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女嫌いの俺が居る  作者: 尻尾の形
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第6話-怒鳴って泣いて笑ったアイツのお知らせ

「俺の名前は古枝フルエダ シキミだ!好きな食べ物は桃。嫌いな食べ物はスイカ。宜しくな!」


そんな挨拶をされ少し戸惑った。


「俺の名前は三瀬林ミセバヤ 藍微アイビです。宜しくお願いします」


「そう固くなんなよ!俺たち、同い年なんだし」


「同い年だったら、初対面の人でも敬語を使わないのが普通なのか?」


俺は小学生の頃からまあまあひねくれていた。だから友達がいない。自分から離れさせようとしていた癖に、いざ、誰も居なくなったらすごく寂しい。幸い、いじめられる事は無かったが、周りとは必要最低限の会話しかしない日々。そんな自分が嫌だった。そんな周りが嫌だった。そんな小学生が足りない脳を最大限に動かして編み出した答えが中学リア充デビューだった。


でも、現実はそんなに甘くない。周りの人が6年間もかけて築いていった常識が、俺には無い。



「普通かどうかは分からないけど、俺は変な距離を作りたくないからいつもこうやって挨拶してるぜ!」


「分かった。俺、友達居ないから、そういう事、手取り足取り教えてくれ!」


「おう!まかせろ!」


古枝は何故、俺に友達が居ないのかを聞いてこなかった。それどころか俺の手助けをしてくれると言った。古枝は少し変わってる。友達の居ない俺でも分かった。


そして、それが俺と古枝の最初の出会いだ。


俺と古枝は意外と趣味が合った。陽キャの人と趣味が合う事に驚いたが、それよりも、誰かと同じ趣味を持てる事の喜びが大きかった。


そんな事もあり、俺は古枝と毎日遊んだ。


そして中学に入学して約半年が経過したある時、学校の廊下を歩いている不良の声が耳に入った。


「古枝の奴、最近、めっちゃキモい陰キャの奴とつるんでるらしいぜ。元いじめられっ子がいいご身分だな。類は友を呼ぶ。いい例だぜ」


「それ、古枝に友達いねえから無理やり陰キャの奴を連れ回してるだけじゃねぇの?」



不良二人組は笑いながらそう話していた。


俺は何も考えれなくなった。



心臓がバクバク鳴っているのがわかる。血が巡る。脳内麻薬が溢れる。分からない。分からない。分からない。痛い。しんどい。つらい。吐きそう。


体が勝手に動く。俺の限界を超える。怖い。怖い。怖い。


そして気が付いたらそこには不良二人が倒れていた。俺の手の甲は腫れていて、血が出ている。いや違う。返り血だ。不良の顔は血だらけで、凄く腫れていた。


俺は怖くなって逃げ出したくなったがどうせ後でバレるなら少しでもマシな方法でバレよう。と思った。


直ぐに保健室へ行き、保健室の先生を現場まで連れて行った。二人とも病院へ救急搬送された。


俺は校長室へ呼ばれ何故そんな事をしたのかと聞かれたが何も答えなかった。長時間沈黙を続けていると、連絡を受けた親が学校へ来た。母親は泣いていた。父親は俺を殴った。それでも俺は何も答えなかった。


らちがあかないと思われたのか、その日は午後の授業を受けず家へ連れて帰らされた。


帰宅後すぐに自分の部屋にこもり、日が変わるのを待った。


次の日、学校へ行き、席に着くと下を向いた古枝が俺の席へ向かって歩いてきた。


「全部みたよ。全部聴いたよ。なんでだよ!せっかくあいつらと関わりを切れたのに!お前が全部元に戻した!俺の中学校生活を返せよ!」


古枝は怒鳴った。全力で俺に怒鳴った。古枝は泣いていた。全力で俺に向かって泣いていた。


「分かった。俺の中学校生活はお前に返すために使う。俺はお前と縁を絶対に切らない。絶対に友達でいる。お前が嫌って言っても絶対に!」



「そんなの信用できる訳ねえだろ!俺はお前が嫌いだ!あいつらの言ってた通りだよ!お前とつるんでたのも独りぼっちが嫌だったから陽キャを演じて陰キャのお前を釣って、俺は独りじゃないって周りにアピールしたかっただけなんだよ!」




「それでも、俺とお前は友達だ!お前がそう思って無くても俺がそう言い続けてやる!」




「馬鹿じゃねえの?俺はお前を釣ってただけなんだぞ!」




「俺は、陽キャだから古枝とつるんでた訳じゃねえよ。いい奴だったから。コイツなら友達になれると思ったからお前について行ってたんだよ!理解しろ馬鹿!」




「馬鹿は藍微アイビだろうがよ!」



「俺もお前も馬鹿だよ!馬鹿野郎!」



俺も古枝も全力で怒鳴った。怒鳴りあって、最後に笑いあった。


俺は今、青春してる。なんて事を思った。まあいいや。







「こんな事があって、中学時代、俺と古枝が出会ったんだ」


「へぇ〜。アイビ君の過去って面白いね!」


「こんなにはなしたんだし、もういいだろ?もう帰れよ」


「えー。もっと色んな話聞きたいよ!」


「約束が違うぞ!俺の中学生時代の話したら帰るんだろ?」


そう。菖蒲アヤメは俺の家の前までついてきて約一時間、ずっと家の前で待機している。帰れと言っても帰らないから仕方なく、帰ってくれる条件を聞いたら、俺の昔の話をしろと言うのだ。


「じゃあ、仕方ないなぁ。今日は帰るよ」



「おう。じゃあな」



「送っていってよ!」



「お前なぁ......分かったよ...」



「ヤッター!ありがと!」



こいつは俺に話しかけないという約束を絶対に忘れている。2日連続女の子を家まで送って帰る事に成るとは...


予想外どころじゃないな...





今回は、アイビの過去編を書かしてもらいました!誤字脱字を見つけ次第お知らせください。すぐに直します!


また、感想を書いていただけたらどんな評価であれ僕のモチベーションに繋がります!どしどし書いていってください!感想、楽しみにお待ちしております!




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