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犯人達の工作  作者: 髙橋朔也
クローズド・サークル
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招死く~まねく~ その参

 自己紹介が終わると、シャーロックは立ち上がった。

「さて。では、これからまず皆様には海水浴をしてもらいましょう」

 シャーロックは奥へ行ってから、全員分の水着を持ってきていた。

「八坂島管理者様のご命令です。海水浴の感想を言っていただければこちらとしてもうれしいです」

 三上は腕時計を外してカバンに入れた。


 各自室で参加者は水着を着てから、タオルを巻いて海に向かった。だが、男性陣はタオルを巻かない者が多かった。小室や私はちゃんとタオルを巻いた。

「仁!」

「どうしましたか?」

「桂家連れてこい」

「わかりました」

 私は桂家ちゃんを小室の元に連れてきた。

「おにいちゃん、どったの?」

「この島、おかしいんだ」

「そうなの?」

「そうなんですか?」

「かなり古い、血痕が僕の部屋にあった。それと、僕の部屋の本棚には古い版の本が並んでいた。そして、その本は全てほこりをかぶっていた。何かが匂うんだ」

「あの館に暮らしていた人が指でも切ったんでしょう」

「と、思うだろ? 床に染みていた血の量は致死量だ。つまり、誰かがあの部屋で死んだ」

「!」

「まあ、ただの推測だがな」

「推測...」

「まあ、あの館で以前にも何かあったのは確かだろう」

「そう、何ですね」

 その後、私達三人は泳ぐ気力を無くしてそのまま館に戻った。それから私服に着替えて小室の部屋に向かった。

「桂家、仁。待っていた」

 小室はゆっくりとカーペットに向かって歩いて行き、カーペットを手に取って持ち上げた。すると、床に血が広がっていた。

「なっ!」

 血の量は大量だった。致死量かどうかはわからないが、包丁で深く指さないとここまでにはならないと思う。そういうほどの量だった。

殺戮(さつりく)がこの館で行われていた。そういうわけだ」

「まさか...殺戮って。考えすぎですよ」

「そうだよ、おにいちゃん!」

「考えすぎで何が悪い? 致死量の血が床に広がっているのは確かだ」

「そうですけど...」

(やしろ)には気をつけた方がいいだろう。もしものために、仁と桂家にはGPSを持ってもらう。仁には僕のメールアドレスも教えておこう」

「わかったよ」

「わかりました」

 小室はカバンからGPSを二つ出した。


 同日の夜。広間に集まって食事が行われていた。シャーロックはなぜかただ立っていた。

「皆様、おいしいでしょうか?」

「ああ、実に美味だ」と乾が答えた。

 それから少しすると、シャーロックはどこからかノートパソコンを出した。そして、動画を開いた。

「これから、八坂島管理者様のお声を聞かせます」

 動画が再生された。

「ようこそ、我が八坂島に。声は変声期で変えてあるが、許して欲しい。君たちにはこれから殺戮の恐怖を味わってもらう。

 小室探偵は感づいていたようだが、この館では数年前にも殺戮が行われた。その際に殺されたのは五名。その五名とも前科がある。しかも殺人罪。腕利きの弁護士を使ったり、精神疾患を訴えてどれも有罪にはならなかった法では裁けない奴らだ。

 今、この館に集まった八名のうち五名は同じく前科がある。熊井輝義は麻薬密売で捕まったが今も反社会的勢力と繋がりがあるらしいな。

 三上辰は殺人を犯すも、目撃者をも殺して捕まらなかった。もみ消したのは父親。

 乾颯馬は会社で横領を行い、一度捕まった。また、殺人未遂も犯した。

 真壁春香は一人を殺して捕まったが、短い懲役で牢を出た。その後、自営業で美容師をしている。

 熊谷直実は改名しているな。本名は薮恭子(やぶきょうこ)。殺人過去二件、二つとも他人に(なす)り付けた。

 この五名は法で裁くことが非常に難しい。それで、我々が動いた。五名をじっくりと殺させてもらう。

 小室探偵一行は検死などを行ってもらおう」

 シャーロックはノートパソコンを閉じた。

「では、これより殺戮が行われます。三階にご案内しましょう。あらかじめ船は燃やしてあります。逃げることは考えない方がいいでしょうね。

 小室探偵一行も参加はしてもらいますが、殺されません。ですが、こちらの存在に気づいた時は抹殺させてもらいましょう」

 シャーロックは(ふところ)からリモコンを出した。ボタンを押すと、天井の一部が開いて、はしごが出てきた。私達はそれを登って、三階に入った。

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