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#にけリメイク  作者: 遠宮 にけ ❤️ nilce
1 にけ が リメイク
1/10

【コメディ】 地淵育生 さん作 「人間相手に親切にしたい魔王」より

#みんなの文体をわたしの文体でリメイク


地淵育生 さん作

「人間相手に親切にしたい魔王」より

https://ncode.syosetu.com/n1569er/


 とあるゲーム界の魔王は、今日も大変暇を持て余していた。


「ヤッホ、モブリン元気? オレオレ。まおーまおー。ちょー聞いてぇ? 今日マジ超怪物級の巨大魚をゲットしたんだけどさぁ……」

「ま、魔王さまぁ? 誠に申し訳ございませんが、わたくし現在バ、バトルの真っ最中……とりこみちゅうでございまして、ぐほあああ…………!!」

「もしもーし、もしもーし??? ……あ、切れた」


 魔界通信回線を使って魔物たちとだべろうとするも、モブな魔物達はこれまた大変充実した毎日を送っているようで……暇な魔王の相手をしてくれるものなどどこにもいなかった。


「いいよなぁ。モブリン達は毎日人間達と遊べて〜。オレ人間なんてここ数年は会ってねーべ。そもそもさ〜人間なんてマジで存在すんの? もう絶滅したんじゃね? ちょーダンジョン出て偵察してきてい?」


 ついつい従者のゲボリアンに愚痴を漏らしてしまう。


「いけません魔王様。魔王ともあろうお方がダンジョンの外をウロウロするなど、あるまじきこと! そう簡単に下々の者に姿を見せるものではありませんよ! ああっ……またモブリンなどと通信して!」


 モニターに表示された通信記録を見たゲボリアンは、頭をぐるっと取り囲むエリマキを先端までを真っ赤に膨らませて説教した。

 それからこれ見よがしに両手いっぱいに抱えた書類をデスクの隅にドンと積み上げる。


「こんのクソ忙しい時に……」


 苛立ったゲボリアンが口汚いつぶやきを漏らす。 


「え〜〜〜〜? 調査だよ調査! 魔界を知り尽くしてこその魔王、ラスボスだろうがよ〜」


 魔王はデスクに肘をつき、デスクの真ん中にペロンとのっかった巨大魚の尾びれにハンコを押し付ける。

 その振動にデスクの上で眠っていた相棒のカタツムリが、殻の中からひょっと片目をのぞかせた。


「魔王様、それは書類じゃ………あらぁ! カンちゃん、こんなご本どこで拾ってきたの? どおりで人間くさいと思ったわ!」


 唐突にゲボリアンは素っ頓狂な声を上げ、自分の腹を覗き込んだ。

 彼の腹にはもう一つ顔があり、その顔の中で赤ちゃんカンガルーを育てているのだ。

 その赤ちゃんカンガルーが両手に黒く分厚い本を抱え、べろべろなめまわしている。


「いけませんよ! めっ! ばっちいばっちい!」


 すっかりママモードになったゲボリアンは赤ちゃんカンガルーから本を取り上げると、よだれを拭き取りもせず巨大魚の尾の上に放り上げた。


「おいちょ、これっ……きったねーだろ」


 魔王はよだれまみれの本を覗き込んだ。

 表紙には白いローブに身を包み、黄金の髪をなびかせた人間の男が描かれている。

 そうそう、これが人間だ。久しぶりに見た……と魔王はすいこまれるように表紙を見つめた。


「と・に・か・く、魔王様は魔王様らしく、しっかりと魔界のお仕事をなさいませ! 書類はこ〜んなに溜まってるのですから!」


 目の横にあるエクボをへこませ、ゲボリアンは怒っているのか笑っているのかよくわからない顔でカンガルーをあやしながら部屋を出て行った。

 魔王はベタベタの黒い本を手に取る。


「……これ人間だべな。なになに? なんか帯がついてる。聖……書? ……人間界で一番読まれた超弩級ベストセラー!! なんかすげーなおい!……これやぁ、これ! こういうのを待ってたんや! 魔王たる者、敵を知り尽くさねばならぬってな。読むで〜読んだるで〜 オレはやる! はっきり言って、もう毎日クッソ暇で暇でしょうがないんじゃああああ!!」


 魔王は書類をそっちのけで三日三晩かけて聖書を熟読した。

 そしてある決意をした。


「聞け、ゲボリアン。これが人間界の思想体系の大元『聖書』というものだ。魔王たる者魔界を知り、敵である人間を知り尽くさねばならぬと思うてな。私はこれを三日三晩かけて隅々まで研究し尽くした。それで決意した」

「魔王様、ちょっとどうなさったのですか。熱でもあるんじゃないですか? 私って……人称まで変わってしまわれて。仕事がたまって、よほどお疲れになられたのですね。おいたわしい……」


 ゲボリアンが腹の顔と目配せをし頷きあっている。


「『汝の敵を愛せよ』これはこの人間界における超弩級ベストセラー『聖書』に書いてある言葉だ。味方を愛することなぞ当たり前。悪意を持ち敵対する相手こそ大切にし、愛を示す。それこそが立派なもののすることであるという教え。魔王として、これから私はそれを実行しようと思う!」


 魔王は手にした印鑑を思い切りデスクに叩きつける。


「ちょっと待ってください魔王様、『汝の敵を愛せよ』……? つまり自分の敵に対して親切にしてやるということでしょうか。そんなことをしてしまっては人間が魔族を滅ぼしてしまうのでは? ただでさえ昨今は劣勢なんです。失策は魔族全体の存亡にかかわります! 相手は、敵なのですよ?」


