人生はサイコロを振るよりも楽じゃない
『人生はギャンブルだ!』
パチ狂いの親父は、いつも幼い私にこんなことを言っていた。
その当時は、そんなのあんただけでしょ馬鹿!なーんて思ってたけど……
「人生は、ギャンブルだ……」
今日この日、この時。
――――私の人生は賭けになった。
またダルい授業を終え、やっと至った放課後。気になっている男子から告白された。
私の中にある選択肢は、
1.OK
2.振る
の2つだけ。
そりゃちょっと気になってる男子といい感じになって喜ばないJKはいない。
恐らく大概の人間が1を選ぶ。
しかし、今は受験期。
恋愛に現を抜かしている時期ではない。よって2を選ぶ人間だって、非難される謂れは無い。
"ちょっと"気になってるだけの男子の為に、人生を棒に振るのはそれはそれで嫌なのだ。
だから私は保留の言葉を吐こうとして、俯いていた顔をあげた。
「ごめん、あのさ…… ってえ!?」
顔を上げて、彼の目を見て、ちょっと恥ずかしくって天を見て気付く。驚く。
空に輝く文字列が浮かんでいるのが見える。それは非現実的で、目の錯覚みたいで。
でも私にとっては、確実にリアルだった。
単勝:告白成功×1.56
告白失敗×2.48
複勝:成功-2ヶ月でキス-結婚×12.87
成功-1ヶ月で破局-音信不通×13.45
…………
誰かから、私の選択肢へのギャンブル。複勝欄は、とても長くって…… 6つなんかじゃ収まらない。
「えっ、へっ、えー……?」
お父さん、馬鹿な娘を許してください。
「人生はギャンブルだー……」
呆ける私を、彼が気味悪げに見つめる。
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