表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/15

165センチ

フールの復興は、まだしばらくかかるだろう。


今年の10月の大舞踏会は、戦勝記念パーティーになるらしい。かなり盛大にやるみたいだな。クロエの縫製部門が、むちゃくちゃ忙しそうだ。

閉ざしていた国境は解放されたので、イリアから宝石が入ってくるようになり、これまた忙しい。


・・・・そう、、、、今回の功績で、王太子が王位を継ぐことになったから。

まだ決まった婚約者がいない、、、まあ、、いままでさして注目されていなかった王太子、、、フィリップが、悪評をはねのけて、偉業を達成したので、ブリア国内は沸き立っている。


その彼に、小さい頃から一服盛り続けた継母、第2王子の母は、、、、王の引退とともに修道院行が決まった。今は監視下の元、離宮に移されたらしい。戴冠式をかねた大舞踏会までは今の地位。彼女の側近も早々に処分された。人質に連れてきたフール国の王女をかなりぞんざいに扱っていたらしい。


第2王子は、継承権を放棄し、臣下に下った。


もともと兄弟仲は良かったらしく、フールの復興のために、フール国の幼い国王の補佐役として、出発していった。


*****


「・・・それで、、、、何用でございますか?王太子殿下?」


王城に呼び出された俺は、今回ばかりは見当がつかない。


「うん、、他でもないんだけどね。フール国王の私財や、反体制派の貴族の財産、もちろん、あの武器を扱っていた商人の全財産、、、全て没収して、換金させた。結構な金額だった。

ブラウ商会には正規の金額を支払うから、請求書を上げてきてくれ。大変だったな。」

「・・・・ありがとうございます。」

「もちろん、、、、、こちらで回収した金属に関しては、そちらの仕入れに当たるから、引いてくれるんでしょ?」

「・・・・・ちぇ、、、、」

「それから、、、別枠で、いままでの私とソフィーの食費分、合わせて、ソフィーの教育関連費も上げてきて。今後は、月々払うからね。」

「・・・・ありがとうございます。」


「それで、ここからが本題なんだけど、、、、今回の君の功績を評価して、報奨金と爵位を授ける。領地付きだ。」

「・・・・・」

「10月の大舞踏会に来るように。招待状が届くから。そこで。」

「・・・・・」

「・・・めんどくさい、、、、とか、思ってるでしょ?」

「・・・・・あんまり高位だと、、、正直めんどくさい、、、、」

「ええ?そう?、、、、じゃあ、手始めに男爵位?でどう?また上げればいいし。」

「・・・・・」

「へええ、、、、でも、君のことだから、断るのかと思っていたよ、、、ふふん、、、何か考えてる?」

「・・・・・」




*****


フィルさんと一緒に帰って行くソフィーちゃんを玄関で見送る。


フィルさんの家は食事係が変わったらしく、家でもご飯が食べられるようになったみたいだけど、夕食はだいたいうちに来る。今日はまた、ソフィーちゃんがクッキーを焼いたから、フィルさんが喜んでいた。


星が出ている。


10月になると、夜風も肌寒いので、長袖のワンピースに、カーディガンを羽織った。

「見て見て!レオ、星がきれいよ?」

「ん、、、、、ああ、、、、」


二人で真っ暗な夜空に瞬く星を見上げた。

流れ星が、、、、私はあわてて、手を組んで祈る。


「何をお願いしたの?」

「うふふっ、、、、このままレオと幸せに暮らせますように。と、レオが長生きしてくれますように。だよ?あと、、、、、」

「お願いしすぎじゃない?」

「ええええ?そうかなあ、、」


あと、、、、16歳の誕生日には、ちゃんとしたキスが贈られますように、、、、




*****


その日は、ドレスや宝飾品の納品もひと段落して、ほっと一息。


今日は、フィルさんもソフィーちゃんも都合があってこれないらしいし。

レオも朝から出かけてしまった。


パオラさんに商館のレオの私室に呼ばれる。


「さあ、クロエ様もお着替えいたしましょう?」

「?」

「まずは、お風呂の準備が出来ていますから、、、、」


よくわからないまま、パオラさんとミラさんに磨き上げられる。

髪も、めったに使わないいいオイルが塗りこめられる。


髪を乾かしてもらっている間、ミラさんが爪の手入れまでしてくれる。

「?」

「当主が、今日のために、こっそり用意したドレスです!」

パオラさんが控室から運んだドレスは、、、、真っ白な上品なシルクで出来た、素敵なデザイン、、、、、え?

