第七話 自衛軍発足と日レ戦争
3000アクセス超えました。へたくそな文章で申し訳ありません!! そしてありがとうございます。海軍士官です。相変わらずグダグダですが、どうぞ。
転移から約半年。自衛軍が発足した。旧米軍と自衛隊が統合され、日本の安全は日本自身が守るという意思を固めた瞬間である。しかし、その記念すべき日の翌日、国会は大いに荒れ、畑中はでっち上げのスキャンダルを利用して叩き、あまりに適当なことを言う左派系野党や一部の議員の無責任さに耐えかねて総選挙を実施することにした。
「私自身に文句を言う前にあなた方が現状についてどの程度理解できているか国民に判断してもらいましょう」
これが引き金になって大変な騒ぎとなった。総選挙という愚行をやらせるに至った野党への抗議が殺到しただけでなく、与党も首相を追い込んだことで抗議を受けていた。しかし、野党が要求を撤回しなかったため2カ月後に選挙を実施することになった。
ちなみに、最近、西暦に代わる新たな暦として異世界歴が制定された。1年のめぐり方は西暦のまま、日本が転移してきた時期を移転歴1年8月として12カ月で一年になるようにされた。これらはこれまで接触した各国で合意し、すべての国で採用されることになった。
移転歴2年3月10日。総選挙の日、衛星が日本の東に大陸が出現したことを示す情報を送ってきた。衛星写真によると1940年代くらいの科学力であることが分かるが国がいくつあるのかといった情報はわかっていない。それよりも問題なのはこれがどんな姿勢をしているのか不明なことだった。
総選挙の結果、野党は議席数を大幅に減らした。畑中内閣はそのまま続投となった。
後日、レガルシア帝国という件の大陸の国の一つが接触してきた。それだけなら良かったが、接触した相手が護衛艦だったこと、日本にそのままやってきた艦隊が戦艦を多数従えた大艦隊で、力の差を向こうが勝手に誤認したため、交易を求める日本に対し、服従を要求してきた。当然、従う理由がなく、即、拒否したが、問題は、その後だった。「我々の要求を拒否するとどうなるか思い知ることになるだろう」宣戦布告の場でそう言い残した彼らは、日本を後にするかと思われたが、艦隊を停泊させていた大湊や函館を大混乱に陥れた。艦隊は一度、日本を離れた後、艦隊を監視していた護衛艦を砲撃し、轟沈させると、艦載機を空母から発艦させ、再度寄ってきた戦艦部隊と併せて市街地への無差別空襲及び砲撃を行った。ここに至って事態が把握できた畑中は自衛軍に防衛出動命令を出した。
――移転歴3月18日 函館――
函館市中に空襲警報のサイレンが鳴っていた。
「ぎゃああ。撃ってきやがった。信じらんねぇ!」
「喚いてないで逃げろ!ひき肉にされんぞ!」
砲声が市街に響く。港内では出港したばかりのレガルシア戦艦3隻が砲撃している。艦名まではさすがに市民には発表されなかったので分かるわけがなかった。
「ふん。駆逐艦ごときに潰されるわけがあるか。ニホンとかいう国なぞ、あっという間に我が国にひれ伏すだろう。航空隊には港の艦隊に攻撃を仕掛けさせろ。ボロボロにしてやる」
「はっ。了解であります」
戦艦バグラムの艦橋で炎上する函館の街を見ながら優越感に浸っているのはレガルシア帝国海軍中将ゴルシコフであった。
バグラムの砲撃が敵駆逐艦に命中し、炎上する。これで、敵の軍港守備部隊に有力なものは無くなる。勝ったと思っていたゴルシコフ中将は突然の衝撃で床に叩きつけられた。
「な、何が起こった!」
「敵の航空機らしきものによる攻撃です! 奴らの航空機……信じられない速さです!?」
「何?!……いかん! 急いで港外へ脱出しろ! 嬲り殺しにされかねんぞ!」
「了解。旗艦出力一杯。両舷全速。港から離れろ!」
バグラムに攻撃を当てたのは三沢の支援戦闘機部隊だった。高射部隊や対空ミサイル部隊が返り討ちにしてくれたおかげで三沢基地は被害を受けることはなかったため、出撃してきたのだ。
「派手にやってくれたなあ。各機、この場に居る船はすべて沈めるつもりでいけ!」
「了解」
遅れた分を取り戻すかのように次々と対艦攻撃を開始する支援戦闘機部。その一方、衛星情報で確認された増援対策で海軍はミッドウェーを出撃させるとともに横須賀基地在泊部隊を出撃させ、現在、沿岸に居る艦隊への攻撃を開始した。
「くそっ。どこが駆逐艦のみの弱小国海軍だ。どう見ても戦力的に我々より上じゃないかっ」
