第二章【七】-下
心のどこかでは、少年はまだ憎みきれないところがあった。
市長の理想を聞いて、何かしらに狂った。
真田桃香も巻き込んで、しまいには姉、正確には造物主であるプリティプディングを倒した。
しかし、それも理想、魔法少女の力を研究し、広めるためと言っていた。
その言葉を、少年は、一度正気を失うほどに我を失って憎しみに突き動かされた後だろうとも、信じる気持ちがあった。
しかし、実態はこれだ。
一市民を連れ込み、不当に生命を奪い、地獄を味わわせている。
「肉体はすでに処分した。戻る先はない」
「テメエ!!」
鎖を伸ばし、相手の眉間に突き立てるも、軽く弾かれる。
当たるとは思わなかったが、キャナリークライ戦後よりも反応速度が上がっている。
よく見ると、コスチュームにも装飾が増えている。
「桃香さんはどこだ」
遠を背後に庇うポジショニングだが、後ろへの心配はあまりない。
彼女は自分よりも遥かに荒事慣れしている。
「使い魔。それも彼女には私の魔力の奥義を籠めた。“友達を作る魔法”。それで生み出した桃香という人間は、いわば、私の半身、私が魔法少女だった時の力の半分を持っている」
変身したての時に教わった。
魔法少女は極めると、願いを叶えることができる。
真田桃香がその産物なのは知っているが。
「だから回収した。私にだけできることだ。交雑乙女として持った能力。孵化。双極属性に赤ん坊を選び、私は万物の軛、すべてを解き放てる。それで彼女から魔力を回収した」
「あのひとは何処だ!?」
もったいぶった話し方に少年は業を煮やした。
一度は二度と会いたくないとまで思った相手だというのに、死んでいるかもしれないという事実を突きつけられると心が酷く波立った。
「会いたいなら見ると良い」
毛皮にまみれた桃色の球体を、市長は無造作に投げつけた。
顔も手も足もわからない、艶のなくした毛並みが丸まったそれは、一見するとなにかもわからない。
本能的に嫌な予感がしたナイトスターは、思わず手に取った。
両の掌に収まるくらいの大きさ。
指の腹にチクリとした感触がし、小さな角が生えているとわかった。
毛玉が小さく身じろぎした。
ビーズめいた瞳が重そうに開いたまぶたより覗く。
「母さん……」
それは、その眼差しは真田桃香のものだった。
彼女を人間足らしめていた奥義、その魔力が回収されたとしても、それは変わらず真田剛毅の知る彼女だった。
「本当はね。君の魔力を求めていた。だが、良いんだ。手に負えないからね。仕方なく、かつての友のそれを使った」
「貴様……!」
背中から魔力が噴き出す。
少年のかつての姿が浮かびそうなくらいの感情の爆発。
人体の輪郭が溶けかけ、口元から牙が生えた。
「貴様ァァァ!!!」
少年の口から再度、出ようとした青焔。
横から飛んできた火球が相殺した。
遠が交雑乙女の姿になって、演舞をしていた。
彼女の動きに連動し、焔が流麗に踊り舞う。
「落ち着いた」
ナイトスターの蛇めいた瞳と、飛び出た牙は戻っていないが、それ以外は、魔法少女の形のままだ。
成功すると本人も思わなかったのだろう、変身した遠が目を丸くしている。
彼女が出した焔と言うよりも、それを招いた舞いに触れ、狂った怒りが沈静化していた。
感性がマッチする相手、自分にあったアート、表現。
この瞬間まで、わかるはずもなかったが、ナイトスターの心に、元暗殺者が織りなす自己表現、心の動きは深く染み込むらしい。
「…………フウゥーーーーーーーーーーーーーーッ」
正気に戻った彼は深く気を吐いた。
妙ちきりんな青い炎は出ない。
危ないところだったと、ナイトスターは思った。
