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メイクロボっ

 システム、起動します.........


 3次元カメラ

 ..................正常


 各種センサ

 ..................正常


 アクチュエータ

 ..................正常


 ジャイロスコープ

 ..................正常


 冷却システム

 ..................正常


制御系人工知能

 ..................正常


 自己形成人工知能

 ..................正常


 起動準備完了


。。。。。。

。。。。

。。



 地元の工業高校中退。それが俺、長瀬拓海の最終学歴。

 コミュ症でクラスにもなじめず、2年に進級する前に中退した。


 その後、近所の町工場(まちこうば)に就職し、なんだかんだで21歳だ。


 元々手先の器用さには自信があったが、オヤッさん-町工場の社長-に徹底的に鍛えられ、設計から製造まで一通りのことはこなせるようになっていた。


 一向にコミュ症は改善しないのだが。。。


 そんな俺の唯一の楽しみが、このロボット製作だ。

 何でそんなものを作っているかって?


 それはもちろん! コミュ症を克服する為である!


 コミュ症とロボットは一見すると何の関係も内容に見えるのだが、、、、。


 そこはね? 察して下さいよ。


 古来より、十万馬力を誇る良い子の味方であったり、ダメな先祖の歴史改編を試みる猫型ロボットであったり、人間の代わりに戦ったり、人間が直接搭乗して戦ったり、合体したり

メイドロボだったり、彼女だったり、、、、、、。


 ん? 今俺にヤマシイ気持ちがあるとか、そんな失敬な事考えたのではないか?


 答えはYESである。ヤマシイ気持ち、邪な気持ち、大いに結構。

要は、自分に対してどれだけモチベーションを上げられるのか? が重要なのである。


 最初はパソコンで会話の練習をしていた。


 もちろん相手は中の人=AIである。


 人工音声も進化したおかげでごく自然な会話が可能になった。声色も男性・女性、年齢等広くアレンジ可能なのである。


 最近は、HMDというメガネ式のモニターが普及したことにより、よりリアルに、まるでこの場に存在するかのように振る舞ってくれる。


 中の人は若干の萌えと共に、大いなる癒しを与えてくれる。


 といっても現在の我が家は四畳半、築40年の非常にノスタルジックな、つまりオンボロアパートであるのだが、、、。


 敷きっぱなしの万年床に、散乱したゴミ。

 そこに仮想現実を重ね合わせた所で、今一テンションが上がらないのも事実なのである。


 そこで俺は、自分の手先の器用さと、町工場で培った技術(スキル)を元に、このバーチャルな存在をリアルに置き換えられないか?と考えた。


製作機材は、オヤッさんの計らいで使用許可を得た、最新型の3Dプリンタだ。素材を変える事で様々なパーツが作製出来、かつ着色もフルカラーの優れものである。


 実はオヤッさんの町工場、規模は小さく昔気質の下町の町工場ではあるが、ロケットの部品まで受注している、非常に技術力の高い工場なのだ。

 ただし、それはオヤッさんを始めとする、熟練の職人技が成せるもの。高齢化の波は否が応にも迫っていた。今俺が使っている3Dプリンタは、そんな中でも、オヤッさんの「時代に乗り遅れちゃいかん!」という一言で導入された、将来に向けての投資品なのであった。


 手始めに、医療用のサイトから人体のモデルを拝借し、骨格から製作した。

 骨格を組み立てて、自立歩行テストを行った。これが非常に難航した。名だたる企業が発表している二足歩行ロボットが、いかに優れているか痛感した。


 しかしそれは一昔前までの話であり、最近では人工知能によるシミュレーションが一般的だ。


なので中の人(人工知能)任せにした。ビバ人工知能である。


 当然問題も発生した。骨格のモデリングデータと、ジャイロスコープ影響下の駆動系モーター出力をシミュレーションさせた結果、モーターを動力源として制御した場合、燃費が悪すぎる為、背中にランドセルのようなバッテリーパックを搭載しなければならくなった。ある意味ではそれも素晴らしいのだが、生憎にそんな属性は無い。

 そこで、目を付けた(正確には中の人が候補として提示した)のが人工筋肉だった。

 「導電性高分子アクチュエータ」というものらしい。原理的には人間の筋肉が動くのと同じで、電気よって収縮が可能だ。

 アイディアとしてはいい。実に人間らしい。しかしながら、当然だが市販されていない。そして残念な事に、高校中退レベルの頭しか持ち合わせていない俺には、到底製作も不可能。


 「工場にある3Dプリンタで人工筋肉作れないかなぁ。う~ん、でも、材料も機材もないしなぁ。」


 などと一人、アパートでボヤく俺。

 無いものはないし、取りあえずランドセルモデルで進めようかと思っていた時、


 検索結果を表示しますか?


 パソコンに検索結果が表示されているのに気付いた。どうやら俺の呟き(ボヤキ)からキーワードを抽出し、中の人が勝手に検索していたようだ。3Dプリンタを使用した人工筋肉製作方法が記載されていた。原理的な説明から具体的な手順まで詳細に記述されていたのだが、如何せん俺の理解が追い付かない。というか、どんなトンでも理論で3Dプリンタから人工筋肉がつくれるんだ?まぁ、中の人は非常に優秀なので実際この手順を踏めばいいのだろうが、もう少し簡単な説明にして欲しい。

 そこで俺は、いつもの方法を使った。


 「レシピにして」


 すると、導電性高分子アクチュエータの作り方が、某料理レシピサイトも真っ青のわかりやすい内容でレシピとなって表示された。


水1カップ、空き缶、ドライアイス、etc


 これは大きな自慢だが、俺が育てた人工知能は、検索結果を元に表示内容を俺に分かり易くしてくれるのだ。世に出回っていた多くの人工知能は、検索内容に対する結果の精度は抜群にいいのだが、それは必ずしも理解出来るとは限らない。

 つまり俺の知識と理解力では、その検索結果すら何を意味しているのか理解不能なのである。理解出来なければその情報は無価値となってしまう。

 なので、理論をすっぽかして「俺の理解に対する最適解」を導き出すようにしたのである。

 さらに言えば、貧乏が高じて料理スキルが高くなった俺は何かを製作する際はそれをレシピ風に表示させるようにしていた。


 かくして俺は見事に人工筋肉をゲットしたのだった。

初投稿ですが、週1~2話のペースで更新出来ればと思っています。

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