表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界日本奮闘記  作者: 暁海洋介
5/16

第四話 救援と日マ事件その後。

 何を思ったか、詳細プロットを作っていないのに設定と年表、大筋の流れだけでさらに一本作っちゃいました。海軍士官です。……何やってるんだろう。とまあ、なぜか筆が乗ったのでそのまま夜通し書いてしまった次話をどうぞ。

 ポルトマーレ近郊の平地に野戦基地を造成していた自衛隊であったが、空輸に備えて新鋭輸送ヘリCH-47を派遣していた。護衛に就くヘリも海自の哨戒ヘリであり、野戦基地を出発して編隊を組んだ部隊は、沢路たちのいる王都近辺の前線キャンプへ向かう途中だった。


「な、何だ……!? アレ……!?」

 彼らの眼前に現れたのは数頭の龍であった。笑えない話だが、向かってくる龍の速度は少なくともヘリの倍はあると考えられる速さであり、背中に人が乗っているということはこちらの戦闘機に当たるものと想像され、おそらくこちらの基地を目指したものであると予想できるものだった。

 発見したと思ったら火球が飛んできた。幸い、ヘリには当たらなかったが、至近を通過されてしまった機はその高温のために片方のドアが溶融して開かなくなってしまった。すぐ反撃が下命され、数機の哨戒ヘリが前に躍り出るとサイドワインダーミサイルをぶっ放す。命中するが、どうも威力が足りない。さらに接近を試みたが、今度は火球をもろに食らって撃墜されてしまった。ポルトマーレ沿岸部に停泊する護衛艦に支援を要請して射程範囲ぎりぎりまで誘い出してシ―スパロー艦対空ミサイルで攻撃してもらった。その結果、支援攻撃で龍を蹴散らすまでの間に派遣されてきた哨戒ヘリ4機、輸送ヘリ1機が撃墜。部隊もポルトマーレに帰還し、双方に戦死者を出す結果となった。

 その後、沢路たちとともに王国正規軍近衛師団が到着。結局手持ちのヘリを使った空輸を諦め、未舗装だが整地の済んだ滑走路を強引に利用する形で本国にC―130の派遣を要請し、それを王都への移動に使うことになり、しばらく待つことに。また、王をはじめとする王政府と合流したため、先に外交交渉を済ませることになった。

「マグチッタ王国現国王を務めるアンソニー=リンドバーグです。貴国使節に対する、この度の非礼をお許しください」

 深々と頭を下げるアンソニーに外交官として派遣団長務める古田弘毅は慌ててアンソニーに顔を上げさせた。

「顔をお上げください。国王陛下。今回のことはお互いに相手を知らなすぎただけです。我々が開国をした時も似たようなことがありました。済んだことを悔やんでも仕方ありません。とにかくまずは互いを国家として認めるところから始め、国交を樹立し、交易を進めていきながら相互理解を進めていく以外にありません。これからの貴国の努力に期待します」

 アンソニーが顔を上げると、単刀直入に本題へと入る古田。いつもの日本の官僚どもが使うようなやり方でないのはどちらも切羽詰まっており、時間がなかったからである。それにうなずいたアンソニーは元日本人であり、今や彼の右腕といえる働きをしている安川みずきを伴ってポルトマーレの市内の建物を借りて交渉が始まった。王国最大の港町であるこの街は、現在、みずきが生活の基盤にしているだけでなくその手中に収めている都市でもあるためこの手の交渉用にみずきは自らの邸宅の一部を貸していた。

 ポルトマーレ港を拡張したうえで開放し、日本との交易の窓口とするための工事だけでなく王都とここを結ぶ鉄道の敷設を日本は国交樹立に向けた交渉の中で王政府から依頼されることになった。この街の長であるみずきもそれは同意の上だったし、また彼女は自ら作成し、アリスを通じて渡したレポート(政経用語として後に安川レポートと呼ばれることになる)にある鉱山のうち、ポルトマーレに近い鉱山の開発を日本に委ねることも伝えた。この行動で分かる通り、この時点で彼女は、もう日本人ではなくマグチッタ人として行動をしており、レポートのおかげで彼女を可能ならば日本へ連れ帰るよう命令されていた古田はその意思を尊重してほしい旨を本国に伝えた。