先日以上に感情と力が暴走しかねなかったのもあるが、そもそも両手には真田桃香が乗っていたのだ。
この状態の彼女を戦いに巻き込むところだった。
冷えた頭で、母を遠に任せる。
「悪い、この人を頼む」
「え……いいの?」
「お前を信じている」
肩を数回叩き、ナイトスターはキューティクルスターに向かい合う。
まだ、どうやって母と向き合うか、感情を定めるかはわからない。
それでも、彼女を害する者には立ち向かわなければ。
基本的なことだ。魔法少女としては。
「やるか? 今の姿こそ、君の唯一の勝機だったと思わないか?」
「黙れ、ウソつき女」
低く恫喝する声音。
市長の鉄面皮が歪んだ。
やはり、その顔面すら偽りなのだ。
「ふざけんなよボケ。テメエの抜かすことは0から100までデタラメで、他人を傷つけてばかりで、それでよくプリティプディングに憤れたもんだな。テメエが市長ならキャナリークライでも警察署長になれたぜ」
「そうか、妹さんは知っていたか。覚えているとは、利発な娘さんだ。だが、それがどうした? 私の仮面の下を暴いた? 違うよ。これは兜だ」
「防具つけねえと満足に人とも話せねえのか」
「…………言うじゃないか」
「なんだ悔しいのか? なら今から素顔の整形でもしてこいよ。顔をイジる度胸もねえんだろ、赤ん坊みたいな肌に傷もつけたくないってか?」
どういうわけか、激怒の波を乗り越えたせいで、口がとてもよく回った。
相手への罵倒、否定の言葉が自分ではないかのようにスラスラと流れ出る。
余裕の笑みを絶やさない市長の顔に罅が走った。
そのままに、彼は、彼女は言葉を紡ぐ。
「……弱く未熟な者こそ吼えるものだ。許そう。君の愚かさ、脆弱さを」
「おい口動いてねえぞ。どんだけキレたら男の仮面が固まるんだ。気をつけろよ? 男の顔じゃないと誰もお前の話を聞かねえんだから」
「……言わせておけばァッ!」
剣を抜き、瞬間、斬撃が生じた。
鎖を巻き付け、手前に引っ張る。
殴りつけようとすると、ガントレットが拳を防いだ。
皮膚が破け、退いた瞬間に眼の前に刺突が迫る。
鎖が巻き付いたままなのをそのまま押し切ろうとしてきた。
首をよじり、なんとか避けた。
そこに迫る蹴り上げ気味のキック。
つま先が脇腹に突き刺さった。
フラスコに全身が激突すると、砕けた破片が皮膚を裂いた。
血が滲み、血液が垂れる。
朱黒い闇、雲がフラスコから横を通り過ぎ、市長の身になっていく。
人の意志、感情から抽出したエネルギー体。
それを取り込んで、市長はさらに強さを増していく。
「君は思っただろう。“これを吸わせ続ければ、自壊するのでは?” 浅はかという他ない。飛翔!!」
赤ん坊の泣き声。
市長の声に導かれ、彼の腹から臍の緒が生えた。
それを自力で抜くと、下腹部より強大な魔力の塊が放射された。
魔法少女ナイトスターの全身をすっぽり覆ってあまりある大きさ、彼を塵も残さず消し飛ばすだろうエネルギー。
ナイトスターも何度か使ったことのある、魔力を剥き出しにした攻撃。
しかし、それをやっても光線の威力はたかが知れていた。
市長、キューティクルスターの放つものは、それとは比べ物にならない。
これが解放、赤ん坊を双極にした者の実力か。
操る力の大きさ、解放する出力が、ナイトスターを凌駕している。
「どうした? あれだけ叩いていた大口は」
「他人の力ばっか使いやがって、この野郎……!」
魔力球がフラスコのある一区画を丸ごと崩壊させた。
「仕方ないさ。魔力を高水準で使うには、魔法少女のシステムが必須だ。できないなら、知恵と工夫で克服するんだ。私は人間だからね。過程で生じる犠牲も、為政者、指導者が呑むべき汚濁だ」
