表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女嫌いの俺が居る  作者: 尻尾の形
3/11

第3話-蝶の羽ばたきのお知らせ

「で、なんで菖蒲アヤメが、俺について来てんだよ」


俺は不機嫌そうに菖蒲アヤメに小声で質問する。


「だって、帰り道がたまたまいっしょだったんだもん」


俺だって馬鹿じゃない。帰り道がたまたま一緒ってのは分かった。


「そこを聞いてるんじゃない!なんで店まで入ってきてんだよ!」


そう。俺はいつも、日課のように、帰り道に本屋に寄っている。


そこに菖蒲アヤメはついて来た。


とてつもなく邪魔だ。


「だって、一人で帰るのは、寂しいんだもん」


「お前、今までどうやって帰ってたんだ...」


俺は頭を抱えた。


「帰り道が同じ人に付いて行ってたよ?あと、お前って言わないで!ちゃんと名前で呼ぶって約束したでしょ!」


こいつは誰かについて行くのが当たり前だと思ってる。


多分だが、友達はいたことが無いだろう。


可愛そうだ...。


「はいはい。ごめんね。次からはちゃんと名前で呼ぶよ」


もう明日になったら話す機会は無いだろうから、適当に返事しておく。


「なら、よろしい!」


名前で呼ぶと言ったら満足した。ちょろい。ちょろすぎる。


「で、アイビくんは何の本を買いに来たの?」


「適当に新作のラノベを数冊買おうと思っ........今日は疲れたからもう帰る」


話している途中に俺は、菖蒲アヤメのペースに飲まれている事に気付き、すぐに方向転換する。


「え?買わないの?」


「ああ」


急に態度を変えた事に対して不安に思ったのか、少し寂しくなったのかは分からないが、少し菖蒲アヤメの話すテンポが速くなった。



「まあ、菖蒲アヤメも気をつけて帰れよ」



「え?送ってってくれないの?」


どこまでも図々しい奴だ。


「送って行くわけねえだろ」


俺は少し強めに言った。


それで諦めてくれるならいいけど。


「お願い。送って行って!」


菖蒲アヤメは上目遣いで俺に送って行けと要求する。


よく考えてみたら、ここで送って行かず、もし、菖蒲アヤメが事故にでも巻き込まれたら大変だ。


めんどくさいけど送っていくしかない。


可愛いから送っていく訳じゃない。断固としてそこは否定する。


何かが起きてからでは遅いのだ。


「めんどくせ〜。今回だけだぞ」


「ありがと!」


その笑顔を見て安心す...る事はない!


決して違う。その笑顔が見たい訳じゃない。


俺よ!

しっかりしろ!



本屋に入って5分もしない内に店を出る事なんて今までなかった。


俺のライフスタイルは保芦ホアシ 菖蒲アヤメと言う人物に、少しづつ変えられているのだ。


気づかないような小さな歯車が回る事で、この先の大きな事が変わってくる。


バタフライ効果と言うやつだ。


この時の俺はこの、保芦ホアシ 菖蒲アヤメという人物との出会いの重要さに気づいていなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう ランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