 外交交渉が進められている間に、ポルトマーレ郊外の野戦基地には要請通り、C―130が派遣されてきたが、その護衛を目的として旧ソ連製戦闘機であるはずのMig-21が来ていた。なぜこれがいるかといえば、この異常事態に直面する前の年まで続いていたソ連との戦争中に日本はこの手の鹵獲品をいくつも手に入れ、さらに戦後賠償で受け取っており、運用を行っていたからである。ちなみにこの部隊は北海道の千歳基地に所属する第601飛行隊所属機であった。同隊はこの野戦基地を拠点としてしばらく活動することとなり、王政府や近衛師団の王都への輸送を護衛した後も、対怪鳥戦などに投入されることになる。

また基地の方も在マグチッタ空自基地として整備が続けられ隣接する陸自の駐屯地や港の海自への補給物資輸送に使われ、後に軍民共用となるころには日本とマグチッタを結ぶ初の定期便航路が出来ることになる。

 話は戻る。外交交渉は一週間という異例の速さでまとまり、国交正常化に向けた覚書がなされた。もちろん交渉が行われている間にも襲撃は行われたがC―130やMig-21の投入以後、急速に防備が強化され、スクランブル発進したミグに龍は蹴散らされ、攻めてきた地上軍は近衛師団や陸自の火力の前に潰され、街自体は無傷だった。ポルトマーレにおける交渉が粗方終わった後、一行はミグの護衛の下C―130で王都へ向かうこととなる。移動の途中で龍騎兵がやはり攻撃してきたがミグの前にあっさり落とされるのを見て、マグチッタの近衛師団は戦友がアホ貴族のせいで無謀な戦いに挑まされている現状を嘆いた。

 交渉の舞台が王都に移るとそれはさらに急速に進んでいき、仮ではあったが謀反により地位、財産を剥奪された反体制派貴族の屋敷だった場所を引き取る形で大使館が設置され、古田はその初代大使となり、マグチッタ側からはすでに一度日本へ行ったことのあるアリスが赴くことになった。この人事は王であるアンソニー自身は考えていなかったがアリスが望んだこともあり、ちょっと気の早い、王族教育の一環としての留学のつもりで送りだすことになった。ちなみに、一緒に行ったレイチェルは日本初の本格的な錬金術のアトリエを大使館の近くにつくり、東京の新名所にしてしまった。このアトリエのおかげで後に、錬金術を応用して日本はごみを工業資源として使う方法をはじめとして主に医療及び工業方面でいくつもの新技術や新素材を手に入れることになり、飛躍的な科学力発展が始まることになる。逆に優れた日本の力を知ったマグチッタは日本の科学技術を惜しみなく取り入れていき、両国は科学と魔法と錬金術の混在する国家として大いにその関係を深めていくこととなった。これらの一連の流れは後の歴史書において日マ接触事件と呼ばれている。


――日本移転後、数週間後のある日――

 暦の上ではとっくに秋になっているが、残暑厳しい中、日マ交渉は慌ただしく続いている。王国正規軍と自衛隊は共同作戦を執り、治安維持の名目で反体制派貴族を排除し続けている。与野党の突き上げも激しいが、向こうの要請であること、何より早ければ2か月後から交易が本格的に始まることを考えると渡航する日本人のためにもなるため、表立って余計なことをする政治家はいない。そもそも、すでにみずき自身が市長を務めるポルトマーレでは日本商船来航に備えて港の拡張を進めているし、試験航海の名目でやってきた海運各社の貨物船には輸出試験のために彼女の街が管理する鉱山や油田で採れた資源が積まれて日本へ戻ってきたし、彼女がそういう方面の知識をかつて所属していた大学や趣味の勉強で得たおかげで日本式の税関設備の準備は日本の関係省庁から人を招いて指導してもらっている。余談だが、交渉団やみずき自身が体験し、日マ両国が互いにビックリしていたことの一つに、互いの文字は読めないが、発している言葉が通じているということが挙げられる。何の作用かは不明だが、これがお互いの交渉を短期間で進めることができている理由だと言える。最近では、かつて、みずきが勉強の都合上、錬金術書を読むために手製の日マ辞書を作っていたのだが、これを彼女はわざわざ複製して両者のために提供していた。さすがに錬金術方面の言葉が多かったが、言語学者による解読作業に時間がかかる以上、当座の簡易辞書としてこれは多くの方面で重宝された。

