表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

5分前後でサクッと読めるやつ あれこれ

ハズレスキル【お味噌汁】しか持たない俺が寝言のせいで浮気を疑われている

『第6回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』応募作です。


タイトルのキーワードは「寝言」ですが、本文内にはすべてのキーワードを盛り込んでいます。

カレンダー/ルームメイト/卒業/紙飛行機/ベランダ/散歩/プール/トレーニング

観覧車/お弁当/寝言


※三年前のなろラジ応募作「ハズレスキル【お味噌汁】しか持たない俺がデスゲームに巻き込まれた」(https://ncode.syosetu.com/n5190hj/)、

及び昨年のなろラジ応募作の続編「ハズレスキル【お味噌汁】しか持たない俺が雪山で女の子と遭難した」(https://ncode.syosetu.com/n9342in/)の主人公のその後です。

前作を読まなくても、おそらく話が分かるようにしています。

 この世界では皆能力(スキル)を持って産まれる。

 1人1つ。殆どが、ある一点に限り筋力や知能が格段にパワーアップする特化型能力だ。


 え? 炎や氷の魔法能力はないのかって?

 そんなものはない。漫画の読みすぎだよ。そもそも()から(ゆう)を生み出すなど、物理法則を無視している。

 ……まあ、実は俺自身がその極々稀な、無から有を生み出す能力持ちだが。




 ところで今俺は修羅場にいる。

 今までデスゲームに巻き込まれ、冬山で遭難もした俺だが、これは人生最大の危機だ。

 だって修羅が目の前に居るもん。


「で? 私ってあなたの何?」


 表情筋のトレーニングかと思う程にニッコリ口角を上げているのに、めちゃくちゃ迫力があるのは同棲中の彼女。大学卒業後に俺と結婚する予定だ。

 その彼女の事を俺は「違うよ! あの()はただのルームメイト!」と大声で言ったらしい。寝言で。


 あまりにもハッキリした寝言だったのと、彼女がコンビニへお弁当を買いがてらの早朝散歩から帰宅したタイミングが災いした。彼女は俺が誰かとスマホで通話していたと誤解した訳だ。

 俺は修羅の圧に耐えきれず壁の日めくりカレンダーをちぎり、その端を綺麗に合わせて折る。


「勿論、婚約者だ。大好きな」

「じゃあどうしてあんな事を?」

「だからそれは夢だって!」


 できれば本当の事は彼女に言いたくない。俺の能力が【嘘】なら良かったのに。彼女の誤解を解きたい気持ちと昔のトラウマが観覧車のようにグルグルと俺の中で回る。無意識で折った紙はいつの間にか紙飛行機になった。ここから飛んで逃げたい。


「ふうん、夢って願望が表れるとか言うよね」

「な、違うよ! 悪夢だったんだ!」

「悪夢?」


 彼女の眉間と声音が弛む。俺は観念して昔の恥を晒す事にした。


「俺の能力【味噌汁】だろ? 高校の時にそれがバレて、その、イジりっていうか」

「イジメ?」

「多分、アイツらはそのつもりじゃなかった。でも俺は」

「嫌だったのね」

「うん。俺と仲が良い奴もイジられて……夢の中で君も巻き込まれそうだったから、つい」

「そう。あなた……」


 彼女の声に俺はもっと項垂れる。こんな情けない男、幻滅されただろうか。


「馬鹿ね。そういう人だから私は好きになったのに」

「え」


 見ると彼女はベランダでビニールプールを広げ始めている。


「あなたはお椀!」

「あ、うん」


 慌てて準備する。俺の能力は口から味噌汁が出るのだ。




「私、あなたのお味噌汁()大好き」


 ふたりで足湯をしているとお椀を両手に持った彼女が言った。

なぜベランダでビニールプールを広げて足湯をしているのかは、前作の「ハズレスキル【お味噌汁】しか持たない俺が雪山で女の子と遭難した」を見て貰えればわかると思います。


今回は流石に文字数が苦しかったです。冒頭のお約束の文言を少々変え、文末の「めでたしめでたし」も入れられませんでした。

まあでも、ほのぼのものにはなったかな、と。


お読み頂き、ありがとうございました!

↓のランキングタグスペース(広告の更に下)に「5分前後でサクッと読めるやつシリーズ」のリンクバナーを置いています。もしよろしければそちらもよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
拝読させていただきました。 テーマ全部盛りも凄いのですが、何よりも「口から味噌汁」w え?口から?そして「それが好き?」意外過ぎてもう一回読み直しました。 愛なのかフェチなのかは神のみぞ知る…。…
2024/12/18 08:46 退会済み
管理
キーワード全部盛り、すごい!\(^o^)/ ちょっと深い話も盛り込んで、そしてこれで1000文字!? 面白かったです!
リア充め( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