敵の攻撃機による爆弾を受けながら、何とかしようと奮闘する戦艦ラゼラム副長エリオ=ロストフ中佐は悪態をつく。
艦隊旗艦であるバグラムはすでに被弾して炎上している。満載排水量8万トンクラスの戦艦だというのに飽和攻撃を受けて哀れな姿になっていた。すでに一緒に艦隊を組んでいた同型艦は沈没しており、ラゼラムとバグラム以外の戦艦の姿はどこにも見受けられなかった。
「バグラムさらに被弾! 傾斜大きくなっていきます」
「空母バルキリア轟沈!」
「なんて奴らだ……」
バグラムはもはや沈没しようとしていた。新鋭空母だったバルキリアもロケット弾のようなものの攻撃を受け、沈んでいく。どうやら、発艦に備えていたせいで甲板上には爆弾やら魚雷やらが並んでおり、衝撃で誘爆を引き起こしたようである。いつしか、空母2、戦艦6、巡洋艦6、駆逐艦多数をもって構成していた艦隊は数隻の駆逐艦とラゼラムのみになってしまった。
あまりにも早くほぼ全滅といえる状況になったが、その原因は、レガルシア軍機がレシプロ機しか運用していないのを奇襲を受けた大湊基地や函館基地の報告で知った空軍が、端っから速度差の問題で空戦になるはずがないと踏んで、対艦装備で出撃させ、強襲させたからだ。その結果、一部の機体が被弾するなどの損害はあったものの、艦隊は壊滅し、生き残りが逃走していった。その逃げ出す敵の生き残りを追尾する潜水艦がいた。はるしお級潜水艦はるしおである。
「いいんですかね。一隻でかいのが逃げていきましたが……。確実に撃沈できたはずですよ?」
逃走する敵部隊を見て心底残念な表情をする副長を艦長はなだめた。
「上が一隻は残せと命令してきたんだ。軍人である以上、命令に従うしかあるまい。それにわざと逃がすことで我々の実力を報告させることが出来る。うまくいけば連中が態度を改めて話し合いのテーブルについて、戦争は早く終わるかもしれんしな」
「だといいですがね。相手を知ろうともせずに服従を強要するような連中相手にそれが通用するとは考えにくいですけど」
「きっと上も駄目で元々のつもりで動いているんだろう。それに話し合いに応じず、また攻めてきても連中の兵器は第二次大戦時レベルでしかない。今度来ても今回のようにはいかないさ。心配することはない」
「それもそうですね。でも、まさか帰国すると見せかけて殴ってくるとは思いませんでした」
「ああ。だから、油断せずにきっちり追尾を続けよう」
「了解です」
その後、本土から帰還限界点まで追尾を続けた後、はるしおは帰投した。逃げることに頭が一杯だったせいか敵ははるしおにつけられていることに最後まで気づくことはなかった。後に、一方的な逆襲劇が人々に記憶されることとなるこの戦いは函館防衛戦と称された。
函館防衛戦が終息を迎えた頃、畑中は策源地を叩く目的での敵地上陸を法整備で可能にさせる必要があると考え、攻撃されたその日に即日法案を提出した。野党はこれを突っぱねるつもりだったが、国民がすでに黙っていないので賛成に回った。前回の選挙の時に、猛抗議を受けて大幅に議席数を減らしてしまったので身の危険を感じたからだ。結果、法案が可決されて即日施行となった。なりふり構っていられない日本は衛星情報をもとに敵海軍の撃破と敵本土への攻撃基地確保を目標とする作戦を実施することになった。
――移転歴2年3月29日 自衛軍揚陸艦艦内――
旧在日米軍の強襲揚陸艦ベロー・ウッドが作戦へ参加することになった。同艦にはこの作戦が終わるころには空母ミッドウェー(日本名:鳳翔)をはじめとする他の旧米艦艇同様日本名がつけられる予定である。前日には上陸船団に回り込もうとした敵機動部隊を発見し、機動部隊同士の決戦となったが、装備の質の差でレガルシア軍は全滅させたが、こちらも一部艦艇が体当たり攻撃で被害を受けるなどダメージは小さくない。
「で、転戦かよ。向こうでやらにゃならんことはまだあるのに」
「仕方ないだろ。中世ヨーロッパ兵相手とはいえ実戦経験があるんだし」
沢路たちも乗ることになった。沢路はこのころ、マグチッタ安定化作戦までの功績から少佐に昇進していた。さらに米軍にならった特殊部隊が設けられることになり、沢路はその指揮官となった。その特殊部隊の任務でマグチッタを出て、この対レガルシア戦に参加することになったのだ。
「しかしまあ、強引な作戦だなあ。敵中を突破して敵飛行場の確保をせよって」
