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エピローグ


この小さな島国は、昔は永遠と雪が止まないことでスノー・ランドと言われる様になったが、もう何百年も雪が降っていなかった。


【スノー城・玉座の間】


玉座の間には、この国の国王であるバルミスタ国王と妃のシリーダが椅子に腰掛けており、シリーダの腕の中には赤子のアイリスがいた。


そして、バルミスタ達の前には国の護衛騎士団の総隊長であり、【六花】と呼ばれる国王直轄の護衛騎士団の総隊長を務めている女性マミューラが床に片膝をついて敬礼をしていた。


「バルミスタ様、御願いがあります。私は、もう年なので騎士団を脱退したいと思います。」

マミューラは、頭を深く下げる。


「マミューラよ、お前はこれからどうするつもりなのだ?」


「これからは、夢を叶えようと思います。人気のない山で、自給自足をして暮らしていこうかと思います。」


「……。そうか、わかった。これまで、ご苦労であったマミューラ。」


「ハッ!有り難きお言葉、感謝致します。では…。」

マミューラは、氷の紋章の中にⅠと描かれた全体が白色マントと剣をバルミスタに返還しようとした。


「いや、待てマミューラ。そのマントと剣は、お主が持って置くと良い。」


「ですが…。」


「総隊長に相応しい人物は、お主以外に居らぬ。だから、いつでも良いから戻って来て欲しい。それまで、第1席は欠番としておく。」


「畏まりました。」

マミューラは、再び、深く頭を下げて城から出ていった。



それから、マミューラは山で家を建てて一人暮らしを始めた。


ある日、マミューラが山で薪集めをしていたら近くで膨大な魔力を感知したと同時に、今まで何百年と降っていないはずの雪が降り始めたのだ。


「雪だと!?」

異常気象に胸騒ぎがしたマミューラは、背負っていた薪を下ろし腰に掛けてある剣を抜刀して気配を殺しながら膨大な魔力が感じた場所の様子を見に行くことにした。


マミューラは木の影から覗くと、そこには顔以外全身を白いタオルで巻かれた赤ちゃんが泣いていた。


「赤子!?血がついている。この子のものではない。誰か、怪我をしているのか?」

驚愕したマミューラは赤ちゃんに駆け寄り、辺りを見渡したが周りには他に誰もいなかった。


マミューラは赤ちゃんを抱き抱えると、赤ちゃんの首には銀のプレートがついているネックレスが掛けられており、プレートにはクリスの文字が刻まれていた。



マミューラは、赤子のクリスを育てることにした。


この日から、雪は止むことはなく降り続けた。



マミューラがクリスを拾ってから、6年という長い月日が流れた。


月が雲に隠れてボタン雪がパラパラと降っており、国中、雪によって一面真っ白になっている。


岸側には多くの家や建物があり、明かりが色鮮やかに灯っているが、 島の中央には山が連なっており、一ヶ所だけ明かりが灯っていた。




【山の中の一軒家】


暖炉の前にマミューラが椅子に腰掛けて編物をしていた。


そこに、6歳の少年クリスが大きな絵本を両手で抱えて持ってきた。


「ねえ、お婆ちゃん!この本を読んで!」


「ん?これは、昨日も、その前も読んであげたじゃない。違う本もあるんだよ?」


「ううん、これが良い!」


「フフフ…。本当にクリスは、この本が好きなんだね。」


「うん!とても悲しい話だけど、何だか優しく感じる話だから。」


「そうかい。なら、もう遅いから、本を読んであげるからベッドで寝なさい。」


「うん!ありがとう、お婆ちゃん!」



クリスはマミューラの手を引っ張りながら自分の部屋のベッドの布団に入り目を輝かせながら、本を開いてベッドに腰掛けているマミューラを見ていた。


「じゃあ、読むよ…。」

マミューラは、本を開いて読み始める。



昔々、このスノー・ランドには、双子のお姫様が居ました。

姉の名前はアリス、妹の名前はアリア。


二人はとても仲が良く、いつも一緒でした。


しかし、姉妹が10歳になった頃、母親の妃が、この国の特有の病気である氷塊病に掛かりました。


薬があれば簡単に治る病気なのですが、この時は運悪く薬の在庫を切らしており、更にこの時期は天候が荒れやすく外は暗く猛吹雪になっていました。


父親の国王は、騎士団と薬剤師に山へ行き薬の調合で必要な氷華の花を取りに行くように命令しました。


騎士団達はランプを片手に猛吹雪の中、山に入り捜索しましたが辺りは雪が積もっており、辺り一面は真っ白で、ランプの光が届かない場所は真っ暗で何も見えませんでした。


騎士団達は、必死に捜索しましたが見つかりません。


仕方なく、騎士団達は帰城して国王に謝罪をし、日を改めることにしました。



母親が心配で騎士団達の帰りを待っていた姉のアリスは会話のやり取りを聞いてしまい、ローブを羽織りランプを持って一人で山に行きました。


「お母様、待ってて。絶対、私が見つけてくるから!」

アリスは真っ暗な中、必死に手で積もった雪を掻き分けて氷華の花を手探りで探していき、次第に手袋は破れて手の感覚はなくなり、手の皮膚が切れて白い雪が赤く染まっていく。


