第五話 再軍備宣言
お久しぶりです。海軍士官です。次話以降のデータが跳んで、だいぶ難産となりましたがこのシリーズを完結させるために目下、再構成中です。だいぶ時間はかかるのでまた日が空いちゃうと思います。そんなわけで不定期に連載しながらという形になりますが完結までゆっくり走っていこうと思うのでよろしくお願いします。
p.s.次話投稿の際に確認ミスで別シリーズの次話を繋いでしまいました。大変失礼しました。本シリーズの次話は目下、製作中です。コミケ明けぐらいまでには出来上がると思いますのでしばらくお待ちください。
――移転歴22年8月20日――
「ここに再軍備開始を宣言する!」レガルシア共和国大統領ミハエル・ラヴェンスキーはマスコミの前でそう高らかに叫んだ。その式典会場には来賓としてアルカナの高官も来ていた。対日同盟を結んだからである。これによってレガルシアはバーター取引でアルカナに食糧を輸出する代わりに兵器を手に入れることとなり、周辺国はもちろん日本やミッドランドは警戒を強めていくことになる。
――日本 首相官邸――
浜中から変わって首相の座に就いた門田直毅は焦っていた。強力な軍事力を持つとされるアルカナがレガルシアとくっついてしまったことに。同国海軍は諜報員の調べによれば元の世界の米軍のエンタープライズクラスに匹敵する原子力空母が5隻いるうえ、こちらの空母と違い、艦載戦闘機はハリアーのような垂直離着陸機ではなくすべて固定翼機である。1隻あたりの艦載機数と搭載されている機体の最高速度では明らかにこちらの方が劣る。20年先のアビオニクスを持つおかげで高い運動性と搭載兵装の性能ぐらいしかこちらが勝る要素がない。しかも、同レベルの能力を持つ通常動力空母がレガルシアに売却されるとあっては日本も黙ってはいられない。下手をすると函館危機の再来がありえるからだ。
さらに空軍力においては日本の主力戦闘機を務めているF-15に匹敵する機体や、B-52クラスの戦略爆撃機が、陸軍も有力な戦車が多数配備されている。極めつけに届かないとはいえ、弾道ミサイルまで存在するのだ。当然ながら核兵器の存在が認められるためその戦力が明らかになるにつれ、国内はパニックに陥ることになった。
「畑中のオヤジから政権を引き継いだはいいがちょっと宿題が多すぎるぞ」
ぼやいたからと言って、日本が何か変わるわけではない。とりあえず現在開発中の次期艦載機の開発速度を上げるように命じたり、空母を除くセントリーア諸島の海軍戦力を増強したりと防衛大臣に対策案を出させ、遂行するように指示していった。
――アストリア連邦 首都ア―リエ――
日本と同様、アストリアも警戒レベルをかなり上げていた。何しろアルカナとは海峡で面しており、海岸線に沿って上陸作戦を仕掛けてくる可能性が非常に高かったし、南西部にはかつて日本が存在した世界におけるスエズ運河クラスの大運河が国土を縦断する形で存在している。
現在は中立を謳っているが、対日侵攻ルート確保のためにアルカナが中立を無視して攻めてこないとも限らない。転移後、ニホンとの取引で防衛力を強化しているため質ではアルカナを圧倒できているが、その結果、装備の価格が高騰し、経済規模の割には軍事力は少ない。弾道ミサイルによるスタンドオフ攻撃や電撃戦を仕掛けられると防ぎきれないとさえ、一部の高官が囁くほどである。
「とにかく、警戒レベルをあげて注意しろ。あのろくでなしとつるむような連中だ。ニホンとも連携を密にしろ」
アストリアの軍務大臣が部下たちに指示を飛ばす。これからのアストリアが気を付けないといけないのはグダグダしているうちに電撃戦で敗北してしまうことだからだ。アストリアの首都は海からそれほど離れていない平野部にあり、さらに沿岸部から首都まで進撃を遮るような地形が存在しないので電撃戦をやられると首都失陥によって軍が組織的に機能しなくなる可能性が極めて高い。加えて、重要な工業地帯の半数以上が首都か首都に近い都市に集中しているため、補給も難しくなる。ゆえに、軍は万が一の軍中央の指揮系統喪失に備えた対策を行っていくことになる。
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いかがでしょうか。次なる大戦にむけて徐々に政情が不安定になっていきますね。これから日本がどうなるのか。今回はここまでとしておきます。それでは、また次話でお会いしましょう。