「ふざけんな。テメエが勝手にやって勝手に払ってる犠牲だろ。酔っ払ってんじゃねえよ」
「その酩酊感こそが、力を持つ者の快感だ。君もいずれは病みつきになる」
「なるかよ、ババア」
「年寄りは君の行く道だぞ?」
市長が剣を振るうと次々にフラスコが割れていく。
砕けた半透明の瓶からは朱黒の力が浮かんでは流れていく。
翳した市長の手に、エネルギーが続々と流れ、放つプレッシャーが増していく。
エネルギーを閉じ込めていた瓶の数々が振動し、一つ、また一つと破砕していく。
「ならないのなら、君はしょせんは人間ではないということだ。君の母すら、それには勝てなかったのだからね。この力……アアァ!!!」
嬌声をあげ、市長は目と鼻、口から流血をする。
内に溜め込んだ力が、抑えきれずに逃げ道を探しているのだ。
真田剛毅の秘めた魔力を前に、撤退を選んだ市長。
今、限界を超えて吸い込んだエネルギー体を本当に使えばどうなるかを実演しようとしていた。
宝剣が余剰魔力を放ち、リーチを10倍にも増やしていく。
「さあ、御覧じろ」
姉は漫画が好きだった。
特に、海外の漫画を好んでいた。
本来は違う世界観を生きるヒーロー達が同じ宇宙を生き、共演する。
特に能力を持たず、狂気と技術だけを抱えたヒーローが、音速で動いて目から焦熱線を出すヒーローと肩を並べて戦い、たまにはぶつかり合う。
それを読みながら、真田剛毅は音速で動く存在というのは、人間の目ではどれだけ非現実的に見えるのか、気になったものだ。
市長が動くとその答えが時を超えてわかった。
答えは“嵐や雷に晒されるのに近い”。
剣の軌道が見えず、風圧だけで上下左右の感覚がなくなる。
攻撃を受け止めるという概念すらなく、頭に浮かぶのは“一刻も早く終わってくれ”という懇願めいた祈り。
鎖をありったけ編み込んで防護膜にし、ひたすらに剣を耐えていく。
攻撃によって剥がれた場所はただちに魔力で修復。
するとまた別の部分が砕かれ、直す。
暴風に晒されて壊れる家屋を片っ端から修理しているのに近い。
窓が外れたらはめ直し、ガラスが砕けたら貼り直す、ドアが飛んで、壁に穴が空いたらすぐに修理。
無機質な壁へと矢継ぎ早に断裂が生じていく。
足がもつれ、転倒しかけるのを必死に堪える。
「ハハハ。やるじゃないか」
全身を朱黒く発光させ、攻撃に血の墨めいた軌跡を遺す。
市長がシニカルに笑うが、溜め込んだ魔力を破裂させずに攻撃に活用していても、余裕がなく、脂汗まみれになっていた。
相手に困惑の色が浮かび始める。
何も対抗できていないし、ほぼ耐えているだけ。
そして、市長は防護の死角だろう場所に移動しても、致命傷を与えられない。
「…………なんの助けを得ている? とうに死んでいないとおかしい」
「さあな。テメエには一生わからねえだろうよ」
本人にもまるでわからないが、とりあえず虚勢は張る。
「その分厚い男の仮面を外してよく見たらどうだ。そんな度胸もねえだろうけどなあ」
「黙れっ!!!!」
両腕で剣を握り、唐竹割り。
かなり強力な魔力が籠もった宝剣。
防護膜が二つに割れ、一瞬だけ無防備になったナイトスター。
マズイ、と思った魔法少女ナイトスターは、反射的に防御よりも攻撃を選んだ。
手に鎖を巻き付け、先端の鉤爪を指輪のように薬指につける。
そのまま、市長が次の行動に移るより速く、頬にパンチを深々と叩きつけた。
「ガハァッ!?」
殺しきれないことに疑問を抱いていても、攻撃をもらうとは思ってもいなかったのだろう。
完全にノーガードで被弾した市長は、蹲って叫んだ。
「孵化覚醒(オギャア!!)飛翔(オギャアアア!!!!)」
身を丸めて泣く市長の全体像が超振動し、下腹部から解き放つ魔力体が市長の顔面を砕いた。