「うっ、い、痛いよ。でも、待ってて、お母様…。」

アリスは、涙を流しながら痛みを堪えて手を止めずにひたすら動かし探し続けた。


しかし、氷華の花は見つからず、アリス次第に意識が朦朧としてふらつき倒れた。


「お母様…。」

気絶して倒れたアリスに雪が積もっていった。


倒れているアリスに、大きな影がアリスを覆った。



暫く経ち、城ではアリスが居ないことに気付いた妹のアリアは父親に相談し、再び、騎士団達はアリスの捜索するために森へと向かった。




(暖かい…。私、死んだのかな?お母様、ごめんなさい…。)

「う…。」

意識を取り戻したアリスは、目を擦りながら上半身を起こした。


アリスの近くには、バチバチと音を立てている焚き火があり、肩から足先まで毛布が掛けられていた。


「あれ?私、生きてる…。ここ、どこだろう?とても大きい洞窟みたいだけど。」

アリスは立ち上がろうとした時、洞窟の奥からドシン、ドシンと低い音と共に地面が揺れる。


「だ、誰かいるの?」

アリスは、恐怖で体は動かず震える声で尋ねる。


そして、洞窟の奥から巨大な影がアリスを覆った。


「あ、あ、あ…。」

アリスは、顔を上げて見上げて必死に声を出そうとするが上手く声が出なかった。


アリスの前に現れたのは、巨大な白い毛のゴリラの様な生き物イエティだった。


「あ、目を覚ましたんだ。良かった、良かった。お嬢ちゃんが山の奥に一人で倒れていたから驚いたよ。あ、そうだ、これを怪我している手に塗ると良いよ。最初は滲みるけど、あっという間に怪我が治るから。」

