異世界転生して『無双』もしましたが。
俺は唐突にショタになった。
しかも3人の。
お分かりの通り、3分割されたせいであるが……一人は何故かロリ。
ショタショタロリである。
どうやら分割時、微妙に差が生まれたらしく、ショタ(6)ショタ(6)ロリ(4)と相成った様子。ロリはおそらく俺の女性的な部分であろう。摩訶不思議。
だが身体を3分割されたのだ、それ以上に驚くべき事柄でもない。
おかげで食われる事なく(※性的な意味で)なんとかやり過ごせた。
そこにおいては変態でなかったことを感謝したい。
奴等は俺等を育ててから食うつもりである。……家畜か?俺は。
意外な事にロリが大人気で、彼女を誰が育てるかで揉めた。
奴等は別に男が好きなわけではなく、俺が好きらしい。
……一体どういうことだ。
疑問は残るがどうでもいい。
さっさと逃げ出そう。
考えてみればイイ奴等だった。
俺との性的嗜好の壁さえなければ皆それぞれタイプの違う美形だし、ハーレムではあったに違いない。
3人の為に金銭の類いを全て置き、夜中に出ていく事に決定。
連日寝ずの番を交替でしながら、手枷足枷……どうやら結界まで張っているようだがこの俺に通用するわけがない。
スライム化は身体に負担がかかるから、回復に努めてただけのこと。
しかもそれも、『うっかり奴等を殺っちゃわないため』である。
勿論手を出した時点で終わっていたが、そうしなかった奴等を褒めてやりたい。
「…………ふう、これからどうしようかな?」
ようやく1つに戻れた俺は、俺を生理的に嫌悪しない女の子を探す旅に出ることにした。
世界に一人くらい俺を愛してやまない子がいるに違いない!!
ゴキブリが好きな女の子だっている位だし!
「そうだ、種族が違えばイケるかもしれん!!」
しかし辿り着いたエルフの村では今まで以上に嫌悪感を露にされ、火炎放射機の様なもので『汚物は消毒だ~』と攻撃されてしまう。
泣きながら街に戻ると、俺の顔に1枚のチラシが飛んできた。
『求ム!魔王討伐!!』
「………………!!」
──魔界ならイケるかもしれない!!
悪魔っ娘とか!!
サキュバスのお姉様とか!!
鬼の若奥様とか!!
幸い俺は惚れっぽく、年齢は法に引っ掛からないレベル~美魔女(であれば年齢は些細な問題)とストライクゾーンは幅広い。
エルフにあれだけ嫌われたということは、逆も無きにしもあらず!!
「よし! いっちょ魔界に行こう!!」
丁度路銀が尽きたので、魔王討伐の有志によるトーナメントに出ることにした。
圧倒的勝利。
賞金1000Gと伝説の剣、エクスカリバーを手に入れる。
(もしかして勇者として凱旋すればモテモテだろうか……)
いや、『生理的に無理』だからな。
俺としては、一生騙してくれるなら金や地位目当てでも構わないんだが……生理的に無理となるとなかなか難しいに違いない。
やっぱり特殊性癖の女性を探した方がいいだろう。
そんなわけで魔王のおわす魔界に繋がる森へと向かう。
エクスカリバーは重いし邪魔なんで、道すがら「勇者様勇者様」とまとわりついてきたそこらのガキんちょにあげた。
「危ないから鞘から抜くなよ~」とだけ伝えて。
数々の冒険中(※実は3ヶ月程度)、俺は既に100メートル級の竜でも倒せる実力をつけていた。仲間達にレベルを合わせていただけだ。
だからこそあの時は力づくで逃げられなかったのだ。……殺っちゃうからね!
しかしバトルスペックはインフレ的に上がっているのに、全くモテないってどういうことだ。モテ度もインフレ的に上がってくんねぇかな……
そんな事を考えながら、ゲンをかついでナイフ一本で敵を倒していく。
確か前世の某ゲームでは、ナイフクリアでなんか貰えた筈だ。
……球数無制限ロケットランチャーだっけ?
