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失恋しました何もいらないのでただ慰めてください

作者: 葵そら

夏の暑い中、外で体育をする他のクラスを涼しい教室から眺める。瞼に魔法がかかったように眠たくなり、ずるずると机に顔を伏せた。


髪型が崩れるなー、とぼんやり考えながら目を伏せると、蝉の声と冷房の音、先生の声、黒板にチョークを当てる音。


全てが耳に届き、世界って騒がしいなと考えた。


恋って残酷だよね。と誰かが言ったことを思い出す。童話でよくある本当に好きな人と結婚出来なくて悲しい思いをするお姫様とか、いるじゃん?


可哀想だよね、と他人事のように零すその声を誰かが受け取って同意する。


でも、私は思ってしまうんだ。

恋なんかしなくても生きていけるじゃんって。

誰かを好きにならなくても、良いじゃんって。


好きになるって義務じゃないし、それなら勝手に結婚相手を見つけてもらってことがポンポン進む方が楽なのに、と。


それなのに、なんで好きな人とか作るのだろう。

瞼が本格的に閉じ始めて、私はそれを受け入れようとした。


(先生にバレませんよーに)


皆が一斉に教科書をめくる音が聞こえて、次のページに入ったんだ、とぼんやり考えた。


恋は片思いが1番たのしい。


自分に何度も言い聞かせた言葉が、頭の中で反芻する。

一昨日まではそう思ってた。ただ、その楽しいは、好きな人のことを何も知らない証拠だ。

好きな人に彼女がいた片思いは、楽しくなんてない。


勇気をだして「彼女いるの?」と聞いたあとに帰ってくる返事は、私の心を砕いた。


好きじゃない。もう好きじゃない。


失恋したことは、誰にも言えない。

少女マンガならここで別の男が来るんだろうなー、と思うと余計に傷が染みた。


なんで染みるの、と言われて「泣いてるから」なんて、そんなの、言えないよ。



私はそう思いながらただ一人腕を濡らした。

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