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大迷宮の創造者  作者: POG
第2章

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アヴィリルボデー

 平和だ。

 ここのところダンジョン内は平和な空気に包まれていた。


 もちろん現在も冒険者達が侵入しているが、問題はそこではない。

 悩みの種であるミカエルが現在外に出ているのだ。


「いやぁーアイツがいないだけで心の平穏が保たれる」


 俺はライアーからの情報を聞いた時、思いついてしまったのだ。


 ミカエルを情報収集と称して外に出し、しばらく俺離れをさせようと。


 もちろんアイツ一人だと何をしでかすかわかったものではないのでお目付役として、ウォルターもつけた。


 中々に上手く行ったね。


 それでも三日に一度のペースで報告しに戻ってきてるけど。


 流石にこの間、ダンジョン・コアと一緒にミノタウロスを連れてきたのは驚いた。

 ウォルターがミノタウロスについて力説していたので、まぁ許可を出したのだけれども。


 現在はシュラの部下としてつけている。

 ミノタウロスは中々に強いらしく、ダンジョン内の武闘派連中がこぞって模擬戦をしている。


 それとウォルターの手袋も役立っているようで何よりだ。ミノタウロスを倒すのにも役立ったらしい。

 アイツの手袋何故か能力ついてるけど。

 俺が進化したからか?


 手袋を作るのにも苦労したのだ。素材として星屑鋼(スターダストスチール)とダンジョンにいた蜘蛛型の魔物の糸を加工して作った特殊な糸を使い、糸を俺が形成して演算機が手袋に加工するという並列作業を行っていたのだ。


