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初めまして、円周率10桁目です。
投稿は始めたばかりで色々不備があるかもしれませんが、どうか楽しんでいってください。
「……ぅん」
冷えた空気の中、カーテンの隙間から差し込んできた光で目が覚めた。
ゆっくりと視線を部屋の隅にかけてある時計に移していく。
午前6時30分、普段通りの起床時間だ。
グッと体を起こしてベッドを出る。空はようやく明るくなってきたばかりだった。暦を考えても不思議なことではないか、と納得しふと故郷のことを考える。
僕の国は今頃もう深雪の季節だろう。
軽く伸びをして、僕は顔を洗おうと思った。
身支度を済ませた僕は部屋の外に出た。このマンションには大した暖房設備がついていないようで、廊下は外気とほぼ同じだろうと思われた。
少し歩いて一つの部屋の前で足を止める。
「まだ起きてきてないのかな」
と小さくつぶやいて、扉にかけられている金属製のプレートをひっくり返した。
彼女の起きてくる前に部屋を暖めておいてあげよう、僕は冷たい鍵を扉の鍵穴に差し込み冷たいドアノブを回した。
ここは「猫屋敷」調査事務所だ。
ひっくり返されたプレートには僕の母国語ではない言葉で「調査事務所 営業中」と書かれている。