?もろいね〜☆」
白い髪の子が俺に尋ねてきた。
ってか…この双子二人なんなの!?なんなの!?一体!?初対面なのにぃぃいい!?
「ムエは心臓刺しても大丈夫なんだよ〜★だからどんどんムエの心臓さしてね★キャハ★」
「ねー☆人間君☆試しに君の心臓刺してもいい☆?キャハ☆」
「「なんちゃって〜☆★アハハハハ☆★」」
双子二人は何を思ったのか顔を合わして仲良く笑い出した。
ゾクリとした。
確実に言える…。こいつらも人間ではない。
まぁ、もっともこのお城にまともなヤツを求めてはいけないのかもしれないが…。
「あ★そうそう★人間君★」
「君の名前は何て言うの☆?」
黒い髪の少女と白い髪の少女は突然何かを思い出したかのように笑うのを止めて俺に質問を投げかけてきた。
「ぁ?俺?俺は…アリスです…」
「「え☆★?」」
二人は目をまん丸にして驚く。俺に嫌な予感が走る。
「「アハハハハハハ〜☆★」」
数秒おいてから双子二人は腹をおさえて笑い出し始めた。
だから嫌だったんだ!アリスという名前!!もぅ…!もちろん俺の顔は真っ赤になった。
「アハハ★面白いね★でもさぁ、アリス君、君って最高だよ★!」
黒い髪の子が俺の右肩を軽くポンと叩いた。
俺はもちろん何が最高なのかよく意味が理解できずにいた。
「そうそう☆普通はもっと私達がバケモノと聞いて驚くべきでしょ☆!!なのにアリス君ときたら…」
白い髪の子が俺の左肩を軽くポンと叩いた。
「たしかにいろいろ驚きだけど…正直どうでもいい、好きにしてくれ…みたいなヤケクソ的な感じかな…」
確かに俺はお前達バケモノの存在に驚いたが…もうこうなった以上は仕方がない。
俺を好きにするといいわァ!!俺の体が目的なんだろ!?
あぁ、好きにするがいいさ!ただこれだけは言っておく!!お前達に真の愛はつかめない!
みたいな感じでヤケクソなわけですよ。
「「アハハハハハ☆★最高☆★」」
何が面白いのか再び双子二人顔あわして笑い出した。
まったく俺には、この双子二人はまったくペースがつかめない。
「あ☆そう言えば私達の名前言ってなかったよね☆アリス君☆」
「私はスエ☆女王様って呼んでね☆」
白い髪の子がニッコリと俺に笑いかける。
「私はムエ★虫けらって呼んでもらってもけっこうだから★」
黒い髪の子がニッコリと俺に笑いかける。
不思議に思ったことなんだが…二人とも正反対のこと言ってるよな?
女王様って呼べっていったり、虫けらと呼んでもいいよって言ったり…ってか名前言ったいみないじゃん!
「知っていると思うけど、ムエ達双子だから★」
「あとあと双子庭師で〜す☆」
双子の庭師なんだ…。あれれ?でも庭師って二人いる必要あるの!?
その上、双子だからどっちがムエさんでどっちがスエさんか分からなくなってきた…。
えと、黒い方がムエさんで…白い方がスエさん?あれ?
やばい…二人のペースに俺飲まれているじゃん!!
「なんや!!やっぱり男や!知っとたけど、やっぱショックやわ」
ふいに俺の背後から関西弁が聞こえてきた。俺は反射的に後ろを振り返る。
「あ★!タマだ〜★」
「万年発情猫〜☆」
俺の後ろにはネコのお面をかぶった黒い長髪の人がたっていた。
「満場発情猫やないで、つねにうちは恋をしとるんや!ピロエはんも好きやし、メリアスお嬢はんやって好きやし、もちろんスエもムエも好きやで!」
親指を立てる大阪弁に俺は苦笑いをした。
正直今の感想。このお城にはまともな人はいない。と改めて思った。
そういったところであろう。
「ただ…」
大阪弁は俺の方をじっと見た。
ネコの仮面をかぶっているせいかもしれないが、表情の読み取れないお面は俺を不安にさせる。
「うちは男は大の大っ嫌いやけどな!」
「………」
正直男は嫌いと言われて男である俺はどのように反応をしたらいいんだろう?
「すいませんでした」
この一言に限る!
「ほんまや!で、名前は何て言うんや?」
「えと…」
「「キャハ☆★アリスだって☆★」」
俺が名前を言うのよりも早く双子コンビが俺の名前を言った。
「…です」
「アリスゆうんか!チキショー!!そんな名前なのになんで女の子やないんや!!理由を言ってみィ」
いや…俺に理由を求められても困るわけなのですが…。
「すいません」
こういうときもこの一言にかぎる!!