イエティは気にした様子もなく、アリスの前に胡座を掻いて座り、左手の人差し指と親指で呆然としているアリスの怪我している右手首を摘まんで薬を塗ていく。


「~っ!」

傷口に滲みた痛みでアリスは、我に返った。


「あとは、布でっと。これで、よし!もう、終わりだから。」

イエティは、アリスの右手に布を巻き付けて満足そうに笑顔を浮かべた。


「あ、ありがとうございます。」


「どういたしまして。」


「あ、あの、なぜ、私を助けたのですか?私を食べないのですか?」


「ん?ああ、そういうことか。安心して、僕は君を食べないし危害を加えるつもりはいから…。は、は、ハックション!寒いよね、ここ最近は、って…。」

くしゃみをイエティは、右手の人差し指を横に傾けて鼻の下を擦りながら話をしてアリスに視線を向けると固まった。


「……。」

アリスはイエティのくしゃみで全身が唾液でびっしょりになっていた。


「あ、あの、そのごめん。本当に悪気はないんだ。」

イエティは、土下座をして謝った。


「フ、フフフ…。」


「ん?何か可笑しかった?」


「だって、あなた、とても図体が大きいのに…フフフ…。」

ホッとしたアリスは、左手で口元を隠し右手の人差し指で涙を拭いてクスクスと 笑った。


アリスは毛布を羽織り、服は洗って焚き火の近くに干した。


「ところで、お嬢ちゃんは…。」


「私の名前はアリスです。アリスって呼んで下さい。」


「わかった。僕はイエティ。イエティで良いよ。それと、他人行儀はやめて欲しい。」


「わかりま…わかったわ。」


「で、アリスは、何で一人で、こんな猛吹雪の中で倒れていたんだ?」


「それは…。」

アリスは表情が暗くなり、これまでの経緯を話した。


「氷華の花ならあるよ。ちょっと待ってて。よいっしょっと…。」

イエティは立ち上がり、洞窟の奥へと向かった。


そのあと、すぐにイエティが戻ってきた。

その手には、数多くの氷華の花が入っている籠を持っていた。


「はい、30本ぐらいあれば他の人達の分の予備もあって安心できるだろ?」


「え!?でも、氷華の花は滅多に見つからない貴重な花なのだけど良いの?こんなに頂いても?」


「それに関しては大丈夫。僕は、氷華の花を育てて繁殖させているから気にしないで良いよ。」


「ありがとう!イエティ!」

アリスは、瞳を潤ませながらイエティに抱きついた。


「それよりも一刻も早く、氷華の花を持って帰ってお母さんを治さないとね。途中まで僕が送ってあげるから。」


「うん!本当にありがとう!」

アリスは、涙を溢しながら微笑んだ。


いつの間にか、外は猛吹雪が止んでおり夜空には月と星がキラキラと輝いていた。


そんな中、アリスは隣を歩いているイエティの大きな人差し指を左手で握って一緒に城へと向かった。


二人の後ろには、楽しそうな二人の大きな影と小さな影が月の光によって映し出されていた。



途中で国王と騎士団達の姿が見えたので、アリスは手を振りながらイエティと別れて父親である国王達と一緒に城へと帰城した。


その後、氷華の花で薬はでき、母親の妃は無事に回復したが、アリスは父親である国王と妹のアリアにこっぴどく叱られるのであった。



それからは、アリスは稽古が終わると、天気の良い日は皆に内緒で一人で山へ行ってイエティに会いに行く日々が続いた。



時が経ち、アリスが15歳になっていた。


島の東側は、地形が急勾配が激しいため誰も近寄る者がいなかった。


そのため、人によって荒らされることがないので、春になると山は雪が積もっているが岸側には数多くの綺麗な花が咲き絨毯の様に敷き詰められている。


そこに、アリスとイエティは大きな岩に寄り添う様に腰かけていた。


「私、今日で15歳になったんだよ。」


「誕生日おめでとう、アリス。」


「え~!それだけなの?私、誕生日なんだよ!プレゼントとかないの?」


「あっ、ご、ごめん。あとで、用意するから。今度、渡すよ。それで、良いかな?」


「フフフ…。冗談だから、気にしないで。」

アリスは、手を口元に当ててクスクスと笑った。


「ほっ。」


「前から聞きたかったんだけど、イエティ。あなた人間の気配があるのだけど人間なの?それとも、精霊なの?答えたくなかったら答えなくって良いのだけど。」


「僕は、元人間だよ。僕は医者だったんだ。この山に咲いてある氷華の花を栽培できる様になれば数多くの人達を助けられると思って、山に篭って氷華の花の研究をしていたんだ。だけど、ある日、あの洞窟に入った瞬間、足元に魔法陣が出現して輝きだしたと思ったら体が弾けそうになるほど体内の魔力が増大して気絶したんだ。そして、目を覚ましたら地面に浮かびあがった魔法陣は消えているし、体がいつもと違うことに気付いたらご覧の通りって訳なんだ。これは、呪いだと思うんだ。まぁ、寒さに強くなったし、寿命も伸びたから良いけど。その代わり、他の人達に姿を見られると討伐されかれないから山で一人暮らしをしていたんだ。少しだけ寂しかったけど、今はアリスが会いに来てくれるから寂しくなくなった。いや、それどころか楽しい日々を送れているよ。ありがとう、アリス。」


「そ、そう。そ、その私もあなたと出逢えて良かったと思っているわ。それに、私もあなたと一緒にいて楽しいわ。あ、あとね、それは呪いじゃなく、その魔法陣は精霊と契約する魔法陣だったと思うの。信じられないけど、まさか、この国にウンディーネ以外の精霊がいたなんて驚きだわ。ただ、元の人間の姿に戻れないのは精霊を宿した際にあなたの体が耐えきれなかったことが原因ね。」


「そうか…。」


「今日、あなたに伝えたいことがあるの。私も国の掟で、明日、精霊ウンディーネと契約しないといけないの。あなたに会うまでは怖かったのだけど、今は違うわ。もし失敗したら、あなたと山暮らしでも良いかなって思っているもの。」


