あれとこれ
ナンセンス物語ですので面食らわずにお読みください。
可能な限り、お家騒動に巻き込まれてみたかったのだろう。散々散財したあげく僕の貯金箱はから。明日には、小遣いが入るらしい。それまでは、干し草でも茹でているしかない。
「僕は宇宙飛行士に憧れていた時期がある」
「なんでもいいけどさ、その干し草本当に食うの?」
「宇宙でどんな目に遭っても良いように、胃袋だけは鍛え上げてきたんだ」
「そうけ」
お家騒動と言っても大したことじゃない、お父さんとお母さんが喧嘩しただけだった。そこでお父さん側についてしまったのが運の尽き。お父さんは何故か家を追い出され、何を血迷ったか小旅行を計画。持ちあわせが少なかったため途中で電車賃が尽き、僕の貯金箱も用に供された。その後、飲み食いして、家の近所の公園に戻ってきて僕等は野宿を決行。次の日、偶々友人が通りがかって、「何してんの?」と訊かれた次第。
「ねえ、思うんだけど」
「なんだい?」
「一日くらいなら無理に変なもの食べないで我慢すればいいんじゃない?」
「…何となく食べなきゃいけないような気がして」
「お金なら貸すけど」
「いや、そんな厚意に甘えるわけにはいかない」
「そうけ」
友人が立ち去ろうとする。僕は慌てて大きな独り言を言う。
「ああ!!ここにもし何か食べ物があったら、こんな干し草なんて食べなくていいのに!!」
友人は立ち止まってバッグの中から何かを取り出す。
「パン食う?アンパンだけど」
「ありがたく頂戴します」




