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REPORT 6

 僕の故郷は大共栄帝国という、東部大陸に属する東部列島の島国の一つ。急進的な軍国主義で、北部大陸との平和路線には反対していたはずだ。

 戦争によって自国の強化を進めたがっていて、その軍隊方式は他国のそれとは違うらしく隠密行動に長けている。

「それが、ここで何をやってるんでしょうか」

「その前にさ、少年君。狙いが私たちっていうのはどうしてなの?」

 猫屋敷さんは不思議そうに首をかしげる。

 猫屋敷さんにものを教えることなんてこれまでに片手で数えるぐらいしかないので、少し誇らしくなりながら機密情報を晒していくことにした。

 そもそも僕は、もう帝国軍人ではないのだ。

 逃亡兵でしかない。

「帝国は隠密行動によって隙をついていくという方針を立てているんですよ。中でも陸軍の、僕が所属していた部隊なんかは隠密行動専門でして、このチームの主なミッションは誘拐、暗殺、諜報なんかですね。

 今回のジャックというか、実はジャックではないんですけど、この襲撃は誘拐の方だと思います。

 この特殊班は対象の周りにくっついて、対象ごと周りも巻き込んで連れていくんです。おそらく彼らが占領しているのはこの車両だけ、他の乗客も巻き添えで、目的地に着けば僕たちを残して殺されるでしょう」

 他の車両は多分この車両で起きていることを知らない。

 あの銃声も聞こえたかもしれないが、車輪の音だと思ったんじゃないだろうか。

「幸いなことにあの部隊はこちらが気付いたってことにも気付いてないはずです。今まで対象にばれた前例がないみたいですから。油断はしてるでしょうね」

「つまり、襲撃にあったのはこの車両だけ。この車両の人間だけをどうにかして誘拐していくってことなのかな?」

「おそらくは。次の駅あたりでこの車両から下ろされることになるんじゃないでしょうかね。これは残念なことですが、このあたりの駅もまだ人の姿のない無人駅が多いみたいですし」

 列車は未だ広い草原を走っている。

 都会のとの字もない。

「そっか、じゃあまたひとまず状況を整理しようか」

「そうですね。

 この車両のみが襲撃にあっている、というのは僕の予想ですがおそらく外れていません。

 相手は多くとも二人。相手は東亜列島の陸軍部隊。車両から下ろされた後はどうなるか、流石に相手の具体的な作戦は予想できませんが、ろくなことはないでしょう」

 安全かつ以来遂行のために必要なのは。

「無力化かな」

 猫屋敷さんは簡単に言ったが、この場合実行するのは僕なのだ。せめて確認ぐらいは取って欲しかったが、別にいいかとすぐに思った。

「わかりました。無力化で行きましょう。

 じゃあ、ちょっと我慢しててくださいね」

 そういって僕は猫屋敷さんに襲い掛かった。


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