「気持ちは嬉しいけど、成功する様に全力で頑張って欲しい。アリスなら大丈夫だよ。」


「ありがとう、イエティ。」


「はい、アリス。誕生日プレゼント、ただの花冠だけど。」


「ううん、とても素敵な冠だわ。ありがとう、イエティ。じゃあ、また明日ね!」


「頑張って、アリス!」

イエティは、アリスの姿が見えなくなるまで手を振り続けた。



そして、アリスは無事に精霊ウンディーネをその身に宿すことに成功した。


だが、数日が経ち、そのことを耳にした近国の貿易が盛んな国の王子がスノー・ランドを訪れてアリスに婚約を申し出た。


国王はとても喜んでいたが、逆にアリスの表情は暗く重かった。


その日の夜、アリスはどうしてもイエティに会いたかったので、ランプを片手に一人で山に向かった。


だが、真夜中だったのでランプの灯りは目立ち、窓から月を眺めながら姉のアリスを心配していた妹のアリアが気付いた。


「ん?あれって、お姉ちゃん。こんな夜更けに何処に行くんだろう?」

気になったアリアは、急いでローブを羽織りランプを片手にアリスの後を追った。



山の中央付近に流れている川にいたイエティに会えたアリスは、靴と靴下を脱いで地面に座り足を川の水につけて左右の足を交互に動かす。


イエティは、いつも昼間にしか来ないアリスが夜に会いに来たので何かあったのだと気付いていたが、何も聞かずに焚き火で焼いている魚の串刺しを手に取る。


「はい、アリス。魚が焼けたよ。」


「フフフ…。ありがとう、イエティ。」

アリスはイエティに振り返り微笑んだが、いつもと違い、誰が見ても空元気だとわかるほど乾いた笑顔だった。


そして、堪えれなくなったアリスは涙を流しながらイエティに抱きついた。


イエティは何も言わず、そっとアリスの背中を優しく撫でる。


それから暫く経ち、落ち着いたアリスは川の水につけた足を交互に動かしながら話す。


「イエティ、あのね私、このままだと近国の王子と結婚しないといけなくなるの…。」


「……そうか…。なら、もうアリスとは会えなくなるんだね。」

イエティはアリスと出会って親しくなってきた時から、薄々、この日が来ると覚悟していたが、いざ直面すると悲しくなっていた。


本当は、もっとアリスと一緒に居たいと言いたかったが、アリスのことを考えると引き止めるべきではないと思い、言葉が出なかった。


二人は沈黙し、静寂が訪れて川の流れる音が大きく聞こえる。


「あのね、私、城を抜け出してあなたと一緒に暮らそうかと思っているの。」


「それは、駄目だよ!アリス。気持ちはとても嬉しいけど、この山は、年中雪が積もっているし。考えているよりも過酷なんだ。病院もないし、それに、家族や国民が心配するよ。冷静になって、アリス。」

取り乱すイエティ。


「……。」


「ほら、せっかく焼けた魚が冷えるよ。」


「そうね、うん、とても美味しいわ。」

言葉にして伝えたアリスは、肩の荷が下りて気が楽になっており、先程とは違って無邪気な笑顔を浮かべた。


そんな二人を、木の影からアリアが複雑な面持ちで見ていた。

「お姉ちゃん…。」



翌朝、食事が終えたアリスは自室に戻ろうとしていたら廊下でアリアに声を掛けられた。


「お姉ちゃん!」


「どうしたの?アリア。」


「お姉ちゃん、あの怪物は何なの?」


「な、何のことかしら?」


「惚けないで!昨日の夜、お姉ちゃん一人でランプ持って山に行ったよね。私、直ぐにお姉ちゃんの後を追ったんだよ。」


「~っ!アリア、1つ聞くけど、誰かに言った?」


「ううん、まだ誰にも言ってないよ。」


「ホッ、良かったわ。アリア、お願い!誰にも言わないで!」


「なら、ちゃんと私には話してよね。」


「わかったわ。」

アリスは、初めてイエティに会ったことや、それから、ほぼ毎日イエティに会いに行っていることを話した。


「じゃあ、あの人?人と言って良いのかわからないけど、イエティって言うんだ。話してくれてありがとう、お姉ちゃん。誰にも言わないから安心して。だって、お母様とお姉ちゃんの命の恩人なんだしね。」


「ありがとう、アリア。」

アリスは、アリアを抱き締めた。



その後、アリスとアリアは誰にも聞かれない様にするため、アリスの部屋で話しをすることにした。


「言っても無駄と思うけど、お姉ちゃん。イエティは、元は人間でも今は人間じゃないんだよ。」


「それでも、私はイエティが好きなの。」


「じゃあ、あの自意識過剰な王子をどうにかしないとね。私も、あの王子は嫌いだったから、丁度良かったよ。」


「フフフ…。でも、どうにかしたくっても、お父様はあの人を気に入っているからどうしようもないわ…。」


「だよね…。で、でもさ、まだ時間があるし、私も協力するから何とかなるよ。まずは、お父様とお母様に話さないとね。」


「お母様なら、納得して頂けるとは思うけど。」


「お父様が問題だよね…。反対するだけじゃく、イエティのことを知ったら、イエティを道具の様に利用するか、最悪、強引に精霊契約を解除してイエティの中にいる精霊を抜き取るかも。そうなったら、精霊を抜き取られたイエティは死んじゃうよね…。」


「……。」

想像したアリスは、言葉を失っていた。


「ご、ごめん、お姉ちゃん。そうならない様に、二人で考えようよ。きっと、何かあるはずだよ。それに、私は何があってもお姉ちゃんの味方だから。」


「ありがとう、アリア。」

アリスは、アリアに抱きついてお礼を言った。



それからも、アリスは縁談の破棄をしたいと父親に申し出てをし、イエティに会いに行き続けた。

その思いは、より強くなっていった。



だが、縁談はそのままになり、とうと明日、アリスは近国の王子との結婚式が迫っていた。


「お父様!お願いです!私は…。」


「いい加減にしろ!アリス!あの王子の何処が気に入らないんだ?気品もあり、優しかっただろ?」


「それは…。」


「何も言えないだろ?だったら…。」


「自意識過剰、自慢話が多い、何故か最後に語尾に「ね!」をつけてウィンクしながら白い歯を見せて強調するのがウザイしキモいし生理的に無理。それに、お姉ちゃんの胸やお尻、太股を見て鼻の下伸ばして下心が丸出しだし、何と言っても体臭と息が臭い。更に、それを誤魔化すために香水がキツすぎるよ。あんな人と一緒にいるだけで、精神的苦痛で寿命が減って早死にしそうな気がするぐらいに酷い。」


