落ちし神③
何とか魔族領篇も終わりそうです。
クライマックスにむけて頑張ります。
そこは、暗い暗い闇の中。
あれ?私、失敗したのかな?
何も無い、本当にこれが一寸先は闇ってやつね。
ん?誰かが泣いてる?
どこかしら。
なんて考えていたら、目の前に髪の長い女性がいた。
長い長い黒髪。
きっと先程まで戦っていた落ちし神だ。
でも、黒髪ではあるけど綺麗な黒髪だ。
髪からも、どこからも闇の気配はなかった。
「どうしたの?っていうか、あなた落ちし神よね?」
私の言葉に顔を上げる。
髪色と同じ黒い瞳の美人さんがそこにはいた。
泣いていたというか号泣していたからか、目は腫れあがっていますけどそれでも美人さんは美人さんだわ。
<なぜ、妾を助けた?あのままなら、妾は黒竜に負けていたであろう。いくら人の生命を犠牲にしようと力の差は歴然。>
「ん?そうなの?黒さん、少しだけ焦っていたと思うけどな。」
落ちし神であった女性は、嬉しそうに笑った。
あら?笑うと可愛い。
<フフフ、アレは強い。妾はでは相手にはなるまい。ただあの場に居合わせた住民達を心配したのじゃろう。時間がかかれば、危なかったからな。フフフ、自分の兄神に頼まれたからには、無傷で帰したかったのだあろう。、、、変わってはおらぬな。>
どこか懐かしそうに、また嬉しそうに話す。
あれ?あの馬鹿神に横恋慕してるって話だったのに。
黒さん、何か隠しているな。
「ねぇ、黒さんとはどういう関係だったのかしら?」
私の質問に可笑しそうに、悲しそうに笑う。
<黒さん?に聞くがよい。>
「話してくれないの?」
<見よ。妾の身体が消え始めた。時間がないようじゃ。そなたは、現世に帰るがよい。>
そこには、おかしくなっていた落ちし神はいなかった。
何かを諦め、自分の罪の償いを決意した顔の女神がいた。
確かに今までしたことは許されないだろう。
元神とは言え、あの世界の住人の命で遊んでいたのだから。
罪は、神の場合魂に刻まれる。
正直、許されることはないであろう。
私は自分の考え方に疑問すら持たず、違和感すらいだかなくなっていた。
「行くの?」
<仕方あるまい。この様な形で助けられたのじゃ。フフフ、我が命の灯火であの世界を修復してみせよう。妾が慈しんだ愛しい世界じゃ。失くした命は戻らぬ。申し訳ないことだ。>
正直、神達は自分達以外には冷酷だ。
神の奇跡は、神の気まぐれ。
本質は、落ちし神と変わらないのかもしれない。
<黒に、伝えておくれ。妾の心に闇が入ったのは、妾のせいじゃ。最後まで信じることが出来なかった、妾のせいじゃ。、、、幸せになって、神子をその手にいだいてほしい。>
その言葉を最後に、落ちし神は消失した。
いや、消失ではなく、あの世界の修復に全てをかけ、あの世界の一部になるのかもしれない。
でも、あの女神の意識も、落ちし神の意識も無くなった。
それは、親しき神達にとっては消失と変わらないのかもしれない。
「必ず伝えるわ。約束するからね。、、、バイバイ。」
私の頬を一滴の涙が流れた。
「まて〜い!私を現世に帰してよ、ここはどこなのよ〜。」
それからは、暫くは暗闇の中で喚き散らした。
変化はない。
基本、これはヤバいでしょう。
こんなとこに居たくないし。
「あ〜、そうだわ。エルを呼ぼう。確か前に呼べば何処でも迎えに行ける、っていう話してなかったかな?」
ともかく、この暗闇に一人は嫌だ。
精神が可笑しくなるわ。
独り言も、全て口にする。
少しでも気が紛れるように。
「ドキドキするわね。失敗したら、今度は最高神を呼ぶわ。それでも無理なら、、、考えるのはやめよう。」
私は大きく深呼吸をする。
何だろう、今まで感じたことのない力を感じる。
私は、その力に全く抵抗することなく飲まれることを望んだ。
だって、このままでは遅かれ早かれ、私の精神も破壊されそうな孤独がここにはある。
私の半神を呼ぼう。
誕生してからずっと一緒にいてくれる半神。
今、持てる力の限り、精一杯呼ぼう。
≪エル〜!エル〜!私は、ここよ〜!≫
、、、反応ないんですけど、あの馬鹿使徒、寝てるんじゃないよね。
仕方ない。
もう一度、頑張って見よう。
ううん、何回でも呼ぼう!
だって、私の半身はあのフェンリルだけなんだから。
≪エル〜!助けて〜!≫
その瞬間、この暗闇を割くような光が出現した。
あ〜、来たな。
私は自然に微笑み、エルを待った。
≪お待たせ〜。ビックリだよ〜、いつの間にこんなとこに移動したの〜?≫
目を開けると、いつも通りのエルがいた。
安心したからか、そのまま私は気絶したみたい。
落ちし神の置き土産なのか分からないけど、私の封印の鍵は解かれた。
もう一人のわたしが、神子の私が目覚めた瞬間だった。
≪お帰り、愛しい半神さん。≫
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