俺の夢は否定と共に。
俺の夢は否定と共に。
「お前が?バンドのギタリスト?その実力で?無理だろ。」
でも、諦めなきゃどうだってなるでしょ---。
「諦めろよそんな夢、女が付き合っちゃいけない3Bって知ってる?そんなんだから女も出来ねぇんだよ」
「バーテンダーと美容師と馬鹿だっけ?」
「違うよ、馬鹿じゃなくてバンドマンwまぁ、コイツはバンドマンっつー夢しか見れない馬鹿だがなw」
そんな軽口を叩きながら俺の夢を罵り貶す3人の軽蔑の視線が俺に刺さる。
「オイ、何とか言えや!」
刹那、右の太ももにキック。俺は、力に任せたまま左に倒れる。下品な笑い声が響く放課後の教室の端っこ。そこは、地獄と化していた。
涙を堪えた。泣いたらきっともっと笑われてしまう。そう思ったから、必死に堪えた。堪えて堪えて、歯を食いしばった。
俺は遠くから聞こえる小走りの足音に気づく。
「おい、誰か来てないか?」
彼らも気づいたようだ。
「見られたらちょっとばかしまずいな。帰るぞ。」
そう言って彼らは、逃げるように去っていった。
そんなだから、ずっと弱いやつしか虐められない惨めなやつなんだよ、と心の中で思った。
「ねぇ、桜花くん!またやられてたの!?」
勢いよく今日室の引き戸があいて、まるでガラス細工のような透き通った双眸が、こちらを覗く。
「大丈夫??」
彼女、白夏和葉はそう心配してくれたが、あり深入りはされたくないと思った自分がいた。
「ああ、俺は大丈夫だから。」
そう言って、彼女に何も悟られないよう、表情を変えずに逃げようとした。
「なんで逃げようとするの?」
俺の腕を和葉ががっちりホールドしていた。
「私、話してくれるまで桜花くんの手、離さないから」
.........その上目遣いはずるいな。
帰り道にある、Cafe:Moonlightはこじんまりとした住宅街にポツンと佇んでいる、一見カフェとも分からない隠れ家的なお店だ。和葉はそこに寄って俺の話を聞くらしい。本当は、誰にも言いたくなかったが、あんな目線を送られたらしょうがない気がする。
「おばちゃん!カフェラテを1つお願いします!」
元気の権化のような和葉をみて、俺は思わず口角が上がる。
「コーヒーお願いします。」
そうオーダーするとそのおばちゃんは直ぐに去ってしまった。
外の風景をみてぼんやりしていると和葉が、
「単刀直入に聞くね。最近あいつらに絡まれてるみたいだけど何があったの?」俺は、ギタリストになりたい夢があること。スマホの中に留めておいたデータを某3人組に見られて、絡まれていたこと。全て話した。ここから早く出ていきたいと思っていることも。すると和葉は、
「夢を追いたいなら、旅に行こうよ。2人で。」