「「アリア!?」」


「お姉ちゃん、この際にハッキリ言わないと駄目だよ。」

アリアは、腰に手を当てて部屋に入りながら怒った。


「ええ、でもアリア。ハッキリと言い過ぎよ。」


「だって、聞かれたじゃん。」


「ええい!今さら遅い!お前からも何か言ってやれ!」


「あなた、私は国のためではなく、アリスの気持ちを尊重して欲しいの。アリスの人生はアリスのものなのよ。アリスが好きなった人と結婚して幸せになって欲しいの。だから…。」

国王は妻に頼るが、妃はアリス達の味方だった。



「くっ。だが、もう遅い。今さら断れない。もし断れば、相手は貿易国だ。すぐに各国に結婚間近で婚約を破棄したという悪い噂が流れてしまう。そんな、みっともない事ができるはずがないだろ!」


「「お父様!」」

「あなた!」


「アリスには本当にすまないと思っている。だが、アリス、お前はこの国の姫として生を受けたのだ。これも、王族として国民の暮らしを豊かにする使命なのだ。わかってくれ。」


アリスは、部屋から飛び出した。


「お、お姉ちゃん!」

「待ちなさいアリア。今は、そっとしてあげなさい。」

「うん…わかったよ。」

アリスを追いかけようとしたアリアだったが、母親に止められた。



部屋を飛び出したアリスは、ローブやランプを持たずに泣きながらイエティに会いに山へと向かった。


アリスは、ひたすら走った。


夜で、しかも雪が降っており薄暗く、辺り一面は雪が積もっていたので見通しが非常に悪かった。


時々、雪に足を取られて転けそうになってもアリスは走り続けた。


そして…。


「きゃ」

アリスは、雪に足を捕られて転倒した。


「うっ、どうして…。どうしてなの。私は、ただ好きな人と結婚したいだけなのに…。何で駄目なの。うっ…うぅ…。」

アリスはすぐに立ち上がらず、その場で横に転がって仰向けになり右腕で目元を隠した。


右腕の隙間から涙が溢れて頬を伝わり流れた。


暫くの間、アリスは心が落ち着くまで、そのままの状態でいた。


「イエティ、あなたに会いたい…。会いたいよ…。」

アリスはイエティに会いたい気持ちが強まり、ゆっくりと立ち上がって真っ暗な山の中を歩み始めた。



洞窟にいたイエティは、焚き火に薪を継ぎ足しながらアリスのことを思い出していた。


「はぁ~、僕はどうすれば良いんだろう。ん?ア、アリス!?何でランプも持たずに、しかも、そんな格好で…。」

人の気配を感知したイエティは外を見ると、そこにはアリスがフラフラしながら歩いていたので慌ててアリスに駆け寄った。


「イエティ、どうしても、あなたに会いたかったの。うぅ…。」

アリスは、凭れ掛かるようにイエティに抱きついて泣いた。


「……。」

イエティは、何も言わずに大きな手でアリスの頭を撫でる。




落ち着いたアリスは、濡れている服を焚き火の近くで干し、焚き火の前で毛布にくるまっていた。


「はい、アリス。先に、この温かい野菜スープを食べて体の芯から温まって。」


「ありがとう…。温かい…。うん、美味しい。」

弱々しい笑顔を浮かべるアリス。


「口に合って良かったよ。」


「……。ねぇ、何も聞かないの?」


「言いたくなかったら、無理して言わないで良いよ。それに、もしアリスが良かったら、今日は泊まっていっても良いから。」


「……うん…ありがとう…。そうさせて貰うわ…。」

アリスは、頬を赤らめて小さな声でお礼を言った。



翌朝、雪は止んでおり、透き通る青空で太陽が昇っていた。


香ばしい匂いがして目が覚めたアリスは、上半身を起こしながら目を擦る。


「おはよう、ア、アリス。そ、その…。」


「おはよう、イエティ。朝からどうしたの?顔を真っ赤に染めて?」


「だ、だって、そ、その、ま、前が…。」


「前がどうしたの…よ…。って…。な、な、な、な…。」

アリスは、イエティの視線が自分の胸を見ていたので気になって見てみると、昨夜は服を乾かしていたので素裸の状態だった。


「きゃ~!」

あまりにものショックで理解できず、そして、理解すると共に恥ずかしくなったアリスは、顔を真っ赤に染めて慌てながら左手で毛布を掴んで胸元を隠して涙目で右手に魔力を込めて掌に水を纏った掌でビンタをして甲高い音が山に響いた。