「それには同意します。まあ、味方が派手な上陸戦を展開する中で空挺作戦をするわけですから負担は減ると思いますが」
沢路とともに作戦に関連する資料を見ていた綾倉とケリーが感想を述べる。
「だと、いいがな。さて、そろそろ準備に取り掛かろう」
移転前のハワイに似た島嶼地帯に今回は上陸する。おととい生起した海戦では味方が大勝し、敵兵救助を行った結果、捕虜の一部からこの島嶼地帯がセントリーア諸島と呼ばれていること、島の多くに軍事基地があり、一番大きなセントリーア島には戦艦をダース単位で停泊させることができる大規模な軍港があることが分かっている。沢路たちはその中でもセントリーア島にあるスワロフスキー飛行場を確保し、味方の軍港確保の支援を行うことになっていた。
夜明けとともに作戦が開始される。空母ミッドウェーや本艦などから飛び立った攻撃隊が軍港やレーダー基地などを強襲し、巡洋艦や護衛艦群がミサイルを使って追加の打撃を敵基地に与える。揚陸艦から歩兵や戦車が陸揚げされ、次々と敵を撃破して橋頭保を確保する。物量に任せた敵軍の圧迫は質の面で圧倒する日本軍の前に崩れ、後退していく。
正午を迎えるころには軍港施設や一部の航空基地が日本軍の猛攻の前に制圧された。その中には、スワロフスキー飛行場もあった。同基地では骨董品としか言えないB-17もどきやB-29もどきが駐機したまま、ミサイル攻撃や空襲で大破していたし、戦闘機なども原形を残している機を見るとアメリカの第二次大戦機を見ている気分だった。滑走路は舗装されているが、当然ながらジェット対応はしていない。沢路たちの部隊はこの施設の制圧に駆り出され、作戦開始後、本隊が到着する前にヘリで強襲した。任務としては後から来る本隊が来るまでに管制塔を制圧、本土から飛来してくる長距離輸送機を泊められるよう基地施設の復帰作業を行うのが目的であった。
「第2分隊、守備隊を制圧するぞ! 俺に続け!」
「第3分隊はケリー少尉とともにハンガーへ向かえ」
「第1分隊は管制塔に向かえ」
それぞれ、マシンガンなど分隊支援火器を駆使して制圧射撃を行う。飛行場に降りてからわずか30分のうちに主要部分の制圧が終わる。そこへちょうど本隊が入ってきた。74式戦車が敵の守備隊相手に攻撃する。そのうちに、飛行場制圧を完了した証として日本の軍旗が掲げられ、邪魔な残骸は本隊の戦車により砲撃処分するなどして破壊し、残骸としてどかしていった。
夕方になるころ、本島南部の軍港地帯を制圧した日本はレガルシアが攻めてくる気配がないのを見て、夜襲を仕掛けた。第二次大戦時のアメリカや日露戦争の時のロシアのように、夜襲を想定したことがないレガルシアは大いにうろたえ、翌朝には北部に追いやられて自決した。
昼ごろ、本島を制圧したことが本国に報告された。同じころ、本土から飛来した元米軍の大型輸送機が損耗分の補給物資や、施設再整備に必要な機材などを運んできた。沢路たちは休む間もなく別の島の制圧任務に駆り出されていたため、その様子を目にすることは無かったが。その彼らが次に向かったロストフ島は、拍子抜けするほどあっさり降伏してきた。
「おいおい。なんでまた、こんなに早く降伏してくるんだ?」
「さあ? こちらとの戦力差がはっきりしているからじゃね?」
「どうでしょう?なんとなくトロイの木馬作戦的なことをしそうな気もしますけど」
「んな、前時代的な。まあ、とにかく用心はするに越したことは無い。軽快配置は崩すな」
「了解です」
捕虜たちはともかく武装解除した後、押収した武器は本島を経由して日本へと運ばれることになった。数の足りないマグチッタ方面部隊への補給用として使う予定だからだ。そのため、沢路たちは特に大きな戦闘に参加することもなく、敵兵の武装解除作業に追われていた。
結局、1ヶ月くらいしたころには支援艦隊が到着して日本がセントリーア諸島全域を掌握し、後退したレガルシアは沿岸に残存艦隊を残すのみとなった。そして、彼らはある国の参戦によって、さらに抑え込まれることになる。
今回はかなり悩みました。そろそろ人物面のストーリーを組み込もうと思ったのですが、上手くいかず、今までどおりのグダグダな展開で書かせていただきました。というわけで、次回もよろしくお願いします。それでは。
P.S. 指摘を受け、中盤の日レ戦開戦の部分を書きなおしました。あんまりうまく書けていませんがどうぞ。