その奥から見えたのは、豊かな巻き毛を両サイドより垂らす絶世の美女。
大女優めいた凄まじい色気。
豊満な乳房、大きな臀部。
誰もが認める美女だった。
「フッ、フフフ……」
下腹部より隕石もかくやという超質量の攻撃を放とうという市長。
かつてキューティクルスターと呼ばれた魔法少女の素顔。
それを晒した野心家には普段の泰然自若の形はない。
素顔は不快感と嫌悪感、そして憎悪によって眉間に深い皺を刻み、ヒステリック気味に瞼を痙攣させている。
「それがお前の……!」
「ええ、そうよ。これが素顔。弱々しいでしょう!? 美しくて可憐で愛でたいでしょう。無力に見える!?」
己の素顔に激しいコンプレックスを見せるキューティクルスター。
男の中の男、偉丈夫、社会を変える快男児。
そんな称賛を欲しいままにしていたのに、顔が男から女に戻っただけで、人が変わった。
「みんなこれを見ると言うのよ。“お姫様だ”、“何かあったら君に客先と話してもらおうか”、“君は、ただ立っているだけでいいから”」
美しい素顔、そこから来る無責任な称賛と、見下し。
真田剛毅少年にとっても覚えのある感情。
しかし、だからと言っても、彼には自分が人殺しはしないという確信もあった。
それもあんなに大量の死を招くようなことは、絶対に。
「なに盛り上がってんのか知らねえけど、お前のツラがどうとか……俺は……」
――見て、あの子すごく可愛い!
――シミ一つない肌! きっと触ったらすごく気持ち員だろうんなあ。
――可愛いぃぃぃ連れ帰って飾りたい。
――ご家族も自慢でしょうね、こんなにキレイな子供がいたら
嘲ろうとしたのが途中で止まる。
たしかに自分もこの手の言葉の群れに、嫌な気分を抱いたものだ。
「それが嫌だからか? 見た目でどうたら言われるのが嫌だから、ここまで狂ったのか?」
「話は終わりよ!!」
絶叫とともに過剰吸収した魔力が解放される。
世界が朱黒の光に染まり、魔法少女ナイトスターが全方向へ逃げようとも無駄だと知った。
どうするか、どうしようもない。
ナイトスターが使える魔力の限界を圧倒的に超えている。
かといって、ここで退こうとすれば背後にいる遠と桃香が死ぬ。
つまり、どうにかして眼の前の攻撃を真っ向から受け止め、処理しないといけない。
十分ではない経験と知恵、技術を総動員しても何も出てこない。
これまではどうにかなってきたが、それはどうしてかというと……どれもおおよそ誰かの助けがあったからだ。
真田桃香、震儀遠。
自分よりずっと強くて賢い誰かの助けがあったからだ。
姉が成していたという“確固たる個を確立して、助けを活かす”というのも、今のナイトスターには遠い話だ。
今、動けるのは自分一人。
たった一人だけ。
何も出てこない。
絶望、諦観は静かに少年の心を捉えんとしている。
引いては純粋に真田桃香に裏切られた気持ちになった、自分の出自を知った。
それらもあるが、ほんの少しでも市長に共感の心が湧いたのが、大きい気がした。
諦めては駄目だとわかっているが、市長だった女の顔に自分を見ては、意志の爆発が起きない。
ただでさえ、少年はモチベーションにしていた姉の復活という願いが、霧散してしまっている。
姉の復活を自分がどれだけ強く、実感あるものとして求めていたのか、使い魔とわかった今になってはよくわからない。
そして、そんなことでは、魔法少女は強くいられない。
目を見開いたままで打つ手なしを打開できないナイトスター。
だが背後に、桃香が遠がいる。家には琴音がいる。
死にたくはないし、事態を打開しなければならない。
――あなたはどうしたい?