「ぐぁ。」

アリスのビンタは、巨体なイエティを軽々と後ろにひっくり返しながら転ばせるほどの威力があった。



「あっ、ご、ごめんなさい!大丈夫?イエティ。」

慌ててアリスは駆け寄る。


「痛てて、僕は大丈夫。凄い威力で効いたよ。でも、そのお蔭でモヤモヤしていたのが吹っ切れたよ。」

イエティは苦笑いを浮かべながら起き上がり、叩かれた左頬を擦った。


「ねぇ、イエティ。お願いがあるのだけど。」

「なのさ、アリス。もし良ければ、僕のお願いを聞いて欲しいのだけど。」

アリスとイエティは、声が重なった。


「先にどうぞ、イエティ。」


「ありがとう、アリス。じゃあ、お言葉に甘えさせて貰うよ。ゴホン…。アリス、僕と結婚してくれませんか?アリスには過酷で不便かもしれないけど、これから僕と二人で、この山で暮らして欲しい。きっと、君を幸せにしてみせるから。」

大きく咳をしたイエティは、間を置いて頭を下げながら告白し大きな手を前に差し伸べた。


「……。」

(あれ?やはり、だめだった?)

破局したと思ったイエティは、恐る恐ると顔を上げてアリスを見る。


あまりにもの嬉しさにアリスは大きな瞳を開けて潤んでおり、両手で口元に当てて声が出ずにいた。


「はい!私で良ければ喜んで!ふつつか者ですが、宜しくお願いします!」

アリスは右手の人差し指で潤んでいる左右の涙を拭きながら、今までで一番の笑みを浮かべて両手でイエティの指を握った。


こうして、アリスは城には帰らず山でイエティと暮らし始めた。




国王と妃は娘のアリスを心配して騎士団達に捜索させていたが、結局、見つからず、近国の王子との縁談の話は破綻した。


「良かったね、お姉ちゃん!」

妹のアリアは窓から山を見て微笑んだ。




月日は流れてアリスは18歳になり、イエティの子供を産んだ。


「ウホホ…。生まれたぞ!男の子だ!ウホホ…。」


「ハァハァ…。よ、良かったわ。」

アリスは、上半身を起こして微笑んだ。


「大丈夫か?アリス。」


「ええ、それよりも、私にも見せてくれないかしら?私達の子供。」


「おっと、ごめん。ほら、元気な男の子だ。」


「私達の子供として生まれてきて、本当にありがとう。」

アリスは赤ちゃんを抱き抱えて、頬で赤ちゃんの頬を優しく撫でる。


「ところで、アリス。この子の名前は何にする?」


「前から考えていた名前があるの。」


「どんな名前なんだい?」


「あなたの名前、イエティ・クロストファードと私の名前アリス・ミネルヴァを合わせて、クリスというのはどうかしら?もし、女の子だったらイリスって考えていたのだけど。」

