第8話 じゃれあい
“ルビーベアー”とはUtopiaに存在する魔物で額の真ん中に赤色の魔石がありそこから魔法攻撃行い、そして鋭い牙と爪で物理攻撃をも行う。魔・物両方に優れた魔物で討伐推定レベルはLv30~Lv40に指定されている。
つまりLv1の雑魚じゃあ絶対に倒せない魔物で、逃げないとヤバい魔物だが‥‥‥この様子だと逃がしてはくれなさそうだな。
ルビーベアーの口からポタ‥‥ポタ‥‥と涎が垂れており、完全に俺の事を食う気でいるご様子だった。
俺とルビーベアーは一定の距離を保ち、時計回りにゆっくりと対峙する。
一歩‥‥一歩‥‥一歩‥‥っと互いにゆっくり歩いている。
ゆっくりと腰に仕舞っていた短剣を握った刹那‥‥開始ゴングは鳴り互いに走り出し、ぶつかった。
――ヴオォォッ!!
――この野郎ッ!!
奴の爪の攻撃をギリギリの所で避けて斬りかかるが、キンッ――と簡単に弾かれてしまう。
‥‥硬ってなぁッ!!あぁ、もう最悪だ。
そうだったな、こいつの毛皮信じられないぐらい硬かったな‥‥忘れたわ。
そして再び一定の距離が空き、俺はどうやって奴を倒すのかを真剣に考える。
俺の剣じゃあ奴に傷を付けられないし、今は魔法も使えないし‥‥俺には武器がない。などと考え事をしていると‥‥さっきよりも早い速度で突進してきたが、間一髪ギリギリのところで何とかかわした。
ヤバいッ!!ッング‥‥あっぶね~ギリギリじゃあねーかよ。
何とかルビーベアーの突進の攻撃を避けたが“ビリビリ‥‥ビリビリ‥‥”と音がなっていて、その音の方を見ると‥‥‥ルビーベアーの魔石からビリビリと雷が出ていた。
そして――ヴオォォッ!!という叫び声と共に俺の足元が光が灯り――ゴロゴロッ!!と雷が落ちた。
あんにゃろ~良くもやってくれたわ。奴の魔石から出ているビリビリを見た瞬間に湖に飛び込だから、ギリギリの所で雷を回避することができた。
そうえばこんなコンボだったな‥‥突進からの雷撃はルビーベアーの1つの攻撃コンボだ。
ルビーベアーとはずっと仲良く家族のように過ごしていたから‥‥色々と忘れた。
でも・・今のでお前の攻撃パターンは全部思い出したぜ。
――何処が弱点だったのかももな?
ルビーベアーは魔法攻撃、物理攻撃のどちらも優れた攻撃を持ち、そしてなんといってもその強靭毛皮で魔法攻撃、物理攻撃どちらもいなしてしまうのに、Lv30~Lv40という低レベルでも狩れるその最大の理由は額にある魔石が弱点であるから。
魔石に魔法か剣で魔石を破壊しまえば簡単にルビーベアーを殺すことが出来る。
俺は湖から上がり再びルビーベアーと対峙すると、再び奴が飛び込んできたので、その飛び込みに合わせて後ろに飛び威力をいなし魔石をそのままえぐってやろうかと思い剣を掲げた瞬間、ルビーベアーが俺から距離を取って離れて行った。
飛び込みにはバックステップでいなす。逆に飛び込んでこず、魔法攻撃をその場で撃とうとするならこっちから飛び込み、魔石をえぐる。これで奴の攻撃は全部いなせるはずだ。
ゆっくりと‥‥ゆっくりと‥‥一歩ずつ奴の細かい動きを見落とさないようにしっかりと見る。
するとルビーベアーの後ろ足が僅かに踏み込んだことを“俺は見逃さかった”そして急いで後ろに飛ぶが、予想以上にルビーベアーの動きが速かったのと、この体‥‥黒野の反射神経が悪く70%ぐらいの威力の突進を喰らい木にぶつかった。
――グハァ‥‥クソッ、こいつ反射神経悪すぎるだろ、しっかり運動しとけよッと思い自分のHPを見ると‥‥半分ぐらいもってかれた。
HPは半分も持っていかれたけどなぁ!!これで終わりなんだよッ!!――と短剣を振り上げて魔石に突き刺した。
‥‥でななく。刃ではなく柄で魔石を強打した。
するとヴオォォッ!!と声を上げふらついている。そんな所にもう一発強打を御見舞いすると‥‥ぶるぶる震えながら仰向けで倒れた。
‥‥どうやら失神したみたいだな。‥‥俺は‥‥俺は‥‥死んでも魔物は殺さねぇ~んだよ。
それにこんなのは殺し合いじゃあなく、家族同士のじゃれあいだ。ったく・・世話のかかる奴だ。
ふらふらな足取りでカバンを持ち、その中にある弁当をルビーベアーの隣に置き、その場を離れた。