「絹は、リーさんがどこからか持ってきました。とても良い生地です。」

リーさん、帰ってたんだ、、、、、

「宝飾品は、イリアに注文していたものが届きました。」

「・・・・・」

「チョーカーリボンは、、、、ふふっ、、、、琥珀色ですね。ドレスの裾の刺繍と同じ色です。」

パオラさんがとてもうれしそうに着付けていく。

「・・・・・あんなに幼かったクロエ様が、、、、もうすっかり、レディですね、、、」

さすが、パオラさん!サイズがピッタリです!


これは、、、、誕生日プレゼント??レオから??やだ、嬉しい!


化粧を施され、髪も、大人っぽくアップにされた。

散りばめられた髪飾りは、、、ダイア??え?このイヤリングもダイア??


ヒールのある靴を履かせてもらって、姿見まで進む。

「ああ、、、、クロエ様、、、本当にお綺麗です!」

パオラさんが涙ぐんでいる、、、、


鏡に映ったのは、、、、16歳になった私、、、、


背は伸びた。胸も少しは大きくなった。今は、寄せて上げているので、大きく見えるみたい、、、、

考えていることが読まれたのか、、、、パオラさんが言う。

「クロエ様、、、比較するのがミラの胸なのでピンと来ないかもしれませんが、、、、その、、、、クロエ様の胸は、大きいほうですよ?」

「え????」

「そうですよ?クロエ様。あんなに子供子供していたのにねえ、、、、、張り合わなくてよかったわ、、、」

ミラがつぶやく。


少し、照れて顔が赤らむ。


「さあさ、馬車を待たせておりますから、、、出発ですよ。」


どこに?

レオが、レストランでも取ってくれたのかしら?うふふっ


商館にいたみんなも、玄関まで見送りに出てくれた。

綺麗だよ、、、、さすが当主、こうも化けるとは、、、とか、、、あんなにお子ちゃまだったのに、、、とか、、みんな言いたい放題だ。思わずにやにやしちゃうわ。


少し浮かれてしまったかも、、、、さすがに、出がけにパオラさんがロンググローブをつけてくれた辺りで、、、、違和感が、、、、


私たち平民が行くレストランで、、、、どんなに高級でも、ロンググローブは、、、そう言われれば、、、、今日来ているのはイブニングドレスだ、、、、、え?


「当主がご一緒できないので、私が会場までエスコートいたしますね。」


そう言ったカールさんも、、正装、、、


何が、どうなっているのかしら?


御者台に座るノア君まで、、、しかも、、、今日の馬車は、余所行き用、、、


誕生日のサプライズ??




*****


到着したのは王城だった。王城??


カールさんは、いつもと変わらず、表情が読めない。

ここまで来て、、、、私は最悪の想像をした。

まさか、レオ、、、?


馬車が渋滞している。そう、今日の大舞踏会はかなり盛大らしいから。戦勝宣言と、王位の継承を兼ねて。ここに、私が入れるわけはないのに、、、、

ノア君が差し出した招待状を見て、うちの馬車は、違う通路を案内され、あっけなく着いた。カールさんに連れられて、ホールに向かう。そして、、、


【ハウル侯爵家 クロエ嬢】

読み上げられた名前に、、、愕然とする、、、、



「ああ、クロエ!綺麗になって!デビューおめでとう!」

「本当に、お姉さま、綺麗!」

「お嬢様、お綺麗になられて、、、、、、無理言って帰ってきてよかったわ。」

久し振りに会った家族、、それはそれで、むろん嬉しい、、、、デビュー??

「まあ、お父様、先生、ご結婚おめでとうございます。」


頭が真っ白になる。

私は、、、ついに、レオに捨てられたのかしら?

