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【詩集】手になじむ詩

季節をさまよっている

作者: につき

しらふのさまよい人の手にのるものは

ひときれのスケッチ


表には

あめかぜに晒されて 本音しか残らなかった

トタンの波板の剥げた壁をそのままに

描いている

たいせつな事実 強烈な陽差しの下の

コンクリートの路面のようでもある

泡となって消えない なんの鎧もまとわない

むきだしの日常のうつくしさ

いつか無に還ることを受け入れている

あきらめきった潔さでもある


裏には

対極の姿が描かれている

今の季節なら

紫陽花の吸いこむようなおもて

それでも花にはどこか土の匂いがするから

盛りの花には凛とした死を感じる

その儚さは確かに いのちのある頂点だから

衰えに向かう直滑降への緊張がある


さまよい人は そのスケッチの

表を眺め そして裏を眺め

また表を そして裏を……

そうして いつかまったくの新しい、

誰も知らない絵を描くことを夢見ている

お読み頂いてありがとうございます。

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