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モブ男くんの頭の中

作者: SIDEPILLOW

少年は恋に落ちて考えた。

一目惚れであった。

長い黒髪、ハッキリした黒い瞳、整った顔、

そう彼女は美少女だ。

俺はどこにでもいるモブだ。

もし、俺がライトノベルの主人公であれば、偶然が偶然を呼び仲良くなり、両思いになることもあるかもしれない。

しかしだ!ここは現実の世界、一握りの野獣と美女の関係はあったとしても、イケてない草食獣と、美女の関係はあまりない。

そう!ここでポイントなのはあまりないと言うことなのだ。

美女の方が、性格に難あり、実は不細工がタイプでしたーとかいう稀有な存在でない限り、イケてて、ハンサムで、面白くてとかの要素がない限りは届かないのが実情だ。

では、俺はどんな人物だ?


顔は普通、背も普通、頭の良さは普通、性格は普通、ギャグセンスなし。


もろモブ男Bだ。ライトノベルの背景にいそうなやつだ。ギャグセンスがないということが致命的だ。

これではまずい。

しかしだ、考えてみよう。ライトノベルの主人公元さえない男に、ギャグセンスはないんじゃないか?どっちかといえばツッコミだ。

ここでギャグセンを、学んでみよう。

そうなるとピエロになることだ。

トリックスターに俺はなるとかっこよく想像するも、きっと哀れなダダ滑りのピエロになるに決まっている。

それはダメだ。主人公の恋のために捨て石になる役なんてまっぴらごめんだ。

では、どうすれば仲良くなれる?

そうだ、認知度だ。

認知度をあげて、仲良くなっていくしかない。

無名では相手にされない。

まず、美少女と挨拶する関係になることから始めよう。


シミュレーション


俺「やぁおはよう。マルマルさん」

美少女「おはよう、カクカクくん」

俺「今日も、いい天気だね。」

美少女「ええ、そうね」


完璧だ。女の子と喋れない俺が女の子と喋ってる。我ながら喋れてる。

しかし、考えてみると特定の女の子ばかりに話しかけに行ったらあの人、私に気があるのかしら気持ち悪いわということになりかねない。

のらば、女の子になれるためにクラス全員に挨拶することから始めよう。

朝の挨拶運動!素晴らしい計画だ。


それから、俺は勇気を振り絞り、朝の挨拶運動に、身を費やした。

その成果として、女性と話してももじもじしなくて済むようにほんの少しなりました。


知名度は少し上がった、どうでもいいやつから、挨拶をしてくる鬱陶しいいどうでもいいやつにランクアップした。

やったね、モブ男くん!ランクアップだ。

知名度は上がった。次は何が必要だ?なんだ?


そうだ、共通の話題だ。

美少女との共通の話題があれば仲を進展できる。

ライトノベルで例えてみよう。


偶然により、美少女戦士の秘密を知ってしまった主人公、世の悪と戦う美少女を応援するために、美少女の良き戦友、良き相談相手になる。


これだ!互いのことを知らないから仲良くなれない。なら互いのことをよく知れるように仲良くなれればいい。

そのきっかけとなるのが趣味だ。


シミュレーションしてみよう。


俺「やあ、おはようマルマルさん」

美少女「おはよう、カクカクくん」

俺「昨日の魔法少女リリカルブレイブ見た?」

美少女「リリカルブレイブ?なにそれイタい」


完璧だ、こんなコンプリートな作戦見たことがない。

互いのことを少しでもしれる作戦。素晴らしい!!

ん、よく考えてみろ、モブ男、俺のことに少しも興味を抱いてない人に俺の趣味を押し付けたら痛いだけだろ。ここはひとつ、相手のことを知ることが重要なんじゃないか?


ということでシミュレーションしてみよう。


俺「やあ、まるまるさん」

美少女「おはよう、カクカクくん」

俺「まるまるさんは、なんか、オススメのエロゲー知ってる?」

美少女「女の子になんてこと聞くのサイテー」


完璧だ。ブホホホ完璧すぎる。ご褒美までもらえるぞ、この作戦は。


待つんだ!俺!これでは彼女の俺に対しての好感度が急下落だ。リーマンショックどころじゃない。IMFも真っ青になるぞ。

いかん、いかん俺としたことが、罵倒をご褒美だと思ってしまった。エロゲーはさすがにまずいだろ。ならBLで行くか?いや、考えてみよう。美少女が男同士がまぐわってるのを見てキャキャウフフ、いや、ありなんじゃないか?

エロくない人間はクズじゃない人間と同じくらいの希少価値、きっと彼女も、深夜、布団の中でエロサイトめぐりしてあーーーなことをしてるに違いない。むろん俺はしている。

待つんだ、俺、そんなことを思ったとしても言ってはダメだ。

世の女性全てを敵に回すぞ。

ああ、そうだな。

作戦にもどろう。

なら、どうする?モブ男次はどう出る?共通の趣味を探す?いや違うだろ、昔の偉い人はこう言っている。


鳴かぬなら、私が鳴こうホトトギス


つまり、彼女の趣味に合わせて、俺が新しい趣味を作ればいいんだ。

彼女の趣味が音楽だとすれば、俺も音楽を知ればいい。映画であれば、映画を知ればいい。

そうだ、この手を使おう。

方向修正してシミュレーションしてみた。


俺「やあ、おはようまるまるさん」

美少女「おはようカクカクくん」

俺「まるまるさん、好きな映画とかある?最近映画にハマっちゃって面白いのあれば教えてほしいな」

美少女「そういえば、○○○○○が面白かったよ」

俺「ありがとう、○○○○○だね。今度見てみるよ。」ここでメモを取ると好感度がさらにアップ(見込み)


なんて素晴らしく完璧な計画なんだ。いける、これはいけるぞ。聞ける予感がする。


そして、俺は映画を聞き出すことに成功した。

彼女のオススメ映画を見て俺は思ったことがある。

主人公イケメンだ。男の俺ですらキャーーだいてーと言いたくなるくらいの妖艶さがあった。

考えてみよう、ということは妖艶なハンサムな男が趣味という結論になるのでは?

となると、勝てる見込みはない。

なら、どうする?どうするんだ俺?


ここでモブ男に一つの天啓とも言える衝撃が走る。


餌付けだ。それしかない


ライトノベルで考えてみよう。

うだつの上がらない主人公は、寒さに震える猫に自家製クッキーをあげる。

そのクッキーに餌付けされた猫は満月の夜、主人公の家に行きキャッキャウフフな恩返しをする。

距離を埋めるにはこれしかない。


シミュレーションしてみよう

俺「おはようまるまるさん」

美少女「おはよう、カクカクくん」

俺「まるまるさん、俺クッキーを焼いたんだけど味見してくれないか?」

美少女「いいわよ、カクカクくん、パク、ん!!美味しい」

俺「気に入ってくれた?」

美少女「ええ、とても美味しかったわ、また作ったらご馳走してね」


なんて恐ろしい計画だ。これぞ青春、これぞ学園生活!!!

俺の時代がくるぞーフハハハハハハ


暴走する恋する気持ちが黒歴史を大量生産することになると、モブ男くんはまだ気づいていない。



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