実家に、、、戻された?


父親にエスコートを代わって、カールさんは下がった。

かなり大勢の人が集まっている。

ちらほら、白いドレスの娘がいる。今日、デビューなんだろう、、、、




国王の話が始まり、場内は静まり返る。


今回のフール国での戦勝宣言。及び、この機に王位を第一王子であるフィリップ王太子に譲る、、、戴冠式も引き続き行われた。


王冠を頂いた新国王フィリップ様は、今回の戦況を報告し、功績のあったものに、褒賞を授けた。

将軍を始めとし、沢山の人たちが、壇上に呼ばれる。


何人目かに、、、、レオが呼ばれた。レオ?なんでレオ?


爵位と領地、褒賞金、、、

「この者は、私の信用する友人である。爵位は本人の希望で男爵位だが、侯爵位以上の価値があるものとする。みな、無礼の無い様に。」


余計なこと言いやがって、みたいな顔をしている。ふふっ、、、、


今日のレオは、素敵だ。いつも、くたびれたおじさんみたいに家のソファーで寝転がっている人と同一人物には見えない。

黒の上着には金の刺繍が入って、タイはブルー。お気に入りの青いサファイヤの小鳥のラペルピンを付けている。髪はかきあげている。


壇上から降りてきたレオを見て、ご令嬢達が頬を染めてざわついている。そうでしょ?いい男よね?うふふっ、、、、


でも、いつの間に王太子殿下とお友達になったのかしら?


分からないことも多いけど、自分のことのように嬉しい。



その後も褒賞は続き、、、ようやく舞踏会の開催時間になった。

前国王陛下は早々に皇后陛下と一緒に退出され、、、新国王には決まった方がいらっしゃらないので、大公家がダンスをする。そして、、、ダンスの輪が広がった。


「お父様も、先生と踊っていらして?」

もじもじしていた父が、先生をダンスに誘う。先生は笑いながら手を取った。



「クロエじゃないか」


駆け寄って、話しかけてきたのは、、、誰でしたっけ?

「僕だよ、、、婚約者の顔を忘れたのかい?きれいになったね。父が勝手に婚約を白紙にしたんだけど、僕はずっとクロエのことを想っていた。忘れたことはないよ。」


・・・・?手紙一つ頂いたことはありませんが?


しかも私は、あなたのことを思い出したこともございませんが?名前も思い出せませんの。顔を赤くしてなれなれしく話しかけるのはおやめください。


私の手を取ろうと、手を伸ばした令息を遮るように、ミカエルが隣に立つ。


「なれなれしくするのはおやめいただけませんか?どこのご令息かは存じ上げませんが。」

・・・・か、、、かっこいいわ、ミカエル!


だが、、、知らないご令息たちに囲まれてしまった、、、、

「初めまして、クロエ様、どうか私と一曲、、、」

名乗りを上げてきたのも、それなりの地位の方々で、、、


ご令嬢方が人垣を作って、どなたかを囲んで、こちらに向かって進んでくる。キャーキャー騒がしい。何かしら? 綺麗な令嬢がたくさんだ。 


人垣を割って、まっすぐ私のもとに進んでくるのは、、、、レオ?

ドキドキした。外野のざわめきも聞こえなくなってしまった。だって、、、、


「ハウル侯爵家クロエ嬢?私と一曲踊っていただけますか?」

「・・・・まあ、、、、ええ、、何曲でも!」



私たちはふわりと踊る。お互いの姿を瞳に映して。


2曲続けて踊って、バルコニーに出る。


レオが跪いて、私の手を取る。え?

「私と、、、結婚していただけますか?」

ホントに、、、、どっきりだわ、、、、

びっくりして見開いた目から、涙がポロポロこぼれる。

「・・・・もちろんです。」


抱き寄せられて、婚約指輪の上に、金色の結婚指輪をはめてくれる。

私も、、、、差し出されたレオの分を取り、レオの婚約指輪の上にそっとはめる。


バルコニーの端っこで、私は初めて、レオにちゃんとしたキスを貰った。
















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