「まったくや!んで、うちの名前はタマっていうんや。このお城のお医者さんやで」
どうやら大阪弁の名前はタマと言う名前らしい。しかもお医者さんって…。
俺はどうしてもタマと言う名前が下ネタのほうに考えがちだが…。
「キャハ★その名前っていつ聞いても本当面白いよね〜★」
「うんうん☆万年発情期の猫にぴったしの名前だよね〜☆」
双子の意見に妙に納得。
「ちゃうで〜!!そういうスエはんとムエはんは極度のSMコンビやんか!まぁ…そういうのも、うちは好きやけど」
…俺の推測なのだが、恐らく白い髪がドがつくほどSで、黒い方はドがつくほどMだ!間違いない!!
あの双子二人は似ているようで似ていないもんな…。
ってか本当にまともな人いないよな!!
「うるさいですよ」
扉のほうからすぅーと白いものが飛び出てきた。白フクロウだ。
「メリアスさんはもうお眠りになったんですから静かにして下さい。あとあとあなた達も明日の朝は早いですよ」
白フクロウの羽音よりも小さな声で白フクロウは注意をした。
「せやな…うちらもここらで退散としておきまんか」
「ねぇ―☆スエは朝苦手だから寝るね〜☆」
「ぇえ―★ムエは夜更かし好きだな〜★まるで夜にいじめられているようじゃん★」
「どっちでもいいですから、早く寝てください」
「「はいはい☆★」」
「ほな、みなはん。おやすみ〜」
そう一言告げた瞬間タマさん、スエさん、ムエさんは姿を闇にけした。
いずれにせよ…今のは人間業ではないよな。
「アリスさん大変だったでしょう?」
白フクロウが俺の肩にとまる。
未だに白フクロウが言葉をしゃべるのはとても違和感があった。
「あ…はい…まぁ…」
「すいません…。私が間違えて手紙を送ったばかりに…こんな目にあってしまって」
「ぇ…?いやそんなことないっすよ!」
もちろん俺はこの場で「まったくその通りだよ!」と言える非情な人間でもないし、そんな勇気もない。
「本当に申し訳ないです」
「いやいや本当に、気にしないで」
俺はなるべく不安が顔に表れないように満面の笑みでわらってみせる。
「ありがとうございます…」
「はは。でもこう言ったら悪いけど正直まともな人いないなぁ…。って思っていたから、俺はあなたのようなまともな人とお話ができてうれしいですよ!」
まぁ…もっとも人ではないが。
「アリスさんは優しいんですね」
「いやこれが普通だと。そう言えばフクロウさんは何て呼べばいいのかな?」
「お好きなように呼んでやってください」
「じゃーフクロウさんで!!」
「はは。いいと思いますよ。私は郵便担当なので何か手紙だしたいものあったらお気軽に言って下さい」
「あ、はい」
俺は手紙を書くような友達はいない。が一様返事はしておいて損はないだろう。
「まぁ、お互い朝早いですし。寝ますか」
「朝早いんっすか?」
「だいたい6時くらい?ですかね?」
早!俺の起床時間は11時だぞ!
「へ…へぇ〜早いなぁ」
「ですから、寝ますか」
「ですね」
「あ。アリスさんのお部屋は右ですから。しばらくこの部屋で過ごしてください。すぐにアリスさんの専用の部屋つくりますから、その間はここで我慢してもらってもいいですか?」
「いやいや、ぜんぜんいいっすよ!」
「ありがとうございます。では、おやすみなさい」
「フクロウさんもおやすみなさい」
俺はドアを閉めてすぐに大きなベッドに横になった。
願わくば…今日起こったことが全て夢でありますように…。
そう願いながら…。
目目目目目目目目目目目目
ドアが閉まった後…
「さてさて、アリスさんは何日執事を続けられますかね?」
と白フクロウが楽しそうに微笑んだのはアリスは知るはずもなかった。
ましてやこれから何かがはじまることも…。
目目目目目目目目目目目目
やっと…やっと…前半終わりました(・∀・)
嬉しいです!!+゜でも中盤はこれの倍長くなると思います…↓もしよかったら最後までお付き合いを…;
さて02、タマ、スエ、ムエがやっと登場しましたww
スエとムエはSMコンビを意識して作りました(*ノv`//)゜.+
スエを逆から読むと…ムエを逆から読むと…。ってな感じです('艸`+笑+)
いずれにせよ、そのキャラクターも性格を維持していけたらいいな…って思っています★+゜
本当にもしよかったらですが、評価、感想を貰えると目リングの肥料となり頑張らせていただきます♂♂
ここまでお読みいただきありがとうございました⌒+゜