女騎士と不審人物
「ここが例のダンジョンですか」
一人の青年が目の前のダンジョンを見つめ呟く。
(どうやって入りましょうね。何故か今日はギルドの受付が閉まってるようですし。まぁワタシの冒険者証はとっくの昔に失効していますがね)
青年は少し悩んだ後
「いつも通りの方法で行きますか」
ダンジョン前に居るギルド職員の元へと向かった。
そこへ隊列をなした騎士達が青年の横を通り抜けギルド職員の前で止まる。
隊列の中から鎧を着込んだ一人の女性が現れ宣言する。
「我々はソーテリエ領主、オルセン伯爵に使える騎士。私は団長のオリアンヌだ。伯爵の名によりこのダンジョンの攻略に参った。報告は来ているな?」
「はい来ております。先日観測された大規模な魔力の原因の解明ですよね」
「そうだ。観測された魔力の記録を見たが、魔力の持ち主が魔物だった場合、並の冒険者では歯が立たない。その事を憂いた伯爵が我々をこのダンジョンへ派遣したのだ」
「オルセン伯爵に感謝を。では早速ダンジョンの詳細を——」
「それはいい。資料を読んだからな。我々はこのまま原因の究明、攻略へと向かう」
オリアンヌが職員の言葉を遮り足早に言う。
「さてお前たち。作戦は覚えているな?我々はこのまま真っ直ぐに最下層へと向かう。
お前たち行くぞ!我らの力を見せつけてやるのだ!」
「「おぉーー!!」」
オリアンヌの宣言により団員達の指揮が上がっていく。
「続け!」
その言葉と同時にオリアンヌがダンジョンの中へと侵入し、団員達も続々と中へと入っていく。
様子を見ていた青年は
「騎士団…来ることは知っていましたが、まさか今日だとは。…ちょうどいいですね。あれにしましょうか」
そう呟くと最後尾にいた団員達の後ろにつき
「すみません。遅れました」
「遅いぞ。全く。行くぞ」
「本当にすみません」
まるで昔からの仲だったかのように隊列へと加わった。
「遅いぞ貴様ら」
青年が遅れて入るとオリアンヌからの叱責が飛ぶ。
「ハッ申し訳ありません」
「…?お前、新入りか?」
「いえ、以前から私は騎士としてオルセン伯爵に仕えさせてもらっております。私は影が薄いとよく言われるので団長が覚えていないのも無理はない事です」
「そうだっか。それで名は?」
「ライアーと申します」
「そうか。覚えておこう。それはそれとして今後は遅れる事などないように」
「ハッ」
オリアンヌはそれだけ言うと最前列へと戻り侵攻を続けていく。
「ふぅ。危ない危ない。我の強い人間というのは嫌ですね」
青年も後を追っていく。
オリアンヌ達騎士団は順調に進んでいく。途中罠に嵌り分断されたり怪我をした者も少数出たが、死者もなく攻略に影響が出るほどの事故は起きなかった。
騎士団は7階層へと辿り着いた。
「一度ここで休息を取る。皆、休め」
オリアンヌは団員に休息を言い渡し一人思案する。
(ここまでの道中で報告にあったような魔力を持つ魔物は出なかった。やはり最奥にいると言う事か。逆に罠は報告よりも多かった気がするが)
休息を取る中、ライアーは団員と話をしていた。
「団長は流石に強いですね。驚きましたよ」
「何を今更。団長が強いなんて当たり前の事だろ?」
「それはそうですが、団長のクラスやスキルって知っています?」
「そんな事も忘れたのか?…団長のクラスはサブはわからないがメインは『紅蓮騎士』。スキルは有名なのは【豪炎剣術】だな。団長の剣は炎の塊で出来てるんだそうだ」
「それは凄いですね。ですが…」
(オリアンヌ団長にこのダンジョンの攻略はおそらく出来ないでしょうね)
「ですが、なんだ?」
「いえ、流石の団長も疲れたのではないかと思いまして」
「だとしても疲れたなら俺たちが支えてやるんだよ。その為の休憩だ。それにこの先の情報はほとんど無いからな。今頃斥候でも送って調査させてるんだろ」
「そうですね」
ライアー達の予想通りオリアンヌは斥候を七階層の調査へと向かわせていた。
「中の様子はどうだった?」
調査から帰還した斥候達はオリアンヌが問う
「中は遺跡になっていますね。今までの様な罠に謎かけ、仕掛けがあり簡単には進めない様になっていました。魔物は下位のものが多く注意すべきものはありませんでした」
「そうか」
報告を聞き終えると団員達の元へと行き号令をかける。
「全員休息はこれにて終了だ。これより七階層の攻略に入る。斥候の調査では注意すべき魔物はいないとのことだ。だが冒険者達の攻略はここで止まっている。決して油断はするな」
騎士団は第七階層の攻略へと乗り出した。




