第二話 マグチッタへの道
駄目だぁ~。相変わらず細かい設定とか組みきれなくてうまく書けなくて困ってる海軍士官です。とりあえず、王都へ向かうぜ編、どうぞ。
マグチッタは日本の西にある三つの大きな島といくつかの小さな島からなる王政国家であった。もっとも、中世ヨーロッパレベルの国家観、日露戦争ごろの産業状態であるため、日本を最初から東方の野蛮国家と見なしている貴族が多かった。しかし、国で最も有力な錬金術師の出身地が出現したとあって、そうでないと見る者もいた。特に、現王の娘、アリス=リンドバーグは幼馴染で、錬金術師のレイチェルの祖母の国が出現したこと、レイチェルの祖母の転移当時に持っていたものから、錬金術や魔法とは違った文明を持つ国家があることを知って、異常事態を利用してボンクラ貴族が起こした、王位をねらった内乱にあえぐ国を救おうと日本へ向かおうとしたのである。反対されるかと思われたが、父である現王とレイチェルの祖母が彼女のための船を建造したり、日本についての情報、自国の情報をまとめた日本語の書類の作成などを手伝ってくれたりと全面的に協力してくれたおかげでたどり着くことができた。
ただ、追っ手により船は損傷しており、船の方は佐世保で修理、船の故障によってたどり着く前にアリスたちはだいぶ衰弱していたため佐世保の自衛隊病院に入院することになった。祖母は内乱を鎮圧するために王宮に詰めており、日本へ帰国することはできないでいた。
「……ご協力感謝します。ハタナカ殿。このような形でお国に迷惑をかけてしまい申し訳ありません」
アリスは病院を退院した後、日本の政治的トップである畑中首相と面会し、謝罪する。同じころ、佐世保のドックではレイチェルが、自分と母と祖母で造った船の修理状況を見て、日本の造船技術に目を白黒させていた。
「いえいえ。これほど詳細な貴国の情報を頂けたうえ、新たな交易国となるかもしれない未来の仲間が危険に晒されているのならば助けるのが筋というものですよ」
畑中が下手に出て返事を返す。相手は王族である以上失礼のないように接さなければならないから当然の言動であった。
「修理が終わった後、あなた方の祖国へ向かうことになりますがよろしいですね?」
「助かります」
しっかりした態度のアリスに好感を覚える畑中だが、一つ疑問があった。
「そういえば、どうやって我が国の存在を知ったのですか?」
「それは……王国の戦列艦からの情報で知りました。遠目ながら空高き所をすごい速さで飛ぶ大きな鳥を確認したと」
「ああ。なるほど」
畑中は納得した。おそらく大きな鳥とは自衛隊の偵察機のことだろう。こちら側の発見が遅れたのは資料にあった戦列艦の存在を見逃していたからなのだろうと思った。
後日、マグチッタ王国南部ポルトマーレ
「で、なんで俺はここに居るんだ?」
「知るか。上の命令に疑問を持っても仕方ないだろうが」
上陸を終えた沢路涼一は親友で同僚の綾倉恭介に悪態をつく。彼らは海自のみうら型輸送艦に乗って上陸して来た陸自の普通科連隊に所属している。
「恭介よ。今回は高機動車等を用いての電撃戦になるが、対空脅威に備えたものが必要か?」
「一応、ドラゴンとかバカでかい鳥が出た時のためにじゃないか?なにせここは、魔法とか錬金術とかが当たり前のファンタジーな世界なんだし」
「なるほど。まあ、施設科の連中が野戦飛行場を造成するらしいから補給はやりやすくなるだろうし、敵に目立って強そうな武装持ってるのはいないし、死なない程度に頑張ろう」
「だな。特に早めに飛行場を作ってほしいね。この国で一番大きいって割に港湾施設は貧弱だからね。おかげで俺たちは港じゃなくてこんな砂浜に上陸しているわけだし」
沢路たちが海を見ると、護衛艦が数隻、沖で監視している。乗ってきた揚陸艦は離岸作業をしているところらしく後進をかけていた。
その後、沢路たちは小隊を率いて王都へ向かった。部隊は偵察なども兼ねてポルトマーレを出た後、川に沿った街道を進んでいた。
「しかし、のどかなもんだな。川以外じゃただの平原で何もないし」
「そうだな。このままいけば、車で行けば、すぐ着きそうなくらいだ」
右手に広がる平原と逆に、左手に大きな川を見ながら進むこの街道は川を挟んだ反対側が森林地帯である以外はほんとに何もない場所だった。だが、しばらく進んでいると、お気楽なムードも消えた。突然、砲声がしたかと思うと目の前にクレーターが出来たからだ。
「おい。どっから飛んできた?」沢路は部下に聞く。
「森の方からです。レーダーに反応あり。どうします? 反撃しますか?」
「あのなあ、去年までの戦闘でお前は何を学んだ? 火器使用は自衛のためなら許可されると出発前に訓示されただろうが。とにかく、目先の脅威は排除しろ。俺たちは自殺しに来たんじゃねえんだから」
「了解です」
部下は沢路の指示を受けて反撃を行う。後方を進む自走砲の砲撃が森林地帯に着弾し、盛大に土煙が上がる。その様子を見ながら、まあ、命令しなきゃ動かないのが軍隊なんだし仕方ないのは当然だが、融通が利かないのもどうかと沢路は思った。
砲撃がやむと、沢路は出発前にもしてもらった航空偵察とこの際だから進路上の敵を排除できるならついでにやってもらうように要請した。要請してからしばらく停滞していたが、上空を通過していったAH-1の航空支援でそのまま一気に王都近辺まで進出した。
「嘘みてえにあっさり来ちまったな。あとで航空科には感謝しないとな」
「だね。もっとも、あの大砲以外にも爆弾投げつけてきたり、魔法で火の玉とか氷の球とか撃ってきたり、マスケット銃で撃ってきたりする連中がいて危なかったけど」
「隠れて攻撃とかな。俺たちが救援しなければならんという正規軍の連中はどう動くのか知らんけど、そろそろ騎兵とか出て来てもおかしくは無いな」
沢路たちはぞっとするような敵の攻撃に肝を冷やしたので思わず愚痴をこぼした。もっとも、騎兵が出てきても機関銃などの攻撃で日露戦の二〇三高地みたいな惨劇になることは誰が考えても予想できるだけにこれ以上の犠牲を出したくない沢路たちは敵がさっさと降伏してくれることを願うしかなかった。
まだまだ細かいところが詰め切れていないので、グダグダになると思います。ただ、大筋はできているし、少しずつ固まってきてますのであとは個々のキャラクターのイベントを作っていくだけなのですが、なかなかうまくいってません。
もうしばらくはこんな感じでの書き方が続くと思いますがご了承ください。それでは、また次話でお会いしましょう。
p,s 12/9/16マグチッタ王国について少し書き足させていただきました。