 魔王はゲボリアンの言葉に耳をふさぐかのように背を向けて、一心に三日前に釣り上げた巨大魚に墨を塗り始める。


「ちょっと、魔王様? 唐突に何をなさっているのです?」

「ああ。せっかくの釣果なのに魚拓を撮り忘れていたことに気がついてな」

「どおりでひどい悪臭……」



 三日間放置された魚は腐敗しハエがたかっている。

 相棒のカタツムリは死んだように殻の中から出てこない。

 あまりの匂いについに赤ちゃんカンガルーがゲボリアンの腹から飛び出し部屋中を跳ね回った。


「やだぁ……カンちゃん! そう。自立の時が来たのね……」


 ゲボリアンが感慨深そうに涙を浮かべる。


「…………ともかくも私はやる。やってみせる。これから私は初級者の草原へ向かう。そこで歩く毒キノコトラップにかかって瀕死になっているへなちょこ冒険者どもに、私の最高回復魔法による救いの手を差し伸べるのだぁ!これぞ聖書の教え」

「ちょ……何をいろいろと血迷ったことを。魔王様! 目を覚ましてください! あなた力だけは無駄に強大なんですから……」


 ママモードから覚めたゲボリアンが今にも部屋を出て行かんとする魔王の足にしがみついた。

 ゲボリアンの腹についた顔が潰されぐえっと悲鳴をあげる。


「止めても無駄だぞ!」

「よくお考え下さい、そんな弱小冒険者、助けたところでまたすぐに詰んでしまうのは目に見えています。毒キノコどもと戦うことを経てこそ人間は強く成長するのですよ!」


 肩に相棒のカタツムリをのせて扉へ足を向けた魔王は、ゲボリアンの言葉にはたと動きを止めた。


「なんだそれ。ちょっと感動的だな……。では最終ダンジョンで迷っている冒険者に対して、道案内をするのはどうだ。これなら私も暇しないで人間と遊べるしぃ〜…………あ、いや……その相手はすでにがっつり成長した冒険者。スポイルすることにはなるまいよ」


 魔王の動きが止まったことを確認したゲボリアンは手を離し、大きく首を振った。


「いいえ魔王様。この世界にはダンジョンが無数に存在するのです。迷うことも経験。本当に相手へ愛を示したいのであれば、彼らがこの世界で生き延びることができるよう経験値を積ませ、成長を促してやること。それこそがこの世界のラスボス、魔王の愛の示し方なのではありませんか?」


 魔王はゲボリアンのあまりの正論に言葉を失った。

 肩の上のカタツムリも長く伸ばした二つの目を魔王に向け、大きく縦に振り下ろす。

 ゲボリアンの説を理解してというよりも、面倒ごとに付き合わされたくないというのがカタツムリの本心かもしれない。


「そうか敵は敵としてしっかりと敵対すること、魔王は魔王としての役割を果たすこと。これが敵である人間に対する私のできる一番の親切というわけか」

「左様でございます」


 ・・・・・・・・ここまで

☆やってみてどうだったか学んだことレポート☆


 ゲーム世界がベース

 コメディ


 全く知識のないジャンルでできるかな〜とドキドキしました。

 コミカルな作品は大好きですが、自分では書いたことがほとんどありません。

 書けないだろうな〜と思っていたので本当に大きなチャレンジとなりました。

 ゲームに詳しい人から見ると設定がちょっと……というところがあるかもしれませんw


#文体をリメイクというタグ

 大きく見てこの題材で私が新しく描きなおすという思いでチャレンジ。

 語り方(構成)からひっくり返すように書いてみようと思いました。

 なので展開が原作とは全く違った形になっています。

 失礼に当たらないかなあと少し心配でしたが、快く受け入れてくださいました。

 地淵育生 さん、良い機会をくださり、そして広い心で受け入れてくださり本当に感謝です。

 おかげさまで大変勉強になりました。




 まずはじめに

 リメイクをする時一度原作に出てきたギャグ、キャラクターの要素を箇条書きにしました。


 視覚でボケ具合を楽しむシュール系ギャグ。

 私の大好きなジャンルです。

 でも間合いが取れるコントとちがって、小説で表現するのは私にはかなりハードルが高い……。


 小説で表現しやすいものは心理描写と論理展開(かな?)。

 そこで「魔王が人間に親切にしようと決意した動機」から物語るように描き始めてみようと決めました。


 描かせていただいた展開は途中までなのですが、一旦ここまで書いて、カタツムリくんのエピソードがうまく挟めない、と悩みました。

 はじめは登場もしていませんでした。

 エピソードはなくとも傍観者的な立ち位置で存在感を出せれば、と後でカタツムリの記述を追加して完成としました。


 また身体的特徴を表す描写。

 文章が軽い感じになったからか、原文では違和感がなかったのにリメイクでは一度に説明すると文が妙に浮いてしまいます。

 そこでそちらも展開の中で徐々に見えてくるようにしていくという描き方になりました。


 それに伴い動きが必要となりモブリン、巨大魚、カンガルーなど原作になかったり、あっても扱いが違うものが登場することになりました。




 リメイクは原作があるので情報が出揃った状態です。

 それをクリアしていくように描くという感じでかけるので少しだけ俯瞰視点を持った感覚がわかった気がしました。


 自分のプロットを元に同じようにして書いてもなかなかうまくいかないのはなぜか……。

 それはまた別の課題としてw


 最後に改めて、地淵育生 さん、学びの機会をありがとうございました!

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