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大迷宮の創造者  作者: POG
第3章

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王都へ

「早速いくか王都へ—と、その前に、ルシフェル」


「はい。何でございましょうか?」


「しばらく離れることになるからな。連絡手段をどうしようかと」


 流石にオボロが往復して連絡するのは時間がかかるし負担も大きい。

 そもそもオボロの影がどれぐらいの距離まで繋がるかもわからないしな。


 その事をルシフェルに伝えると


「それでしたら問題は御座いません。オボロではなく影を直接通して(わたくし)の声をお伝えいたします。主様側からも同様に可能です」


「そうなのか。わかった」

 これで連絡問題は一旦解決だな。


 ……それにしても、影便利すぎないか?それともルシフェルの応用がすごいのか?

 確か、オボロが転移みたいな事ができるのはルシフェルのおかげだったよな。


「よし。なら改めて出発だ。行くぞ」


「かしこまりました。では、失礼致します」


 ミカエルが俺を持ち上げ、鞄の中に入れた。

 今回の旅は基本、鞄の中から外を見る感じだな。


「行ってらっしゃいませ」


「あぁ。行ってくる」


 ルシフェル達の見送りを後に俺達は王都へと旅立った。



 ダンジョンを出て数十分後

 俺たちはホルウルカゼ村の馬車の乗合場に到着した。


 乗合場には多くの人々がおり、馬車の出入りも多く行われていた。

 鞄の中から覗く狭い視界でもその多さが感じられた。


「ここでいいのか?そういえば今回王都に行くのはお前らだけか?」


「いえ、もう一組冒険者パーティが同行するようです。ここが集合場所ですが…まだ来ていないようですね」


 他にも居るのか。

 まぁ護衛って言ってしな。それはそうか。


「今日の依頼は商人の護衛かなんかなのか?」


「はい。王都で祭りが開催されるとの事で、商人にとっては稼ぎどきなのだとか」


「ほぉ、祭りか。それは楽しみが増えたな」


 そんな会話をしつつ、他パーティを待つ事約十分。

 件の冒険者パーティが到着した。


「来たようですね」


 ミカエルの視線を追うと、そこには三人組の男が居た。


「おう。お前らが今回組むパーティだな。すまんな。遅れちまって。ベックの野郎がなかなか起きなくてな」


「お前が昨日酒を無理やり飲ませたんじゃねぇか!それにお前もさっきまで寝てたろうが」


「あぁん!お前だって途中から自分で飲んでじゃねえか」


 俺たちを前に二人の言い争いは続いた。

 …大丈夫なのか?コイツら


「こら、二人とも!ちゃんとした挨拶も無しに何喧嘩を始めてるんですか」


 三人組の魔法使いっぽい人が宥めつつ挨拶をしてきた。


「すみません、バカが。では改めまして、今回依頼をご一緒させていただく三級冒険者パーティ『風の旅団』です。あそこで喧嘩している二人がガイオとベック。そして僕がヒューです」


 三級か。位ならミカエル達と同じだな。


「あぁ。同じく三級冒険者パーティ『天竜』のミカとルターだ」


 天竜?偽名の方は聞いていたけど、パーティ名は聞いてなかったな。

 天使と人竜だからだろうけど、知らない人からすればだいぶ痛いパーティ名だな。


「お噂はかねがね。とても強い冒険者だとか」


「世辞はいい。予定より遅れているのだからな。依頼人のところに行くぞ」


「二人とも!…はぁまったく〈スリープ〉」

 その言葉と共に喧嘩をしていた二人が倒れた。


 おぉ。中々心配になる倒れ方だが大丈夫なのか?


「貴様。クラスは何だ?」

 ミカエルがヒューに対して質問を投げる。


「僕ですか?僕は最近ようやく《賢者》になりまして」


 賢者か。ルシフェルと同じクラスだな。ということは強さ的にはルシフェルと同等なのか?


