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大迷宮の創造者  作者: POG
第2章

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風の旅団

 ガイオ達3人は朝方、調査依頼へ赴くためにホルウルカゼ村行きの乗合馬車に乗り込んだ。


「ホルウルカゼ村に行くのはどれくらい時間がかかるんだ?」

 馬車に乗り込んでまもなくガイオが誰となく呟いた。


「ホルウルカゼ村には馬車で3日ほどですね。ですが一つ二つ村や町を経由するので、そこまで大変な道のりではないですよ」

 ガイオの呟きにヒューが答えた。


「結構近いんだな。王都まで行った時は2、3週間はかかったが」


「そりゃ、王都はこの国の中心、俺たちが向かうのは北西部のホルウルカゼ村だ。ソーテリエからじゃその二つは距離が違いすぎる」

 ベックはバカを見るような目でガイオを見ていた。


「わかってるけどよ…」


「話していたら3日なんてすぐに過ぎますよ」


「そうだな。依頼が終わった後のことでも考えるか」


「だな」


「王都といえば今は歌劇が人気だそうですよ。依頼が終わったら行ってみませんか?」


「面白いのか?」


「面白いですよ。きっと。だから3人でいきましょう」


「男3人でか…」

 3人は依頼の報酬で何をするかを話し合った。

 そうしているうちに一つ目の町につき、町を見て周り、酒を飲んだ。


 そう旅を続けて3日、『風の旅団』の一行はのホルウルカゼ村に辿り着いた。


「ふぅ〜やっと着いたか」


「3日といえどもやっぱり馬車の旅は疲れますね」


「そうだな。腰が固まっちまった」

 3人はそれぞれ馬車を降りて一息ついた。


「にしても、人が多いな…本当に村か?」

 周りを見渡すと至る所に人が溢れていた。露店を開く商人や冒険者が多く村は賑わっている。


「これも鉱床が発見された影響でしょうね。鉱山労働者や商人が多くいます。あと、冒険者も結構いますね。多分商人の護衛でしょうけど」


「王都は歌劇で辺境の村は鉱床で盛り上がるか…鉱床様々だな。このまま行けばこの村は発展して行くだろう」


「そうなる様に俺たちが調査に来たんだ。今日は宿に泊まって村で情報収集。街道の調査は明日からだ」


「はい」「あぁ」

 3人は宿を取り村に出て街道に出る魔物や山賊の情報を調べた。


 ガイオは酒場で、ヒューは広場で、ベックは裏路地で


 それぞれ情報収集を行った。


 —数時間後—


「…ただいま戻りました」

 3人は宿屋に戻り、それぞれ昼間に集めた情報交換をしていた。


「遅いぞヒュー。俺だって酒を飲むのをどうにか我慢して酒場で情報を集めてきたんだ」

 ガイオはコップを手に取りながらヒューを叱咤する


「…顔、赤いですよ。遅れた事は謝りますが、お酒を飲みながら叱るのはどうかと」


 ヒューが指摘すると

「ば、バカ!これは酒じゃねぇ。酒場で情報をくれたやつからもらったもんだ。飲まなきゃ悪いだろ?」

 ガイオは近くに転がっていた瓶を大事そうに抱えながら言い訳をしていた。


「…はぁ。ヒュー、このバカのことは気にするな。それで、何か情報はあったか?」


「はい。まぁ情報収集とは言っても街道に出る魔物の種類ぐらいですけどね。…あっ後、噂というかこの村に伝わる言い伝えを聞きましたよ。なんでもホーセロルス大山脈の何処かに魔女が住んでいて悪い子を連れ去ってしまうそうですよ」


「情報に関しては俺も似たようなものだが、言い伝えはあまり参考にはならないだろう。第一、俺たちが明日するのは街道の調査だ。ホーセロルス大山脈までは行かない。本当に魔女とやらがいたとしても関係のない話だ」


