10年後の約束
私はとても驚いてる。
目の前にイケメンがいるから?
それとも…
「ゆうちゃん、おれとけっこんしてください!」
そう言って、小さな手に握り締められたタンポポをくれた。
「じゃあ、10年経ったらね。」
大きくなったらね。
そんなような意味合い。
きっと、この子が大きくなる頃にはこんな出来事、すっかり忘れてて。
奥さんが出来た時に、一つの昔話として
懐かしさを思い出させる出来事になるんだ。
私は小さな手に握られたタンポポを私はそっと握る。
頬が紅潮して、瞳をキラキラさせて、
力一杯抱きついてきて…
嬉しさを前面に出してくる、まっすぐな心。
可愛い可愛いプロポーズだった。
それが、10年前の出来事。
「有紀、お母さん買い物してくるから。
お昼は自分でなんとかしてちょうだいね。」
「はーい、いってらっしゃい。」
沢田有紀。23歳。
普通の高校に通って、普通の大学言って
普通の会社に勤めてます。
毎日毎日、同じことの繰り返しで。
とくにプライベートが充実してるわけでも
仕事で充実してるわけでもなくて。
こうして年取ってくのかなーって悲しいこと思ってみたりして。
「お隣の大地くん!すっごくイケメンになってたわね〜」
お母さんが昨日。興奮気味に語ってた。
お隣の大地くん。
あんなに小さくて可愛くて、私に懐いてくれていた大地くんは、私が大学行ってから疎遠になってしまい、
すれ違うこともなくなってしまったのだ。
彼女らしき可愛い子と歩いてるのは度々見てた。
その度にチクッと胸が痛くなって。
7歳も年下だし。
中学生なのに、良い大人がなにしてんだか。
って自称気味になってみたり。
でも、自分をバカにしたように笑うたびに
大地くんのとこ、ちょっと本気で…
って自分で気づいちゃったりなんかして。
その彼が今、私の目の前にいるのだ。
ピンポーンとチャイムが鳴って
流れ作業のように扉を開けた。
「はーい」
「ゆうちゃん、10年経った!」
満面な笑みを浮かべて、ピンク色の大きな花束を掲げた。
そして、冒頭に戻るのだ。
*********
「ひ、久しぶり、大地くん…
大きくなったね…」
とりあえず、彼の発言を軽くスルーして
当て触りのないことを言う。
「うん!大きくなったでしょ?
ゆうちゃんよりも大きくなったよ!
10年経ったよ!」
キラキラした。屈託のない瞳が眩しい…
そして、強調するように言う
10年……………じゅ、うね、ん……?
「え、もしかして、あの時の約束…」
「?」
「10年、経ったらね、って…」
「うん!だから、10年経ったよ!…?」
何てことだろう。
彼は本気だったのだ。
10年もの長い間、私との約束を律儀に…
「庭で咲いてたタンポポじゃないよ。
ちゃんと、自分のお金で花、買ったよ?
だから、だからね…」
うん。
「結婚してください。」
連載も終わってないのですが、
なんか、こういう話書きたい!
って思い立って、思うままに書いて、
そのまま投稿!
してしまいました…
駄文、失礼いたします。