 おかげで【並列演算】なんてスキルも手に入った。


 そしてこのスキルを得た事によりようやく目処が立った。

 かねてよりの俺の目的。

 俺の移動手段、身体を作るという目処が。


 最近ミカエル達の報告を聞くたびに思うのだ。

 外出てぇなと。

 こんなダンジョン内の空じゃなくて本物の空を見てぇなと。


 だがこのダンジョン・コアという身体では外に出る事が出来ない。


 実は一度試した事がある。

 演算機に無駄だと言われながらも諦められずダンジョンの外に出ようとした。

 だが見えない壁にぶつかり出口を通る事が出来なかった。


 だから俺は考えた。

 人型の身体は欲しい。

 しかし技術的に今は人に見える人形を作るのは無理だ。

 だが、外に出るだけならば人型でなくてもいいのではと。

 俺の意識を別のに移す目処もついている。


 よし、善は急げだ。早速、ルシフェルやアマクニに相談しに行こう。



 アマクニの工房にて

「と、言うわけなんだ。どうにか俺の身体を作れないかな」


「そう言われやしても俺は武器や装備が専門なんで、そう言うのはルシフェルさんの方が」


 アマクニが困ったように眉を顰め、ルシフェルへとふる。


「確かにアマクニでは難しいでしょう。主様の要望はどちらかといえば魔法、錬金術寄りですからね」


「まぁそうだよな。錬金術は俺が使えるから、魔法はルシフェルに頼ろう。俺の身体には武器もつける予定だからアマクニも一緒にいてくれ」


「はい、旦那」「かしこまりました」


 さて最初はデザインからかな…いや先にやる事があるな。


「【大地魔法】発動。〈水晶生成〉」


 魔法を発動すると目の前に俺の半分程の大きさの水晶玉が現れる。


「今回作る、身体の核はこいつだ。俺はこいつに乗り移って身体を操作する形だな」


「その水晶にですか。どのようにして乗り移るのかお聞きしても?」


「あぁ。実は最近新しいスキルを手に入れてなそれをつかうんだ」


「最近…【並列演算】でしょうか」


 ルシフェルは直近の出来事からそう判断した。


「いや、【並列演算】も使うけど、乗り移るのはまた別のスキルだ。【憑依】ってスキルなんだけど」


 この【憑依】なぜか熟練度が上がって手に入れたのだ。

 関連するスキルなんて持っていないのに。


 そして思った。もしかしたら俺はダンジョン・コアに憑依している幽霊的な何かなのかもと。


 演算機いわく

『幽霊状態のマスターがダンジョン・コアに乗り移りそのままコアに定着したものと考えます』

 だそうだ。


 ステータス表記はダンジョン・コアだし、進化だって出来たから謎のままだが。

 そのステータス表記もどこまで正しいかは分からないけど。


 まぁそんなこんなで【憑依】スキルを手に入れた俺は、これならダンジョン・コアは外には出られないと言う制限を無視できるのではないかと考えたのだ。


「【憑依】ですか。それはまた丁度いいスキルを手に入れましたね」


「だろ?やはり天も俺を外に出そうとしているんだよ」


「それでこの水晶玉ですかい」


「そうだ。俺と同じサイズだと結構でかいからな。大体半分の大きさにした」


 作る身体のイメージとしてはこの水晶玉にロボット的な四つ足と腕を二本ぐらい付けた形にしようと思っている。


 俺はそのままのイメージを二人に伝えた。


「そうですね。ではわたくしは身体につける足と腕に術式を刻みましょう」


「俺はこの身体の大きさに合う武器を考えますよ」


「おう。頼んだ」


 俺はとりあえず身体を覆う外殻と手足を作るか。

 そうしないとルシフェルに渡せないからな。


「いつも通り星屑鋼を加工しようか」


 …まず水晶玉を嵌める場所を作って…四方には機械的な足を作って…最後に変幻自在なロボットアームを取り付ければ…


「はい完成!」


「素晴らしい出来栄えですね。主様」


 目の前には俺の理想通りの姿のロボットがいた。

 若干うまく行っていない箇所もあるけど許容範囲だ。

 演算機に頼らず作れるとは…俺も成長したと言うことか。


 …

 と、言うわけで。

 演算機さん修正お願いします。


『了解しました』


 演算機の作業は数秒で終わり、ロボットは完璧になった。


 ルシフェルに託そう


「ルシフェル。術式は頼んだぞ」


「かしこまりました。ところで核には術式を刻まないのですか?」


「そこは問題ない。俺が乗り移るからな。言うなれば俺自身が術式だ」


 ルシフェルは納得したのか自分の作業に戻った。


 数分後ルシフェルによる術式の刻印が終わり水晶玉を嵌める。


 見た目はいい感じだな。問題は憑依した後、ちゃんと動くかどうか。


「よし。行くぞ【憑依】!」


 スキルを発動した一瞬、視界が闇に覆われる。

 しかし次の瞬間には視界が低くなりしたから俺の身体、ダンジョン・コアを見ていた。


 憑依は成功したのだ。


「よし!成功だ!」


「おめでとうございます」

「成功しましたね。旦那」


 俺は問題が起きていないかしばらく歩いてみた。

 結果、少し動きはぎこちなかったが、これは俺自身が慣れる事によって解決すると思う。


「おぉ。腕も動くぞ。武器も取り出してみよう」


 この身体にはアマクニが作ってくれた剣、盾、斧、槌の四つの武器が格納されている。

 どれも身体に合わせて小さいがちゃんとしたものだ。


「はっ、よっ、やぁっ」

 武器を動かすが振り回すだけで全く扱えなかった。要練習だな。


 …異世界にきて初めて剣を握ったな。機械越しだけど。


 あと一つ、コイツには機能が備わっている。

 それは


「なぁ、見てくれ。うまく顔は表示されているか?(。´・ω・)?」


 水晶玉には顔文字が表示されていた。これが俺が一番こだわってつけた最後の機能だ。


「はい。見えております」


「よし。うまく行ったな( -`ω-)」


 これでやっと「俺の身体を作ろう計画」が前に進んだな。


「ところで主様。こちらのダンジョン・コアのお身体はどうなるのですか?」


「ん?あぁ。それなら問題ない。さっき言った【並列演算】でその身体にも俺の意識はまだあるんだ。微弱すぎて何も出来ないけど。俺の代わりに【演算機】が操作する」


 以前として俺の本体はこのダンジョン・コアのままだ。

 俺が外に出ている間にやられてしまいましたじゃダメだから一様この中に演算機さんが入って操作している。

 何か問題が起これば連絡が来てすぐさま元の身体に戻るてはずだ。

 中に入ってる演算機も分身みたいなものだから今の身体にもちゃんといるけどな。


「と、言うわけで。俺は早速外に出て、冒険をしてこようと思う」


「お待ちくださ——」


「暗くなる前には戻ってくるから!」


 俺はルシフェルの静止も聞かず走り出した。


 外の世界が俺を待ってるぜ。


 大冒険の始まりだ!



 ——————



「主様!…あぁ行ってしまわれましたか」

 ルシフェルは少し考え


「オボロ」


「ここに」

 その一声と共にオボロが影から飛び出してくる。

 その顔からは疲労が伺える。


「主様の影に入り護衛をしなさい」


 オボロは頷き、何も言わずに影に潜り、消えた。



 オボロ。ルシフェルやミカエルから何かと雑用を頼まれ現在、ダンジョン内で最も多忙を極める男。


 オボロは苦労が報われる日がくるのを今か今かと待ち望んでいる。


 だが、オボロの雑用係としての仕事は当分続き報われる日は遠い事だろう。

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