人間ゴム
「それは、砂糖と酢飯が火花を散らす、誰も見たことのない戦いの記録である。」
序文の例
かつて、甘味と酸味が覇権を争う暗黒の時代があった。寿司飯大魔王の侵略により、世界が絶望の酸っぱさに包まれようとしていたその時、一人の救世主が立ち上がる。
幾重もの層に身を包み、弾力と甘みを武器にする孤高の戦士。人々の平和と、大洋菓子時代の到来を夢見る彼の名は、ミルフィーユ。
これは、甘美なる情熱とサクサクとした執念が織りなす、壮絶なバトルの全貌である
『俺はゴムになる!』
そんな決め台詞から闘いは始まった。
『にーんげーんの!』
ミルフィーユは、大きく(小さく?)極限まで身を縮めた。
そして次の瞬間、びよーん、と音を立てながら敵の喉元に向けて突進していったのだ。
「ゴ、ゴムだと……!?」
直撃を受けた敵は、自身の喉を叩きながらカハッと息を詰まらせた。
「ふはは! 我がパイ生地は千の層! 伸びて弾けて絡みつくのだ!」
ミルフィーユはビヨンビヨンと不規則に跳ね回り、部屋中を縦横無尽に飛び交う。
幾重にも重なったクリームが、高速移動の風圧で敵の顔面に飛び散った。
「目がああ! 甘い! 甘すぎるぞお前!」
「甘いのはお前の考えだぞ!」
さらに限界まで縮んだミルフィーユが、再びゴムのように弾けた。
「喰らえ! 超・圧縮パイ生地のどづきラッシュ!」
怒濤のサクサク連打が敵を襲い、甘い香ばしさが戦場を包み込んだ。
『うがあっ!これでは甘過ぎて生活習慣病になってしまうぞ!』
敵の寿司飯大魔王は、弱々しく膝をついた。
『おのれ!人間ゴムめ』
おのれ!人間ゴムめ……!』
寿司飯大魔王は酢飯のボディを固め、必死に体勢を立て直そうとする。
「無駄だ! 俺の海賊王への道は、甘い誘惑だけじゃ止まらない!」
ミルフィーユはニヤリと笑い、パイ生地を限界を超えて折りたたんだ。
「ギア……セカンド! いや、カスタード増量・ギア・サード!」
「なにっ!? 生地の中にカスタードを極限充填しただと……!?」
ミルフィーユの身体が黄金色に発光し、甘い蒸気がモワッと立ち込める。
「喰らえ! ゴムゴムの……カスタード・ギガ・ピストル!」
ドカァン! 巨大化したパイ生地の一撃が寿司飯大魔王の胴体をぶち抜いた。
「ぐはぁっ……酢飯と甘味の……奇跡の悪魔的フュージョン……完敗だ……」
こうして、世はまさに大洋菓子時代を迎えるのだった。
因みにミルフィーユは、輪ゴムなので、菓子を包装するのに大変役だった。
まさかの「本物の輪ゴム」エンドでした。
本作は、某有名海賊漫画の熱いパロディと、洋菓子対和食というカオスな世界観を勢いだけで駆け抜けた超ショートコメディです。
「カスタード・ギガ・ピストル」という響きの語感の良さと、生活習慣病をガチで心配する寿司飯大魔王の小市民ぶりにクスッとしていただけたなら幸いです。
最後になりますが、お菓子を留める際はぜひ「ミルフィーユ(輪ゴム)」をご活用ください。ご愛読ありがとうございました!