『いえ、クラスは同じですが、ユニークスキルや元々の種族としての性能などを含めるとルシフェルにぶがあります。しかし、魔法に関してはマスターを含むこの六名の中で最も優れています』


 すげえな。流石は最上位クラス。


「他二人もどうやら上位クラスのようですね」


 ウォルターもヒューに関心が向いたようだ。

 まぁ、同等に強い可能性があるからな


「ええ。二人とも上位クラスです。それなりに長くやっているので。僕も地元じゃ天才なんて呼ばれているんですよ。…ついつい話し込んでしまいましたね。ではいきましょうか〈フロート〉」


 眠った二人を浮かせ進むヒューに俺たちも同行した。


 依頼人の元へ着くと一人の男性が馬車の手入れをしていた。

「こんにちは。こちらはグランツさんの馬車であっていますか」


「ん?あぁ、そうだけど。あんたらが依頼を受けた冒険者か…ってその浮いてる人らは大丈夫なのか?」


「気にしないでください。ただのバカなので」


「…そう、か」

 そして、依頼人の商人から依頼内容の詳細を聞き、王都へと立った。



 馬車で王都へと向かい、一時間ほどが経過した頃。


「「はっ!」」


 ヒューにより眠らされていた二人が起きた。


「やっと起きましたか」


「こ、ここは…馬車の中か…」

「眠らせるのはガイオだけで良かったろ」


 それにしても結構寝てたな。護衛として大丈夫か?

 いや上位クラスをこれだけ眠らせる《賢者》がすごいのか。


 そう言えば村から王都までどれくらいの道のりなんだ?

 聞いてなかったな。


『なぁミカエル、王都まではどれくらい掛かるんだ?』


 鞄越しにミカエルを脚でつつき

 顔文字を映すところに文字を表示して、ミカエルに聞いてみた。


「…そうですね…おい、商人」


 ええ、依頼主に「おい、商人」って凄いな。

 こんな旅の初っ端から関係値を落としたくないぞ。


「ミカ様、依頼主を相手にその様な態度をとってしまっては、後々面倒なことになるかも知れませんよ?ここは私が…」


 見兼ねたウォルターがミカエルを注意しながら商人のグランツへ変わりに質問をした。


「失礼、グランツ殿。ここから王都までの道のりはどれ程でしょうか?」


「こっからか?…そうだなぁ。大体、二、三週間ってところだな」


 二、三週間⁉︎

 結構掛かるんだな。

 というか俺のダンジョンはそんな田舎にあったのか。


「ありがとうございます」


「おっ?なんだアンタら二人は王都は初めてか?」


 ウォルターとグランツの話を聞いていたのか、こちらに興味を示したガイオが話しかけてきた。


「えぇ。『風の旅団』の皆様方は?」


「俺たちは何度も行ってるぞ。それに今回は祭りもあるしな」


 祭り…そう言えばこのグランツも祭りのために王都に行くんだよな。

 稼ぎ時だとかなんだとか。


「祭りとはどの様なものなのですか?」


「なんだ、お前らも祭りが目当てかと思ったが違うのか」


 ガイオは少し驚いた顔をしていた。

 横で聞いていたヒューが説明に入った。


「王都で行われる祭りは鎮森祭というもので十年に一度しか行われていないお祭りなんですよ。ちなみに僕は今回、初参戦です」


「俺とベックは二度目だな」


「それでその鎮森祭の内容なんですけど。

 王都のすぐ側には《豊樹の深林》って言うダンジョンがありまして、そこのボスであるエンシェント・トレントが十年に一度、胞子を放つんですよ。で、その胞子に触れた魔物は凶暴化しダンジョンの外に溢れ出すんです」


 ダンジョンから外に出るってヤバくないか?

 一般人からしたら怖いと思うけどな。


「最初の頃は王都に住む人達の間で恐れらていてさっさとボスを倒せと声が上がったそうなんですが、《豊樹の深林》で取れる樹木は一級品で国の特産品なので抑えることは出来ても倒す事はできないそうなんですよ」


 実力云々よりも政治的な問題か。

 それでも対処が遅れたら一大事だろ。


「ですが、魔物の対処で依頼を受けた冒険者の間で普段ダンジョンの奥にいる魔物が討伐できると盛り上がったんですよ。それがさらに広がり今では祭りになるまでになったんです」


「そうそう。俺たち冒険者にとっても希少素材を取れる稼ぎ時なわけだ。まぁ、エンシェント・トレントの相手だけは今でも騎士団が担当だけどな」


「万が一倒してしまったらダンジョンが消滅して国の産業に関わりますからね。それ以前に倒せるか怪しですけど」


《賢者》が倒せるか怪しいか。

 エンシェント・トレントねぇ。


 ま、騎士団が相手をするなら関わることもないだろう。




 こんな他愛もない会話をしつつ俺たちは王都への旅路を続けた。

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