1 山椒魚
アマゴの甘太郎は、綺麗な川の上流の上流で、兄弟達と一緒に生まれました。
他にも早く生まれた、アマゴ達もいて、身体の小さな甘太郎達は、十分に餌が食べれません。
「お腹空いたよー」
「じゃあ、もう少し上に行ってみよう。」
上流では、餌を食べるどころか、待ってたとばかりに、どう猛なイワナが飛び出して来て、一人の兄弟が食べられてしまいました
慌てて甘太郎達は、淵の底の岩陰に逃げ込みました。
でもそこは、恐ろしい怪物のすみかだったのです。
怪物に気づいた、甘太郎達は慌てて逃げようとしましたが、怪物が口を開きました。
「待て待て、ボウズ供!
ワシは今は腹がいっぱいだから、お前達は食わん。
また出て行くと、イワナに食われるぞ。
しばらく、ここで身を隠しておれ。」
怪物は、大サンショウウオと言う手や足のあるトカゲの仲間でした。
「どうして、ボウズ達は、こんなところに来た?」
大サンショウウオが聞きます。
「お腹いっぱい食べたかったからだ。」
と、甘太郎が言うと、大サンショウウオは、
「腹いっぱいかぁ」
「ここにいる生き物は、みんなお腹を空かせておる。
食べ物が少ないでな。取り合いになる。」
「ワシが、昔、鳥に聞いた話しを教えてやろう。
この川の流れをずーっと降って行くと、海と言う広いところがあるそうじゃ…」
っと、大サンショウウオは、海の話しを始めるのでした。
「海というところは、それはそれは広くてな。」
大サンショウウオの話しは続きます。
「お前達が、どれほど頑張って泳いでも、向こう岸には辿りつけないくらい広いらしい。
お前達が、どれほど頑張って潜っても、底には辿りつけないくらい深いらしい。」
「そこには、数え切れないほどの魚が住んでおって、その沢山の魚が困らないほどの、食べ物があるそうじゃ。」
「海の水は塩辛くて、とても重いのだと。」
「ボクは、甘い方がいいな。」
弟のアマゴが言います。
「だがの、お前達が海に行くには、まだまだ小さすぎる。」
「これから、水が減る季節が来て
そのあと、増える季節が来る。
そして、暑い季節が来て
山が赤や黄色になる季節が来る。」
「その頃には、ここでも、そこそこの食べ物が流れて来るはずじゃ。」
「そのあと、じっとしておらねば、凍えるような季節が来る。
お前達が海に行けるとすれば、そのあとじゃろうな。」
甘太郎は、大サンショウウオの話しを聞いて、うっとりと海というところに憧れるのでした。
インスタで絵本として書いた初めての小説です。