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「ルー。今は予断を許さない時だ。そやつに、気を許すな」
闇の中からぬさっと黒衣の深淵な目をした魔法使いが出てきて、冷たい空気を出して近づいてきた。
国一の魔法使い、エリーレッド公。
先ほど、闇の魔物たちを一瞬で追い払う魔法を放った魔術師だ。
「かつて、十種財宝は、魂を贄にすると言われて、危険な道具と言われた。私が使っていた十宝種の剣は、この前の戦闘で消える時、様々な魂を吐き出しながら、勢力を使い果たして消えた」
贄?危険な道具?なにそれ。むっちゃ怖い。
十種宝って、いったい、何ゆえにあるの?どこのどいつが作ったっての。いったい、何様なのよ?
私とどういう関係あるわけ?
「世界の運命がかかる戦況で、勇者の万能巾着として仕事をするうちは、なくてはならないもの。だが、意志を持って、何かことを起こそうとしているなら、別だ。そんなもの、信用ならない。いったい何の目的を持って出て来たか」
「でも、この子は王宮のただの記録係の女性職員だった子だ」
「いや、元は何かでも、何者かは分からない。今、その中に入ってるんだ」
エリーレッドは突き放すように勇者に言い、再び私を迫力ある美貌の目で睨んだ。
「ただの事務員だって言うなら、ぐだぐだ言わず、私たちに従ってろ。それ以外は、いらない。このような戦場に、お前のような町娘は似合わない。黙って口だけ開けてろ、口は閉じて、巾着の口だけだ、他は何もするな」
う、こっわ。
「私はお前を見張っているからな」
そう言い残して、エリーレッドは寝場所へ戻っていった。
すごい魔法使いかもしれないけど、性格が悪いわよ。
わけもわからずこうなって、頭に手突っ込まれてわちゃわちゃして、武器爆弾薬を取り出したり、回復薬を出したり、泣いてわめきながらもひと働きした私に、大変失礼な態度じゃないの。