エルフの里への道
長くなりましたので、次がエルフの里になります。
よろしくお願いします。
忘れてた。
そうだ、エルフは自然の要塞に暮らしている。
絶壁の山々を乗り越えて、始めてエルフの里に入れる。
そう、本当に絶壁なの。
私は、山の険しさを見ていた。
そう、見ていた。
見えるほど、山は遠かった。
今は少しだけ、休息中。
サージ達が、少しでも行きやすい道を探してくれている。
エルフ達には必要でないことなので、逆に行きやすい道とか分からないらしい。
普通に何も考えずに通ってるんだろうなぁ〜。
獣人達にも、必要ではなかった。
、、、たぶん、領内の人達も。
あの場所から近いと思ったのは、エルフの足なら近かったからだ。
私の足では、ダメダメだった。
城壁のような山までも遠かった。
でも、流石に恥ずかしくて行くのをやめたとは言えない。
でも、でも、限界が近い。
すでに足が重いのよ。
、、、倒れたら、運んでくれるのかしら?
駄目だ、心が負け始めてる。
子供ではないから、完全にお荷物としては邪魔すぎる。
今は、行こうと、判断した数分前の自分を、殴りたい。
≪、、、大丈夫なの〜?≫
「限界への挑戦よ。、、、ねぇ、子犬さん。私は、ユアキュリア·トーマスって言うの。でも、みんなユアっ呼んでるから、そう読んでくれると嬉しい。愛し子って、変よ呼び方として。」
≪そうなんだ〜。じゃ〜、ユアって呼ぶの〜。≫
「子犬さんの名前は?教えてくれたら嬉しいけど。」
≪フフフ、あのね〜、僕のことはエルって読んで〜。真名は、まだみたいなの〜。≫
「真名?」
≪そうなの〜、使徒にはね〜、真名があるの〜。でもね〜、真名にも力があるの〜、使徒はね〜、認めた者以外に知られるの、イヤなの〜。だから、報復する使徒もいるの〜。気をつけてね〜。僕の真名は、知っても大丈夫だけど〜、僕以外の使徒の真名知ったら、必ず僕に話してね〜。約束なの〜。≫
「別に知りたくないし、、、分かったわ。言うわ。」
≪約束ね〜。破ると、相手の使徒に僕がペンペンするからね〜。≫
「相手にするの?」
≪そうなの〜。ペンペンなの〜。≫
よく、分からん。
ん?休息、終わりそうね。
無事エルフの里に着ける気がしないんだけど。
「ユア、行けるか?」
「いや、無理だけど何とか頑張る?やれば、できると思う?」
「、、、オンブしようか?」
「流石に無理でしょう?子供の時と違うもん。できるだけ頑張る。」
「しかし、」
≪僕が、運ぶ〜?≫
はて?子犬が私を運ぶ?
、、、無理でしょう?
「大きさに無理があるわ。無理よ。」
≪ん〜?大丈夫だよ〜。ちょっとだけ、力を開放するからね〜。≫
「は?」
言葉が終わらないうちに、子犬改めエルの周りに力が満ちる?
エルフ達は、防御の構えになって、何やら何かと格闘してる?
あれ?
サージまでも、格闘中?
と、周りのエルフ達を見てると、何やら大きな物体が私の体にすり寄ってくる。
「なに?、、、だれ?」
そこには、私の肩ぐらいは高さのある狼がいた。
銀色で、毛がフサフサで、ちょっと目付きが悪いけど、カッコいい。
不思議と恐怖を全く感じない。
≪褒められると嬉しいな。有難う、ユアよ。≫
「どちら様でしょう?」
はて?こんな大きな狼知り合いにいませんが?
まてよ、狼ってまさか子犬?
≪我が分からぬとは、つれないぞ。≫
「もしかして、エル?まさかね〜、ないよね。」
≪我以外にこの美しい毛はないであろう。愛らしさも変わらぬ。≫
「いや、毛艶とモフモフ感は、一段いや、三段は上がってる。あと、可愛さは全く失くなったから。」
≪失礼な娘よの。≫
「って、本当にエル?何で大きさ変わったの?」
≪ユアを乗せてエルフの里にゆこうと思ってな。大きさを通常に戻した。≫
成る程、可愛いエルも、カッコいいエルも捨てがたい。
しかし、運んでくれるのはカッコいいエルだ。
カッコいいエルに軍配が上げる。
「ようこそ、エル様。いつでも、運んでくださいな。」
≪怖がると思い幼子の姿にしたが、いらぬ世話てあったな。≫
「どうかな?よくわからないけど、最初からその姿でも怖くはなかったと思うけどね。、、、なんで言葉遣いが変わったの?」
≪あ〜、やはり体に引っ張られる。考え方、力は変わらんがな。我はあの姿が気に入ってはいるな。≫
「そうね。子犬ちゃんの姿の方が万人受けはすると思うわ。」
≪本当に失礼な娘だな。、、、なれるほどな、考えたこともなかったわ。≫
エルフ達は、ようやく力を抜いた。
顔色は悪いままだけど。
「流石に圧がすごいですね。体の緊張を解くのが困難です。申し訳ないですが、里の近くでは最初の姿に戻って頂いても?」
≪無論じゃ。我も別に、無駄な緊張をさせたい訳では無いのでな。里の近くでは、また子の姿になろう。≫
そんなに変わったんだ。
やっぱり分かんないや。
でも、乗れそうだから問題無いわ。
問題だわ。
、、、大きいと乗るのも大変なのね。
サージの手を借り、エルにもできるだけ屈んでもらって何とか乗れた。
乗れたけど、高すぎて怖いんですが。
エルの体にビタっと全身でくっついて、毛も握らせてもらう。
文句は聞くもんか!
≪遠慮のない娘よの〜。≫
「私は怖いの。無理なのに、頑張ってるの〜。」
≪意味の分からんことを話しているぞ。ま〜、良い。エルフ達の速度に合わせるから、休憩無しで進むが良い。≫
エルの言葉に、エルフ達は頷き進みだした。
私は、確信した。
気絶して運ばれていた子供時代が、良かったと。
数多い小説の中から選んで頂いてありがとうございます。
良ければ いいね を押して頂けると嬉しいです。
作者のモチベーションが上がります。
『姫として転生しましたが、待遇がよくありません。平民としてやっていこうと思います』
も投稿しています。
よかったらそちらもヨロシクお願いたします。