聞き覚えのある声。
酷く懐かしいもの。
これは過去を思い出しているのではない。
内側から、真田剛毅の深き裡側から響くもの。
「俺は……俺が誰かなんてわからない」
正直な気持ちだった。
魔法少女を極めて姉を蘇らせる、姉の仇を討つ、ツッパリになる。
どれも果たせていない。
姉が体現した魔法少女という救世主のイメージを守るのも、どうでもよくある。
けれど、とにかく今、ハッキリとしていることがある。
「無力は…………嫌だ。俺を強くしてくれ」
――オッケー。
気楽に過ぎる返事。
しかし、次に起きた事象。
それは確かだった。
誰かの手が降ろされ、プリリンバースが魔力の膨大な放出を粉砕していた。
一瞬にも満たない出来事。
少年の指にはたしかに鎖、鈎爪の形にしたプリリンバースがある。
ならば今のは何だというのか。
朱黒い闇が青い光に振り払われた。
死は免れなかっただろう間合い、威力。
爆発しかねない魔力の充満を解放した市長は、冷めた瞳で溜め息をついた。
「……喋りすぎたのがまずかったわね」
素顔を晒して生じた解放感。そして感情の爆発。
それが落ち着いた女は、表情を一切変えない鉄仮面へとなる。
市長の顔をしていた頃は、なにがあっても底しれない余裕を浮かべていた。
しかし、素顔になった彼女は、感情、色のない無になっていた。
「この顔になった私は、もはや何にも遠慮する気はないわ」
彼女の言うことは間違いではないとわかる。
市長の仮面(相手の言葉を借りれば世界に向き合うための兜)が崩れることを恐れる必要が消えた。
その結果、敵の使う魔力の限界量が大きく上がっている。
粉砕されたフラスコが朱黒の闇を、補充していく。
「恐れなさい。これがかつて勇猛の称号を得た、魔法少女キューティクルスターの全容」
これまで振るってきた宝剣が分解されていく。
飾りだと思っていた宝玉の数々が宙に浮かび、それを起点に新たな宝剣が生み出されていく。
それらは振るうものがなくとも、宙でナイトスターへと切っ先を向ける。
一つ一つが、キューティクルスターの意志に従って動くのだ。
その確信がある。
「……そんなに強気で平気か? 切り札だったんじゃねえのか、さっきの極大光線は」
「いいえ、最後の慈悲よ」
「うわわっ!」
背後で観戦するしかなかった遠から悲鳴が聞こえる。
盲目の交雑乙女、下手しなくともナイトスターよりずっと魔法少女戦ではルーキーの彼女。
なんとか新米なりに保護していた真田桃香、毛玉同然の姿に萎びていた女が、巨大化していく。
二倍、三倍と順々に巨大化していく使い魔としての姿。
天井に角がつこうほどの大きさになり、瞼を開けて歯を剥く。
力なく突っ伏していたのが、凶悪にギラつかせた双眸、獲物を求める牙を誇示し、咆哮を上げた。
「MOOOOOOOOOOOO!!!」
桃色のバッファロー、正確にはそれに酷似した猛獣。
それが真田桃香の使い魔としての姿だった。
「こちらは二人。あなた達も……二人」
真田桃香、その怪力は圧倒的だ。
琴音、剛毅、遠。
みんなが彼女の怪力に恐れを成している。
それが、今や敵になったのだ。
「私とモモ。これが魔法少女キューティクルスターの真の在り方」
見くびるでも、せせら笑うでもなく、ナイトスターと遠に、彼女は呟く。
「ええ、そうね。絶望しなさい? そうすれば手早く済むわ」
母が獣になって襲ってくる。