「…そうですね。ところで山賊に関しての情報は何かありましたか?」


「俺は何もなかったが、そこで酒瓶を大事に抱えてるバカはあったらしい」

 ベックはガイオの方へ顔を向けながら話した。


「バカバカうるせぇ。調べたこと教えてやんねえぞ」

 謎の自信に溢れた表情でガイオは2人を見た。


「この酔っ払いの話、大丈夫なんですか?」


「大丈夫だろ。こいつが酒を飲み始めたのは俺達が情報交換をしてヒューを待っている間だしな」


「そんなんですか…」

 ヒューは自分が遅れたことが少なからず影響していると思い、反省した。

 ガイオは2人の話を聞いたからか口元ににんまりと笑みを浮かべていた。


「…少し反省したのがバカみたいですね。わかりました。話してください、調べたことを」


「ヒュー、遅れてきたのにその口の聞き方はないんじゃないか?」


「本当この人は…お願いします。教えてください…」

 ガイオは浮かべていた笑みをさらに広げた。


「そんなに言われちゃあ仕方がねぇ。俺が調べてきたことを教えてやる。山賊がいたってのはやっぱり本当らしい。村の連中も何人か被害を受けたそうだ。だがここ数週間は被害がパタリと収まったらしい」


 本当に有益な情報にヒューは感心していた。


「本当に調べていたんですね。…それにしても最近は被害がない…山賊が拠点を移したんでしょうか?」


「かもな。鉱床が見つかって人通りもさらに多くなって稼ぎ易いがその分冒険者も多い。ここに止まるより他の場所に移った方が安全だと考えても不思議じゃない」


 2人は山賊がすでに街道にはいない可能性を考えていた。

 一方ガイオは眠くなったのか。いびきをかいて寝ていた。


「…ガイオは寝たか。さて、俺たちも明日に備えて今日はもう休もう」


「はい。…ですがその前に〈ショック〉」

 ヒューは寝ているガイオに向けて魔法を放った。


「すごくムカついたので、仕返しです」

 ガイオはビクビク体を震えさせ一瞬起きたが気絶したようにまた眠った。


「では、また明日。おやすみなさい」


「あぁ。おやすみ」



 翌朝、街道入口にて。


「さて、行きましょうか。街道調査」


「おう。…なんかめちゃくちゃ体が痺れてるんだが、昨日なんかあったか?ヒューが帰ってきたぐらいから記憶が曖昧なんだが」


「…ただあなたがすぐに眠りかけただけですよ。体の痺れは寝相の悪さですよ。きっと」


 ヒューは何事もなかったかのように進めた。


「さっさと行くぞ」


 ベックが2人に声をかけようやく街道調査の依頼が始まった。


「街道調査…今日はどこまでするか…」


「村から山脈までは大体歩きで1日かかるそうです。調査しながらとなると半分も行ければいい方じゃないですか?」


「そうだな。基本的には街道を歩きながら見える範囲を、それ以外はヒューの魔法にするか」


「仕方ないですね。そうしますか。〈探知ソナー〉」


 基礎魔法〈探知ソナー

 魔力操作と魔力感知の応用魔法。魔力操作で自身の魔力を飛ばし魔力感知で感知することによって生物や構造物、地形の探知を行う魔法。

 範囲は個人差があるが半径300〜500メートル程。ヒューの場合は1キロ程の探知が可能。


「この魔法の常時使用は僕の魔力的に難しいので大体1キロ置きぐらいにかけますね」


「おう。それ以外はベックが頼りだな」


「お前も働け。ヒューが何か見つけたら俺が確認に行くってのでいいな?」


 ガイオとベックが街道から見える範囲の調査をし、ヒューは魔法で広範囲を調べる。


 数時間後、3人が調査した範囲には目立った魔物などは居らず、弱い魔物や動物ばかりだった。

 肝心の山賊に関しても何の情報も得られなかった。


「ん〜、目立った魔物はいませんね。山賊の方も手がかりは無しです」


「こっちもだな。やっぱどっか別の場所にでも行ったか?」


「まだ街道の半分も行ってないんだ。じゃないか?山だってまだまだ先だ」


