プロローグ
◆プロローグ
最近、地球では異常気象が続いている。俺の住む白端町は連日の雨が観測され、かれこれ半年がたった。あの地面を照らしつけていた太陽は、冬のうちにどこかに消えてしまった。俺は不意に天気予報を見ようとする。
「明日も雨が降るでしょう―――。」
やはり雨だ。俺たちは今日も傘を持ってせわしなく街を歩いている。
だが半年前と変わらず信号機はせわしなく色を変え人々を管理している。毎日のように雨の予報を聞く毎日に太陽なんてもはやないのではないか?というぐらいに思ってきている。窓から外を見下ろし、物思いにふけっていると不意に携帯電話が鳴りだした。友人の星夜、通称〝ほしっち〟と呼ばれている。そんな彼からだった。電話を取るとすぐさまほしっちが話しかけてくる。
「なぁ、南。今日も雨だったな。実は雨の日には丸を付けるようにしてみたんだけど、さっき数えてみたら丸、百は越してた。」
「え?もうそんなたったか…雨のこと見すぎて日付の感覚おかしくなっちゃったかもなぁ。ところで、要件はそれだけ?」
そう聞くと彼は少し悩んだのちにこう答えた。
「実は、今から会いたいんだけど。どう?」
今、時計を見てみると丁度ぴったり七の数字を短い針がさしていた。チッチッっと音を立てながら秒針は一秒たりとも休まずに回っている。俺もあんな時計のように…なんて…
「おーい、南~?南、大丈夫か~」
星夜に呼ばれてふと我に返り、携帯の画面をふと見る。少し慌てながら、こう返す。
「あぁ、ごめん。もう夜の七時だしどうしようか考えてたけど、暇だから会いに行くわ!」
「お、了解。いつものところに来いよ~?」
「分かった!ちょっと遅れるかも。電車動いているといいなぁ」
「調べたとこ、燕線、動いてるらしいぞ」
「調べるの早くね?てかなんで俺が使ってる路線知ってるんだよ」
「この前こっそ~りつけてた…なんて…」
「なにしてんだよ!まぁ、いつものとこにいくわ」
「待ってるわ!」
部屋の片隅に投げてあるバッグ。最後に使ったのは一体いつだっただろうか。そんなことを思いながら携帯、財布、meronなどを入れて傘を持つ。白端の夜景は雨で滲み水をたらした水彩画のようになっていた。誰もいない部屋に行ってきます、と告げ部屋を出た。通路際から外を眺めていると、夏のさわやかな風を感じた。冬とはまた違う空気を運んでくる。今日もまた平凡な一日を過ごしていると思うと悲しくなるが、そんなことは気にせずマンションを出た。