サージの葛藤
少し暗めの話しになってしまいました。
次からは、明るくなるといいな〜。
「どういうことですか、父上!」
俺は、自分の父であるエルフの長に詰め寄る。
冗談じゃない。
おかしいとは思ったんだ。
帰省したとたん、ダンジョンにある希少な薬草を取ってこいなんて。
もしかしてユアと居た間に、病人が出たのかもしれない、と思い父上にユアを預けて申し訳ないがエル殿にも同行を願った。
ユアに会って、嬉しくてつい油断してしまった。
エル殿もあまりエルフの里に入りたくないようだったので誘った。
それに、同行してくれると時間の短縮も期待できる。
それがまさか、馬鹿兄と馬鹿従姉を世話役にする為に、わざわざ用事を作っていただけとは。
我が父ながら、頭の老化が進みすぎだろう。
長として、タイムリミットが近いのかな?
いかん、ユアがキレる。
あの恐ろしい家族もキレる。
ユアは、確かに激弱ではあるが、弱い女性ではない。
ついでに、高慢ちきな奴が嫌いだ。
、、、合わない。
とういうか、絶対に嫌がらせを受けているだろう。
エル殿が動かないってことは、ユアにも精神的にもおいこまれてはいないと思うが、エルフの印象最悪になったな。
俺の部隊の奴らも、父上達には良い感情を持たなくなるかもしれない。
あの家族程ではないが、ユアを可愛がっているからな。
保護者の立場の奴らが多すぎだろ。
目先のことしか見えてないな、馬鹿父上よ。
、、、家族、馬鹿ばっかりかよ。
「しかし、ユアもあの領内のそれも領主の娘。あれぐらいの者達は、自分で対処出来るであろう。」
「父上、もはや長としての判断まで出来なくなりましたか?ユアを害するは、キャーキュ領を敵にまわしますよ。第一、父上が自分で排除したらよいだけです。」
「大袈裟なことを。キャーキュ領がただが小娘一人にそこまですまい。考えすぎよ、我がエルフを敵にまわす方が不利なことぐらい子供でも分かるわ。それに、我が動く必要をかんじないが。長の言葉の従っておれば良い。」
おかしい。
父上も、ユアを溺愛していた一人だ。
また、こんな愚策をする父上でも、いや長ではない。
なにか、俺が里を出てからなにかあったのか?
ここは、使徒としてのエル殿に相談するべきか?
フッと、本当になにも考えずに、長を見た。
エルフには確かに魔力があるが、意識しなければ魔力の痕跡にはほとんどの人が気付かない。
おかしい。
長の周りにモヤが見える。
なんだ、あれは?
あまりよい感じがしない。
よい感じどころか、悪意しか感じないが。
「エル殿、申し訳ありませんがお力をご拝借したい。」
「誰に言うておる。」
≪いいよ〜。ユアと仲良しさんだもんね〜。≫
誰も居なかった空間に、エル殿が現れた。
瞬きをするほんの一瞬で、その姿を表す。
すでに再び、可愛い子犬の姿になっていた。
「この獣は、なんだ!神聖なエルフの里に、魔獣を召喚するのか。恥をしれ。」
「、、、父上、神聖なる使徒を獣とお呼びになるか。流石に、呆れてしまうな。申し訳ありません。」
≪大丈夫なの〜、でも、そのエルフの心の殆が闇色に染まってるの〜。う〜ん、これは猶予がないけど、どうするの〜?≫
「、、、長を助けて頂きたい。命を落としたとしても、一度は正気に戻したい。、、、長をこのようにした者を捕えたい。そして二度と同じ過ちをしないように、対処したい。」
≪イイよ〜。命は落とさないけど、でもね〜、支配下にあった時の記憶はないからね〜。だから、情報はもらえないの〜。まっ、いいよね〜。≫
いい終わるとすぐに、エルの体から凄まじい魔力を感じると同時に父上の体のモヤがきえた。
父上の体から力がなくなり、倒れ込む。
「父上!」
≪弱いの〜、弱すぎ〜。アハハ〜、変なの〜。≫
「エル殿、父上は大丈夫なんでしょうか?」
≪ん〜?大丈夫だよ〜。2、3日すれば目が覚めるよ〜。≫
「そうか。」
≪安心するのは早いの〜。このエルフにかけられたのは、多分禁呪なの〜。解呪したから、禁呪使ったヒトに反転したの〜。≫
「、、、犯人の、禁呪を使った者はわかりますか?」
≪わかるかな〜。でも、面倒くさいからメッしたら、終わりなの〜。後は知らないの〜。でも、この禁呪使うには魔力が足りてないから、サージにも分かるくらい黒色のモヤが出てたの〜。失敗してたの〜、良かったね〜。≫
「、、、それは」
話そうとすると、エルの雰囲気が変わった。
ある一点を見つめ唸り声をあげる。
「どうしましたか?」
≪我が愛子に手をあげるか!≫
そう吠えると、エルの姿は消えた。
ユアに何かあった。
すぐに部隊、いや一人でも助けにいかなくては。
エル殿が、わざわざ俺にだけ分かるように痕跡を残してくれている。
期待に答えようではないか。
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『姫として転生しましたが、待遇がよくありません。平民としてやっていこうと思います』
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