「そういえば昨日話した魔女の話なんですけど」


 ヒューは飽き始めたのか、そんな話をし出した。


「魔女?何だそりゃ」


「あの大山脈に住んでいるっていう魔女の言い伝えがあるんですよ。…その魔女なんですが村にいた冒険者の間でこうな噂があったんですよ」


 勿体ぶるように間を開け、口にした。


「あのホーセロルス大山脈に住む魔女は——特級冒険者『魔女』なんじゃないかっていう噂が」


「特級冒険者?特級っていや『不死』『桜花』『大賢者』の3人だろ。魔女なんていないだろ」


「その3人は現在活動が確認されている特級ってだけですよ。大体、特級冒険者は16人もいるんですよ」


「…そう言えば昔そんなことを聞いたな。特級は他にも居るって話を」


 ベックは特級について思い出したことを口にした。


「確か『魔女』も特級の1人だな。だが、活躍なんて聞いたことないぞ」


「本当にいるのか?」

 ガイオはヒュー疑いの目で見ていた。


「いるらしい…ですよ。多分。冒険者の名簿には載っているそうですから。最も二つ名だけで名前まではわからないそうですが」

 ヒュー自身もはっきりと確信持っているわけではないらしい。


「まぁ、昔は実在したんだろ。今も名簿に残っているのは箔付のためじゃないか?特級冒険者は国相手にも強く出れる手札だしな」


 冒険者ギルドは何処の国にも所属しない独立した組織だ。特級冒険者は勇者や聖女よりも強いという噂があり、そんな冒険者が複数人居れば国相手にも強く出れる手札だと。

 その為に昔いた特級があたかも今現在生きているかのように見せる為に名簿に載せている。

 と、ベックはそう結論付けた。


「いいじゃないですかロマンがあって。大体、今の特級だっていつから居るのかわからないそうじゃないですか。なので僕は『魔女』が生きてると思います」


「特級がいるいないなんて今はいいじゃねぇか。さっさと調査を再開しようぜ。早くしないと半分まで行く前に日が暮れちまう」



 また3人が調査を再開して、日が暮れ始めた頃。


「ようやく、半分か。今日はここまでだな。傍に行ってキャンプの準備でもするか」


「はい。その前に最後に探知をしますね。……ん?」


「どうした?」


「これは、見つけたかもしれません。山賊の痕跡を。それともう一つ、探知のギリギリに何か魔力の高い場所があります」


「なに、何処だ?」


「痕跡らしきものは大体300メートルほど先に。魔力の高い場所はさらに奥、ここから1キロです」


「ベック、先行していってくれ。俺たちもすぐに行く」


「あぁ。身体強化、疾駆」

 ガイオの指示を聞きベックはスキルを発動し確認へ向かった。

 スキルを発動したベックは既に小さくなるほど遠くにいた。


「相変わらず速いですね」


「そうだな。俺たちも急ぐぞ」


 数分後、2人はベックと合流した。


「2人とも見てみろ。おそらく山賊連中がここにいたのは間違いないが…」


「荒らされてますね」


 痕跡らしき場所には荷物があり。荷物は無理やり開かれたように散乱していた。


「魔物ですかね」


「武器もないからな。だが先頭の痕跡はない。…武器だけ持って何処かにいったのか?」


「ヒューが見つけたもう一つの場所が関係してるんじゃないのか?」


「そうだな。俺がまた先行しよう」

 ベックは音もなくその場から目的の場所へ向かった。


 ベックが到着するとそこには洞窟しかなかった。

「…ここが魔力が高い場所なのか?念の為、あたりを捜索してくるか」


 ベックは周辺を散策したが他に目立った場所は無かった。

 ベックが洞窟まで戻ると、ガイオとヒューが追いついていた。


「ヒュー、この洞窟か?」


「はい、間違いありません。…おそらくこの洞窟はダンジョンです」


『風の旅団』の一行はダンジョンへと辿り着いた。

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