ロケットランチャーは要らんから彼女をください。
ハーレムでなくて大丈夫です。
できればソコソコ可愛くて、ソコソコおっぷぁいの大きな、性格のイイ娘。
アイツではない神に祈りを捧げつつ、群がる敵をなぎ倒して進む。
敵の体液や血がつくのでナイフはすぐ使い物にならなくなり、実質手刀。
暫く進むとようやく待ちに待った綺麗なお姉様(敵)が出てきた!!
しかも……
峰不二子ばりのメリハリバディ!
ドロンジョ様ばりのエロエロスーツ!!
「もしや、サキュバス?!」
お待ちしてました────!!!!
迎えに来たと言っても過言ではありませんよ?!
「ふっ……待っていたわよタケル」
「その口調は!?……お前、まさか」
明らかに女性の声……そして見事な肢体。
だが良く見ると顔はあの僧侶、レイの女性ヴァージョン。
「タケルが女の子が好きなのはわかっていたわ……だから私は悪魔に魂を売って女の子になったのよ!!」
「えぇぇぇぇぇぇ?!」
そこまで愛されていたとは!!
「だけどロリっ娘の俺を欲しがっていたじゃないか!!」
「私は両方イケる人なのよ!!」
レイの性的嗜好は兎も角、彼(彼女?)は俺の理想通りの女になって現れた……だが、何故だ……
レイだと知った途端に『むり無理ムリ ヾノ・∀・`) 』と頭に過ってしまった。
レイのことは嫌いではない。
むしろ仲間としての情が強すぎるのかもしれない。
レイだとわかった瞬間に、もうなんかムリ。理屈じゃない。
これが、『生理的嫌悪』というやつだろうか……いや、嫌悪してるわけでもないんだが……
俺は彼の為に泣いた。
同時に、それは自分の為でもあった。
「お前……僧侶だったのにな……人生を台無しにしてしまってすまない……だが、俺は仲間であるお前を抱けない」
「………………」
暫く黙ったあと、レイは美しく微笑んだ。
「正直ね……いいのよ、タケル…………そんな貴方だから好きになったの」
「レイ……」
──ザシュッ!!
「うっ!!」
「レイ!!」
レイとの再会があまりに驚愕過ぎて、気配に気付けなかった。
突如現れた黒いマントの男にレイは後ろからバッサリと斬られてしまう。
マントの男はフードを目深に被り、顔は見えない。
だが……この太刀筋は……!!
「全く……使えない女ですねぇ」
「……シゲオ! お前……仲間を!! どうしてっ!」
「貴方があまりに魅力的だからです」
「そうそう、そうなんですよぉ~☆」
シゲオに次いで、ナユタも空中からふわりと現れると俺に色を孕んだ瞳を向けた。
シゲオとナユタは俺が3分割され、ロリの俺を見た際に電撃が走ったらしい。
そもそも性的嗜好のノーマルなふたりは、レイとは逆に俺を女にしようと考えたようだ。
「……俺に勝てるとでも思ってんのか?」
「いいえ?」、そう答えながらも余裕の笑みを称えたシゲオの横で、ナユタはポンチョの内側からゆっくりと水晶玉を取り出す。
そこに映し出されたのは────
「マミナ!!!」
繋がれた幼馴染み。
周りを囲む、下卑た男達。
──へへへ……ダメだ、俺もう待てねぇよぉ、ちょっと味見するぐれぇ……
──嫌! 近寄らないで!!
「!「大丈夫ですよ」」
ナユタの言葉通り、マミナに近付こうとした男は一瞬にして灰となった。
「彼女は大切な人質です。 貴方が言うことを聞いてる限りは……ね」
「てめぇら……」
「フライングした馬鹿は死にましたが、合図があったら好きにしていいことになっています。 ……僕らが死んでも。 素直に従ってくだされば、彼女は必ず無事に帰すとお約束しましょう」
「……ちっ、わかったよ」
これは素直に従うよりない。
俺は奴等に女になる薬を飲まされた。