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魔族領に向けて②

今回は、ちょっと暗めになりましたが、よろしくお願いします。

少しこだかくなっている大きな岩が、目印になっている少し拓けた場所が今夜の寝床だ。

準備も何も、そのまま地面で寝るし、唯一、焚き火の準備はしなくてはならなかったけど。

あれ?今までって、テント張ってなかったっけ?


「ねぇねぇ、テントは張らないの?」


私の言葉に、3人が驚いた顔した後、なんか納得って感じになった。


「ユア、テントは、張るのにも片付けるのにも時間がかかるから少人数の時は、張らないわ。う〜ん、高貴な女性がいたら絶対に張るのかな?」

「人間は、そうかもしれませんね。、、、ケアも、一応獣人の姫なんだが、全く必要ない配慮だよな。なっ、ユキもそう思うだろ?」


サージ、兄に聞くかそこ。

兄の顔が引きつっていますけど。

ケアの顔を怖いし。


「いや、サージ。ケアにも必要なことだぞ。一応、こんなのでも女性だからな。」

「こんなのって、なに!」


あら、兄とケアの喧嘩になったわよ。

チラッとサージを見ると、面白そうに笑っていた。

全くこの2人は、幼い頃から兄妹のように育っているから、こういうイタズラをお互いに仕掛ける。

今回は、ケアがのってしまったわけか。

そのうち、落ち着いてラブラブになるんでしょうけどね。

ク〜っ、独り身は辛いわ。

エルも黒さんと一緒にいる。

本当に黒さん好きだよね。

おかしいわね、父神や、母神にはヒドイ態度しか見たことないけど、黒さんには優しい。

勿論、エルが甘えているんだけど、あえて甘えてる感じもするのよね〜。

黒さんと違って、エルも腹黒っポイもんね。


「ユア、魔法で身体を洗いましょうか?」


サージが、素晴らしい提案をしてくれる。

そうよ、お風呂は無理でもさっぱりはしたいわ。


「持つべきは幼馴染ね。お願いしま〜す。」

「幼馴染から脱却したいんだけど。」

「なんか言った?」

「別に、お姫様の言いつけ通りに動きましょう。」

「アハハ、なにそれ。ゴホン。では、私の騎士様、よろしくお願いしますわ。」

「「ア〜ハハハ!お互いに似合わないわね。」」


私はサージに、ケアは兄に身体を洗浄、クリーンをかけてもらった。

兄達は、既にイチャイチャしてますよ。

今回は、寝る必要のない使徒が無駄に二神もいるから、寝ずの番を頼むことにした。

エルにだけ任せるの微妙だけど、黒さんがいるから安心安心。

エルだけだと、寝なくていいのに一緒に寝たがるからなぁ。

朝起きたら、皆寝てましたってオチになりそう。

結界はってるから、大丈夫だと思うけどね。


≪ゆっくり~、休むの〜。黒と一緒にいるから、安心なの〜。眠たくならないと思うの〜。頑張るの〜。≫

≪ユア殿、他の方々も安心して寝てほしい。≫


同じような事を話しているようで、しっかり度が完全にノックアウトなエル。

可愛いから許そう。




そう、これは夢の世界。

私の昔の夢。

きらびやかな神界の中でも、一際大きく、無駄に美しい神殿が、私とエルの住処。

父神のとこから独立するつもりもないし、父神も独立させないらしい。

私達はまだ生をえてから、100年しか経っていない。

この世界では、新生児みたいな感じかな?

神界を支える神の神子として誕生した。

神々の中でも、唯一神として絶対的な存在の父神。

新しい力ある神の誕生と思われたが、私もエルも神にならず使徒の道を選んだ。

力ある使徒。

その瞬間から父神ではなく、私達の仕える神になった。

でも、他の目がない時は今まで通りだった。

私達が、新しい神にならなかったことを不満に思っている神がいることは分かっていたけど、それでも穏やかな時を過ごしていた。


ある日、母神が新しい神子を宿した。


『母。新しい家族増える?』

『そうね。仲良くしてくれる?』

『するよ?』


なぜ、そんな質問をしてきたのか分からなかった。

周りの神々が、父神以外の神との神子をお腹に宿したと騒ぎ出したのだ。

母神も力ある上位の神。

表立って言わない分、産まれた神子に不満が向けられた。


『最高神にお前は疏まれている。この神界にお前の場所はない。』

『汚らわしい、近寄るでない。』


色々と謂われていた。

私達はその事に気づくのが遅れてしまった。

私たちの前では、全く不満を出さなかったから。

偶然、私達が歩いている時にその場面にでくわし、私達で文句をいう神に天罰を与えてやった。


『文句があるなら、母に言え!その子には、罪はない。そなた達の言い分が正しいなら、父と、母に言うがよい。汚らわしいのは、そなた達の薄汚れた心よ。』


感情のままに神力を使ってしまった。

すぐに、父神、母神がやってきたが、その時には私は神力を暴走させていた。

私の力を抑えてくれたのは、双子の兄だった。

それからは、ずっと弟と一緒にいる。

一神にはしない。

弟の父神が誰であろうと、私達の弟なのだから守ろう。

私達の神力の限り。



遠い昔の夢を見た。

私は再び、眠るのだろう。

私の愛しい半神、弟神。

心の弱い私を許してね。

私はユアであり、使徒でもある。

私は、愛しい旦那様と離れたくない。

この世界が愛おしい。

どうか許して、父神、母神よ。

もうすぐ、帰るから許して。



朝、目が覚めると夢を見たことも忘れていた。

でも、やはり私の身体の奥底に眠るモノを感じた。

数多い小説の中から選んで頂いてありがとうございます。

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