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怪奇十三話  作者: 杉勝啓
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第七話 七百年の呪い

今は昔


男がいました。


男はかって帝の地位にありましたが、父に疎まれ、否応なく帝の地位を追われました。男は上皇となり、父は出家して法皇となりました。

東宮が帝になりましたが、その帝は早逝してしまいました。男は自分の皇子が東宮となることを期待しましたが、次の帝には男の弟宮がなりました。自分の血統は完全に皇統からはずれてしまったとを嘆きましたが、どうすることもできませんでした。そうこうするうちに父の法皇が危篤になりました。男はとるものもとりあえず、見舞いに向かいましたがあってももらえませんでした。

「臨終にさいしても、あってももらえない。父はどうして、こんなにも私を疎まれるのか」


父の法皇が亡くなり、世は新しい帝の御代となりました。鬱々と世を楽しまぬ男でしたが、そんな男にすりよってきたのは、現在の権力者に敵対する貴族と武士でした。なかば、彼らに担ぎ上げられるような形で男は乱をおこしました。結果、男は敗れ、男にくみしたものたちも殺されました。

男はかって、帝の地位にあったということもあり、命は助かり流罪となりました。


流罪となった男は島にやってきました。

その島の自然に触れ、もう、人の世の妄執に取らわれず、この島で穏やかに暮らすのもよいと思いました。

流人とのことで、やることもない男は世の安寧を願い、写経をはじめました。そして、その写した経だけでも都へと送りましたが、返されてきました。その経には呪いが込められているというのです。


男は失望しました。現帝は私の同腹の兄弟。私が帝位にあるときはあれほどに目をかけてやったというのに。男は朝廷がその気ならそれでよい。私は魔王となり、呪ってやろう。


男の呪いか、どうかはわかりませんが、朝廷の力は失われ、ようやく、朝廷が王政復古を果たしたのは七百年も後の世のことでした。


おわり

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