 そんな中のある日、沖縄沖では米軍を中心とする部隊による上陸作戦が決行された。それは、この1週間ほど前にさかのぼる。


――沖縄沖 海自哨戒機――

「こんなところに島なんてあったか?」

「機長。少なくともこんな場所はあのマグチッタが現れて以来この海域をずっと飛行しているが無かったです」

「とにかく司令部へ打電だ。急げ」

「はい」

 沖縄沖を哨戒中だった自衛隊の哨戒機が偶然、沖縄南東2,400kmの海域に島嶼地帯を発見したことがきっかけだった。畑中政権はこの時、マグチッタから賠償金不足の補てんを理由に旧反体制派統治領だった島をひとつまるまる編入することとなり、在日外国人を刺激していた。これが野党の格好の攻撃材料となったわけだが、畑中は強引にここを外国人のための自治領とする法案を提出し、可決させた。これに国民も一時期は反発していたが、マグチッタから割譲された島には日本が当面、自活出来るだけの資源が眠っていること、前領主が残した鉱山施設は貧弱だがすでにある程度ならいつでも採掘できるため、何もないこの島々への興味は急速に失われていった。現時点で無資源とはいえ、祖国を失った在日外国人はこれに賛成し、それを推し進めようとしている畑中への妨害が野党を中心に行われたが、これが在日外国陣による抗議を受ける結果となり、野党の動きは尻すぼみとなっていった。

 そういう経緯の下、米第七艦隊は日本政府による調査チーム派遣の支援を受けながら予備調査のため、上陸を敢行。巨大な鳥という大型危険生物の存在を確認しつつも資源の存在を確認したことで入植を本格的に実行することを決定。東京で在日大使を代表とする形の入植に備えた協議が行われた。

 中国や韓国などとアメリカは揉めたが結果としてまとまり、第七艦隊の護衛の下、入植は行われることになった。

「上陸した連中が設営している間、上空偵察を怠るな! 化け鳥なんぞ出てこられたらたまらんからな」

「アイ・サー」

 二週間近くかかったが、入植者は無事に上陸を終えて拠点を確保することに成功した。護衛にあたった第七艦隊はしばらくは日本を拠点として活動するが、こちらの港湾設備が充実してくれば移ってくるのも時間の問題となる。余談だが、この時、第七艦隊は2隻の空母を擁しており、そのうちの一隻は政治的理由から日本へ譲渡されることとなっていた。その艦名はミッドウェー。名前が名前だけにあんまり日本人の感情を刺激するのもどうかと言われたが、結局、交渉のカードとして在日米海軍第七艦隊は現状では兵力過剰で維持できる状態に無く、入植決定の時点で余剰分を日本へ譲渡することが決まった。このため日本は異常事態への即応性や異世界転移という異常事態に直面する前に新憲法が施行されたことで防衛庁が省へ昇格し、合わせて公式に軍隊を持つこととなり、自衛隊は在日米軍の一部を統合して自衛軍へと再編されることになった。

 こうして、この新諸島は自治領諸島と呼ばれ、後に日本にとって因縁浅からぬ地となるがそれは後の話。移転して約1カ月。日本は徐々にではあるが国家滅亡の危機を脱しつつあった。しかし、それからしばらくした移転後3カ月目に突入するころ、新たな事態に直面することとなろうとはこの時点で気付く者は誰一人として居なかった。

 はい。今から震洋に乗って特攻してきます。ごめんなさい。やっぱそんなことできません。というわけで今後もたぶんこんな感じでグダグダ進むことになると思います。(おいっ)

 一応、細かい設定や人物を追っかけるストーリーも入れていきたいので大筋の流れに沿った形でしばらくはこういう風に書いていきますが詳細プロットが出来次第、徐々に人物を掘り下げた話も入れていこうと思います。

 あと、遅ればせながら500PVアクセスありがとうございます!まだまだ駄文でしかないですが、少しでも面白くできるよう頑張っていくつもりですので、今後ともよろしくお願いします。

 長くなりましたが、また次話でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