アリスは、クリスの頭を優しく撫でながら提案した。


「うん、凄く良い名前だ。じゃあ、この子は今からクリスだ。宜しくな、クリス。」

イエティは、微笑んだ。


これから、3人で幸せな暮らしを送れると思っていたアリスとイエティ。


しかし、3人で幸せな暮らしは長くは続かなかった。



クリスが生まれて数日が経った頃、とうと山を捜索をしていた騎士団達がイエティ達が暮らしている洞窟を発見して辿り着いていた。


騎士団の部隊隊長は、部下を連れて警戒しながら洞窟に入った。


「隊長、誰もいないみたいですね。ところで、隊長は一体、何をしているのですか?」


隊長は、消化されている焚き火の真上に手を翳す。

「まだ、熱を帯びているな。総員!直ちに笛で皆に知らせろ!まだ、この近くに姫様はおられるはずだ!細かく捜索しろ!」


「「ハッ!」」

騎士団達は笛を鳴らすと笛の音は山に言霊して響き渡り、辺りを捜索し始める。



天気が良かったので、イエティとアリスとクリスは外で楽しくピクニックを満喫していた。


アリスが優しくクリスを抱っこしているのを見ていたイエティは、自分もクリスを抱っこしたくなった。


「アリス、僕にもクリスを抱っこさせてくれないか?」


「良いわよ、はい。」


「ぎゃ~!」

クリスは、アリスからイエティに移動されそうになると大声で泣き出した。


「え!?え?ベロベロ、バァ~!」

クリスを受け取ったイエティは、大きな口を開けて舌を出して変顔して必死にクリスを笑わそうとする。


しかし、イエティの顔を見たクリスは更に大声で泣いた。


「あ、あれ?クリス、何で僕が抱っこしたら泣くんだ?アリス頼むよ。」


「もう、あなた。クリスをこっちに渡して。クリス、もう大丈夫よ。怖かったよね~。」

アリスがクリスを抱くと、クリスは泣き止んで両手を上げて動かしながら笑った。


「はぁ~。」

アリスとクリスを見たイエティは、肩を落として落ち込む。


その時、聞き覚えのある笛の音が聞こえた瞬間、笑顔を浮かべていたアリスの表情が深刻な表情に一変し、慌てて立ち上がった。

「この笛の音…。ま、まさか!あなた、すぐに此処から離れるわよ。追手が来るわ!」


「わ、わかった。」

アリス達は、トレジャーシートやバスケット(かご)、食べ物などを置いたまま、すぐにその場から離れる。


しかし、巨体なイエティが走ると、その度、足音や地面の揺れが発生するのでイエティは歩くしかなかった。


だが、イエティは巨体なので吹雪が吹いていない今、明らかに目立っており、とうと騎士団達に見つかった。


「居たぞ!え!?姫様じゃないぞ。何だ!?あの化け物は?」


「殺せ!」


「「ハッ!」」

「アクア・カッター」

「アクア・ショット」

「アクア・キャノン」

騎士団達は、魔法を放つ。



「こうなったら、アリス。」

「きゃっ。」

「手荒になるけど、許してくれ。」

イエティは、クリスを抱き抱えているアリスを抱き上げて全力で走ることにした。


しかし、次第にイエティ達は島の端に追い込まれていく。


「このままでは、逃げ切れない。アリスは、クリスを連れて逃げてくれ。僕が囮になって時間を稼ぐから。」


「そんなの嫌よ!私が一人で国に戻れば…。」


「駄目だ。僕一人ではクリスを育てられない。クリスは、君が必要なんだ。」


「なら、お父様に説得するわ。だから…。」


「それも、駄目だ。クリスが君と僕との子だと知ったら、間違いなくクリスは…。」


「なら、私がウンディーネの力を使って騎士団達を蹴散らすわ!それなら…。」



「駄目だ。あの騎士団達は、君の身を案じて助けに来ているんだ。それに、もう僕の存在が皆にバレてしまった。例え、今回は運良く逃げられたとしても、どの道、いつかは捕まり、僕は実験材料になるか、精霊を剥がされて死ぬ運命だ。なら、せめて君と僕達の子供クリスのために、この命を使いたいんだ。わかってくれ、アリス。大丈夫、僕は騎士団達に手は出さないと約束するから。」


「あなた…。」

アリスは、涙を溢しながらイエティに抱きついた。


「クリスを頼むよ、アリス。きっと、君なら大丈夫。僕が保証するから。じゃあ、そろそろ分かれよう。」

イエティは両手の親指で優しく、泣いているアリスの両肩を押して抱きついているアリスを離し、そっとアリスにキスをした。


「クリス、元気に育つんだぞ。そして、お母さんを助けるんだぞ。アリス、幸せな日々をありがとう。愛している。もし死んで生まれ変わっても、きっと君を探し出して見せるよ。その時は、また結婚しよう。今度は、クリスと3人で誰も邪魔されない世界で暮らそう。元気でな、アリス、クリス。」

イエティは、最後に手でアリスの頬を優しく当てたまま微笑んで行き先を変えて走る。


「あなた…。絶対だからね!」

アリスは、イエティの姿が見えなくなるまで見送った。


「こっちだ!こっちに化け物が居たぞ!」

「おう!」

騎士団達の声と共に、数多くの魔力を感知し木々が倒れる音が山に響く。


「あなた…。うっ…。」

アリスは、クリスを抱えて必死に走り出す。



そして、山を抜けたアリスは立ち止まり乱れた呼吸を整える。


アリスの目の前には、自身が15歳の誕生日の日にイエティと過ごした花畑だった。


「グオォ…。」

山の奥からイエティの断末魔が響いた。



「あなた…イエティ…。うっ、うう…。」

アリスはクリスを抱えたまま、その場に(うずくま)って泣いた。


泣いているアリスに近付く影があった。

「ここに居たか。この馬鹿娘めが。」

アリスの前には、父親である国王がおりアリスとクリスを一瞥する。


「お父様…。」


「フン、気安く、お前にお父様と言われる筋合いはない!」


「婚約前日に家出をして行方をくらませ大事な婚約を当日に破棄した挙げ句、子供まで作っているとはな。呆れてものも言えん。その子供は、お前とあの化け物の子供みたいだな。アリス、大人しく投降すれば、お前の命だけは助けてやる。」


「クリスは、この子は?」


「殺すに決まっているだろ!あんな化け物の子供など、おぞましいだけだ。いや、それだけではない。このことが世間に知られでもしたら、大変なことなる。だから、その子供は確実に殺す。」


「クリスが、私とイエティの…クリスが、おぞましいですって!?」

激怒したアリスは、魔力を解き放ち立ち上がる。


膨大な魔力を宿しているアリスの周囲には、放っている魔力と水が渦巻いた。


「馬鹿娘が!父親である私に歯向かうつもりなのか?」


「お父様、これ以上、私とクリスに関わらないと約束して下さるなら攻撃はしません。ですが…。」


「フン、下らん脅しを…。」

「アクア・ショット」

「ぐっ…。」

国王が鼻で笑った瞬間、アリスは水の弾丸を飛ばして国王の左頬を掠めた。


「アリス、貴様!よくも、この父親である私に攻撃したな。総員、直ちに馬鹿娘ごと殺れ!」


「で、ですが、我々だけでは無理です。無謀です。せめて、【六花】様方が居なければ…。」


「ええい!良いから早く攻撃しろ!命令だ!」


「「ハ、ハッ!」」

騎士団達は、前に出る。


「先に忠告するけど、私は本気よ。死にたくないなら、そこを退きなさい。」

「「ひっ。」」

アリスは膨大な魔力を醸し出しながら鋭い眼光で騎士団達を睨みつけると、騎士団達は顔を強張らせて腰を引きながら一歩下がった。


「何をしている!さっさと殺らんか!」


「「~っ!」」

騎士団達は後ろ振り返り、激怒した国王を見て覚悟を決め、震える手で剣を抜刀して構える。


「そう、残念ね。それが、あなた達の答えなのね。良いわ、その身で思い知りなさい。ウンディーネの精霊の力を!アクア・ドラゴ…。」


「お姉ちゃん!ダメ!」

「アリア!?」

妹のアリアが両手を広げてアリスと国王の間に入り、アリスの攻撃が止まった直後、騎士団達の魔法がアリスに襲い掛かった。


「~っ!」

アリアの登場で硬直したアリスは、防御魔法が間に合わないと判断し、身を翻して自身の背中を盾代わりにしてクリスを守り、その場に倒れた。


「お、お姉ちゃん!お、お父様、なぜお姉ちゃんを…。」


「私に歯向かったのだ。死んで当たり前だ。」


「国王様、止めをさしますか?」


「いや、アリスは、まだ生きていたら城へ連れて帰ってから考える。最悪、アリスに封印したウンディーネを剥ぎ取る。赤子は、この場で始末しろ。」


「ハッ!」



「も…う少し…。あと…少しで…。で…きた…。」

瀕死状態のアリスは、自身の血で地面に古代の魔法陣を描いていた。



「ん?あの魔法陣は、ま、まさか、時空間魔法。お前達、直ちにアリスを殺せ!何としても魔法の発動を阻止しろ!あの子供だけは始末するのだ!」


「駄目~!」

アリアがアリスを庇う様に前に出たため、騎士団達は魔法を中断した。


「ありが…とう…アリ…ア…。」

アリスは、お礼を言いながらクリスを魔法陣の上に置いて最後の魔力を振り絞って魔法陣に魔力を流す。


魔法陣は、赤く輝き出した。


「クリ…ス…。ごめ…んね…。パパと…ママは…あなたと…一緒…に…暮らせ…ないけ…ど…。あなたの…こと…遠く…から…いつま…でも…見守って…いる…から…ね…。」

アリスは意識が朦朧とする中、涙を溢しながらクリスの頬を撫でて最後まで見送りたかったが途中で生き絶え、アリスの手は力なく地面に落ちた。


それと同時に、魔法陣が発動してクリスはその場から消えた。


「お姉ちゃん…。」

アリアはアリスに駆け寄り、抱き抱えて泣いた。


「アリア、わかっているのか?お前がしたことの重大さを。あの化け物の子供を逃がしたのだぞ。いつか、復讐に来るかもしれないんだぞ!」


「もちろん、わかっているよ。でも、復讐の原因を作ったのはお父様だよ。」


「くっ、フン、まぁ良い。その時は、返り討ちにすれば問題ない。それよりも、事態は深刻だ。アリスの中のウンディーネが暴走する前に封印する。封印の坪の用意しろ!」


「お父様、私がウンディーネを宿して良い?」


「……。わかった。だが、アリスの様な馬鹿な真似はするなよ。」


「うん…。わかっているよ。」

こうして、ウンディーネは無事にアリアが宿し、妹のアリアはクリスを迎え入れるため、国の政権を見直し、スノー・ランドは平和に豊かになりました。


ただ、スノー・ランドは雪が降ることはなくなり、アリスとイエティの子供であるクリスは今も誰も見ていません。


クリスは、今どこで何をしているのでしょうか?



「おしまいっと。おやおや、フフフ…ぐっすりと寝てるみたいだね。お休み、クリス。」

マミューラは本を閉じてクリスの寝顔を見て微笑み、優しくクリスの頭を撫でて本を持って立ち上がり部屋のランプを消して部屋から出て行った。

次回もご覧下さい。

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